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【絵本レビュー】 『くすのきだんちのあめのひ』
作者:武鹿悦子
絵:末崎茂樹
出版社:ひかりのくに
発行日:2017年4月
『くすのきだんちのあめのひ』のあらすじ:
外はどしゃぶりの雨です。かえるが嬉しそうに外に飛び出しました。ほかの住人たちはくすのきだんちの中で楽しく過ごします。さて、どんな過ごし方をしているでしょうか?
『くすのきだんちのあめのひ』を読んだ感想:
何よりまず目を惹かれたのは、大きな木についたたくさんの窓。そのあと題名を見て気がついた。「くすのきだんち」ってこの木のことなんだ。ひとりで納得してから、息子に読むときはもちろん当然のことのように説明するずるい母なのであります。色々とまだ見たことがない動物もいて、しばしその説明に読み聞かせは中断。モグラとかカケスとかモモンガなんて、街中ではそうそう見るものではないですよね。
団地の中にはいろんな動物が住んでいて、読む人それぞれに反映する動物があるんじゃないかなと思いました。私の場合はカケスの一家。雨で外遊びができないので退屈している坊やを4人も抱えたパパとママの様子を見ていると、同意〜と心の中で強く共感していたのでした。
雨の日の記憶が不思議とあまりありません。毎年梅雨があるわけですからもちろん雨は体験しているのに、雨の日に何をしていたか殆ど記憶にないのです。よっぽど退屈だったのでしょうね。
日本にいるときは雨に対してあまりいい記憶がありませんでした。長靴に中にレインコートを伝って雨が入ってきて靴下はびしょびしょになるし、混んだ電車やバスの中でも誰かの傘立てがわりに使われてやっぱりびしょびしょになってしまいました。濡れた傘を巻いて止めるのもあまり好きでなかったし、大雨で制服のスカートが濡れてずっしり重くなるのも好きではありませんでした。雨への印象は良くなかったと言えるでしょう。
それがロンドンに住むようになって、雨の日がやたらと多くなる生活が始まりました。雨でなくてもなんだかどんよりしていて、時々霧雨のようなものが降るのです。いつ降るかわからないし、降ってもすぐに止んでしまうことも多いので、傘を開いたり閉じたりすることが面倒になり、ある時から大降りの日をのぞいて傘を持ち歩くのをやめました。その代わりに帽子よよくかぶるようになりました。
洋服に合わせて帽子もいくつか揃えます。夏用と冬用も揃えます。そうしたらなんだか雨が楽しくなってきました。ちょっと強めに降ったら、帽子の上からコートやジャケットのフードを被ります。帽子を被るので髪の毛のスタイリングができませんが、今では帽子が私の一部になっています。好きなのは、アメリカの新聞配りの男の子みたいな帽子、ハンチング帽、アニメ「耳をすませば」の主人公の女の子に憧れて買った上が平たい麦わら帽子、そして日本で買った鼻まですっぽり隠れる帽子です。
帽子を被ると少々の雨は気にならないし、傘を持たなくていいので手も自由に使えます。いいことだらけだし、前よりも雨が少し好きになったかなと思います。もちろんかえるみたいにピクニックに出かけるほどじゃありませんけどね。
皆さんは土砂降りの日、どんなことをするのが好きですか。
『くすのきだんちのあめのひ』の作者紹介:
武鹿悦子(ぶしかえつこ)
1928年東京生まれ。詩人、児童文学作家。『詩集ねこぜんまい』(かど創房)で産経児童出版文化賞、『星』(岩崎書店)で日本児童文学者協会賞受賞。主な絵本作品に、「くすのきだんち」シリーズ( 絵:末崎 茂樹 ひかりのくに)、『どんぐりとんぽろりん』( 絵:柿本 幸造 ひさかたチャイルド)、『おかあさんのいのり』(岩崎書店)などがある。童謡「きらきらぼし」の作詞家としても知られる。
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