『夏物語』 子供を産むことに悩んでいる人へ ※ネタバレ注意
あらすじ
小説家の夏子は、パートナーなし出産を検討していた。
そんな中、精子提供で生まれた相澤潤と出会い、次第に惹かれていく。
しかし、彼にはパートナーがいて…。
夏子が傷に向き合う物語
あらすじを書いてみたものの、これだけで本作は語れない。
本作は夏子が自身の傷を抱え、傷に向き合っていく物語である。
相澤潤との出会いは、その過程に過ぎない。
夏子が「出産」というテーマに向き合う、家庭にすぎない。
女性が通る道
女性として生きていると、一度は出産について考える。
人それぞれ、出産のイメージは違うと思うが、
夏子のように、出生やセックスにトラウマがある人は、向き合わざるを得ないテーマなのではないだろうか。
夏子は、傷を抱えて、相澤潤や善百合子、そして家族を巻き込んで、
その「傷」と向き合っていた。
その後が語られない
本作は、回想が多く、夏子の生涯が語られるが、妊娠後のことは語られない。
この「語られなさ」に引っかかった。
夏子は妊娠、出産、そして一人での育児を望んだが、それが正解かどうかは分からない、ということなのだろうか。
夏子は貧しい家に生まれたが、小説家として大成した。
緑子は母と関係修復し、彼氏と仲良くやっている。
幸せは掴んだ。しかし、これからは分からない。
物語の枠としては、ハッピーエンドでも、その後はどうなるか分からない。
出産は、そういうものなのかもしれない。
産んでも、産まなくても、分からない。
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