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視力


 問題集はすべて、答えを見てからじゃないと安心できない子どもでした。

極端に失敗を恐れて、怒られることを恐れて、常に「一人でなんでもできる子じゃないといけない」と思っていました。

そのまま大人になると、厄介なことしかありません。素直に謝れなくなるし、プライドばっかり高くなって、失敗を理屈で補おうとします。

この感覚は、こちら側にいる人間じゃないとわからないんだと思います。簡単に直せるものじゃないんです、他人の顔色が怖いって。馬鹿にされることが怖いって。

 まぁそんなことはいいんだ。いいんです。ぬか喜びの金曜を越え、だらだら過ごして昼過ぎに起きた割にその日のうちに眠りについた土曜を越え、やっぱりだらだらしてなにもしない日曜を越えようとしています。金土日は無事終わりました。

悲しいより、悲しいことってわかりますか? 悲しいより悲しいのは、ぬか喜びです。
TBSドラマ『カルテット』第2話

ぬか喜びで浮かれて金曜と土曜を過ごしたんですけど、うっかり今日、答え合わせをしちゃったんですよね。

答え合わせをしないと、安心できない性格なので。

世の中は、知らない方が幸せだったことで溢れています。言わない友達は、言わないなりの理由があるんです。

それでも、存在するひとつの事実を、確認しないといられなくて。

それでも今日、思いました。ぬか喜びだったとしても、それまでは確かに幸せだっったんです。じゃあ、それでよくない?

死ぬまでぬか喜びだったら、死んでからそれがぬか喜びだってわかるんだったら、それでいいんじゃない?って。

気付かずに死ねたら、きっと幸せです。

気付かないことで得られる幸せは、きっと多い。

優しい人ほど先に死ぬ世界だし。優しい人っていろんなことにすぐに気がつくでしょう。

自分に都合よく解釈するとか、世界への解像度を落とすとね、案外すんなり幸せになれます。

たまには曇ったメガネとか、度が合わないメガネで過ごすことも大事かもしれません。

裸眼の人は、わざと視界を悪くしてみるとかね。他人に迷惑がかからない程度に。

…いや、他人に迷惑をかけるのもありかもしれません。

 夜中の空気だけが持っている独特の快楽物質を感じる間も無く睡眠に落ちる日々。おやすみなさい。



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