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ぶらり、ぶんがく。本と歩く

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文学作品にまつわる聖地、名作や話題作の舞台となった場所を、本を手に散歩する企画です。
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2019年10月の記事一覧

暗黒時代に詠った「ふるさと」

室生犀星「抒情小曲集」  金沢の中心街である香林坊・片町から南西に少し足を伸ばす。三角形が組み合わさったトラス構造が印象的な犀川大橋があらわれる。川を渡っていくうちに、賑やかさが遠のいていく。渡り切って右折。瓦を載せた塀の先に、小さいけれど立派な門があった。「雨宝院」と記された門の脇にお地蔵さまが立って、参詣者を迎えている。  大正から昭和にかけて詩人・小説家として活躍した室生犀星(1889〜1962年)は、幼少期をこの小さな寺で過ごした。すぐ近くには、生家跡もある。そち