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年始早々に父親とおっパブに行った

ということで、年始早々に父親とおっパブに行った。

勿論断ることも出来たが、あまり人にお願いをしてこない父が乳を揉みたいと言っているのだ。断る理由は見つからない。

とはいえ、お正月からやってるおっパブなんてあるのだろうか?と調べたら、結構な数のお店がヒット。※久々の実家帰省で父のためにおっパブを調べているバカ息子は私ぐらいなものだろう。

『できれば近場がいい』という父のリクエストもあり、実家から2つ離れた駅にあるおっパブを見つけた。店名は控えさせて頂くが、制服をウリにしているお店である。

キャストのモザイクが強いため顔は拝見出来ないものの

「ピチピチの新人さん」
「業界未経験の素人娘」

というキャッチコピーから、若さは担保されているように感じた。『ここにしよっか?』に『すぐ行こう』と焦る父。

が、結果から言ってしまうと、このお店は地雷店だった。

地雷おっパブ店

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おっパブ店へ向かう車の中で、父と色々な話をした。

・仕事のこと
・家族のこと
・今後のこと
・東京五輪について
・昔の話

父と話すのは決まって車の中だった。初めて彼女が出来た時、就職したての頃、結婚する前の時など、家族が揃った場では無口な父が口を開くのは大体が車の中だった。

父は御年72歳。ナニ年だ。この車中での会話をあと何回送れるのだろう?と考えると、妙な寂しさも感じる。

そうこうしているうちにおっパブ店に到着した。店内に入ってダブルのスーツを着た滝藤賢一似の中年ボーイから説明を受ける。

・チェンジは1回まで
・電話番号やLINEのIDを聞いてはいけない
・自身の72を出してはいけない
・スタッフが嫌がる行為はしてはいけない

途中からさだまさしの関白宣言を聞いているような錯覚に陥ったのは、中年ボーイのかすれボイスが影響しているのだろう。知らんけど。

いざ着席

『今ならちょうど2名様入られますね!』という中年ボーイの案内に従い、シートに案内される私と父。

店内は独特の薄暗さとクラブミュージックのような音が出ている。私が座った席は店内入ってすぐのソファーで、父は3列前のソファーへ案内された。

そして待つこと1分、ボーイに率いられたキャスト、、、じゃなくてキャミソールを着たおばあちゃんが前を通り過ぎた。細身というかガリガリのカーリーヘアで、その風貌はワンピースに出てくるDr.くれは(ドクトリーヌ)のよう。

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え?ピチピチの新人さん?って・・・

ドクトリーヌが目の前を通過してホッとした。極度な期待こそしてなかったものの、新年一発目でおばあちゃんは難しい。

そして、そこから30秒もしないうちにボーイがキャストを連れて私が腰掛けるソファー前で止まった。この人だ。さあ、どんな人だ?


・・


・・・


牧野ステテコ似だった。

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さらに言ってしまうと、良く例えると牧野ステテコ似というだけで、実物はもっと老けていて髪のボリュームはなかった。

さっき通りかかったドクトリーヌ含め、熟女を超えてしかいないのか?ん?というよりも、このお店は地雷店なのだろうか?

『失礼しまぁ〜す』とソファー座ってくる牧野ステテコ似のお婆ちゃん。『○○でぇーす』と挨拶の笑顔で見えた不健康そうな歯茎を見て、意を決し、一度だけ使える魔法を使った。

『チェンジで』

私如きがチェンジするなんて百万年早いということは百も承知。でも、不気味な歯茎を見て恐怖を感じた私は、一刻も早くこの状況を変えたかったのだ。

『チェンジ』と伝えたあとの牧野ステテコ似のから笑顔が消える。低い声で『はーい』と返事をし、ボーイをライターで呼び、不機嫌そうに去っていった。

別のキャスト到着

牧野ステテコ似に多少の申し訳ないという気持ちと、デブでも構わないから、もう少し若めの女性キボンヌという複雑な感情を抱えて待つ。すると約1分後、ソファーの前で1人のキャストが立ち止まった。

ああ、この人か。もうチェンジはできないし、誰が来ても受け入れるよ。そのために牧野ステテコ似に非情な宣告をしたのだ。

さあ!誰だ!!!


・・



・・・



ドクトリーヌだった。

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ん?ドクトリーヌはさっき通り過ぎたはずでは?

『さっき息子と一緒に来ているって人にチェンジされちゃったのぉ♡』と、しわがれ声で伝えてきた。

!?そうか!父がチェンジをしたのだ・・・!他のキャストが移動している様子はないので・・・

私→牧野ステテコ似をチェンジでドクトリーヌ
父→ドクトリーヌをチェンジで牧野ステテコ似

となったのだ。つまり、どっちを選んでもお婆ちゃん。

ドクトリーヌは席に座るなり『上に乗ってもいい?』と聞いてきたが、その華奢過ぎる体ではケツ骨が当たって痛そうだし、何より乗られたくない。

そこで、ドクトリーヌを傷つけぬよう、こう切り出してみた。

『父の付き添いで来ただけなので、普通に話しましょう』と。すると、『え?さっきのオジちゃん□※たのおペッフォなの?面白フェフェ』と後半何言ってるのか聞こえなかった。

話すと言っても何を話せばいいのだろうか?年金の話か?いや、それは失礼か。

そんな私に対し、ドクトリーヌは急にキャミソールの上をめくってきた。『我慢しばいでキイイお』と。いやぁ、、、ちょっと。

暗闇の中、ミラーボールの光で明るくなったドクトリーヌの胸元をハッキリ見てしまったが、ペラッペラの薄ボディにシワが沢山入っていて、B地区の位置には大きめのレーズンが、あと数回擦れば外れそうにぶら下がっていた。

このままだとEDになりそうなので、『寒いから』と服をかけ、お店近所の話をして誤魔化す。ドクトリーヌもこのエリア情報なら負けないとばかりに応戦し、気づけば終了3分前。

滝藤賢一似のボーイが席に来て『どうします?延長されます?』とボケてきたが、冷静に『いや、結構です』と返す。すると滝藤賢一似のボーイが『お連れ様は延長されるようですよ』と。

え!?と思って前方に目を向けると、牧野ステテコ似が父の上に乗っていた……。

呆気にとられながら、私は先にお店を出た。特に行くあてもないので、おっパブ店前のコンビニのイートインスペースでスマホをいじって待つことに。

30分後、ホクホク顔の父がお店から出てくる。私と再会した父は開口一番に『歳が近くて楽しかったよ!』と嬉しそうだった。ん?牧野ステテコ似が父と同世代?ということは、牧野ステテコ似より年上に見えたドクトリーヌは何歳だったのだろうか?もしかしておっパブ界の生きるレジェンドという奴か?

帰りの車内、大満足で店をあとにした父は、車中で流れる知りもしないKing Gnuの曲でリズムを取っていることに妙にイラッとした。

そして恐ろしいことに『気に入ったからまた行こうかな』と。元気でいてくれるのは有り難いことだけど、私はこんな年金生活は送りたくないと思った。



遅れましたが、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願いします。

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