デート直前に抜いていたあの頃・・・
若い頃。欲望を表に出さないのがダンディズムだと信じていた。
なので女性とデートする際は事前に軽く吉野家や松屋で腹ごしらをし、「え?別にそんなにお腹空いてないけど?」風を装っていたり、家出る直前に欲望というか肉棒からピョロっと欲を出して「あのぉ〜もう我慢出来ないんですけどぉ」というようなキモ対応を避けていた。
それが正しいんだと。
しかし、代償は小さくなく、毎回女性とのデート時はお腹も減らず、チョメチョメしたいとも思わなくなってしまう。
いつしか『なんだか元気ない』『つまらない男』というネガティブなレッテルを貼られることになり、そのままフラれてしまうパターンを繰り返した。
フラれる度、次こそは・・・と考えるものの、その次もデート前に吉野家か松屋へ行ってご飯を食べ、センとズリの紙隠しも続けてしまう
勿論最後に待っているのはバッドエンドだ。
ただのヌキ侍
この話を友人に話すと確実に呆れられる。「というより最後にするのに馬鹿じゃない?」と。ナニも言い返すことはできないでいたが、私は気付いていた。
それは、デート時間直前に実行するセンとズリの紙隠しの面白さに。
例えばショッピング
彼女「あれ可愛いな(*^^*)」
ワイ「おお!いいね〜買ってあげようか?」
彼女「ええ?いいのぉ?」
というような、仲睦まじい感じの会話の1時間前、私は鬼の形相で確実に抜ける作品の確実に抜けるシーンを見ていた。
例えば動物園
彼女「ああ!キリンさん可愛いぃ!」
ワイ「本当だね!近くで見ると迫力あるねぇ」
という会話の1時間前、私はボス猿のような形相で自身のキリン(かどうかは不明だが)を前後にシェイクしていた。
例えばイタリアン
彼女「ここのパスタ美味しいねぇ」
ワイ「そうだね!ミートソースが最高だね」
という会話の1時間前、自身のアルデンテを柔らかくし、牛丼のCM出れるんじゃね?という勢いで牛丼を胃に詰めていた。
例えば映画館
彼女「今日の映画楽しみだね」
ワイ「そうだね、◯◯出るし話題だし」
という会話の1時間前、自身のパンパンになったポップコーンを開放させ、吉沢明歩(若かりし頃)の作品を見ては「これ今年のグラミー賞やでぇ」と、部屋で1人呟いていた。
例えばサッカー観戦(浦和レッズ)
彼女「結構人入ってるね!」
ワイ「そうだね、上位争いだし注目されてるからね!」
という会話の1時間前、自身の闘莉王を前線に上げてゴールを奪う作業に従事していた。
例えばドライブ
彼女「わーやっぱり海はいいね!」
ワイ「そうだね!潮風が気持ちいいね〜」
という会話の1時間前、別の潮が炸裂する作品を見て自身の船首を奮い立たせていた。
こんな感じ。
言葉にすると最低で最悪だが、当時はデートと1時間前のギャップがなんだか面白くて仕方なかったのだ。
今振り返ると、彼女には失礼なことをしたし、フラれて当然の行いをした。
なんせ決戦本番に「隊長!既に弾切れです!!」って下がいうものだから、その都度「悪い!今日は疲れてて…」と、結構な頻度で女性に恥をかかせていたのだから。
しかし、今もう一度過去に戻っても同じことを繰り返しそうな気がする。いや、繰り返すだろう。
どうやら私は時間がない時に見るのが好きなようだ。中年になった今、その頻度は激減したものの、未だに嫁が風呂に入っている時間に見ようかどうか悩んでいる。