エロ本自販機の思い出
一日の半分以上女性のことを考えている。
コンビニチェーンからエロ本がなくなるというニュースを目にしたが、ほぼ全ての店舗がテープでガッチガチで固めているので、なくなっても影響はないだろう。
しかし、心のどこかで”エロ本”というアナログなエロを楽しみたいという気持ちが未だに残っているのも確か。
そう思うのは、中学時代の思い出が影響している他ならない。
エロ本自販機
当時住んでいた街から自転車で15分程度の国道沿い、そこには現在壊滅状態のエロ本自販機が存在した。
ヌキざかりの多感な時期を過ごしていた青年で知らぬ者はいなかっただろう。
当時【コンビニのエロ本を立ち読み】までコマを進めていたものの、実際に所有するとなると難しかった。『エロ本を親に破棄された』という報告を多数聞いていたことも起因する。
そこでエロ本自販機である。しかし、1人で買いに行く勇気もお金もない。そこで、クラスメートの男達にこう相談した。
『みんなで割り勘して買って、好きなページを持ち帰るのはどう?ノートの間にでも挟んでおけば誰にもバレないでしょ?』と。
我ながら良いアイデアである。
すると、直ぐに有志達は私のアイデアに食いついてくる。
『いいね!行こう!』
そして週末、私含む男5人が【勉強会】ということで、クラス一金持ちの石井君の家に集合した。
当然ながら目的は勉強ではなくエロ本だ。ロード・トゥ・エロ本自販機。
ある程度勉強した(ふり)後、皆で自転車を走らせた。今まで感じたことない心地よい風を感じる。
そしてエロ本自販機の前に自転車を止め、1人500円を取り出した。エロ本自販機に目をやると、最安値で1,000円で高いのは5,000円のも存在する。予算の2,500円で購入できるエロ本は3冊あった。
・熟女
・OL
・女子高生
『熟女はねえな笑。OLじゃない?女子高生なんてもう少しじゃん』
そう言ってきたのは一番の石井君。
確かに熟女はない。表紙の泣いてる顔した熟女の作品を見たいと思うほど、まだ僕らは大人ではなかった。
ただ、石井君の言う『女子高生なんてもう少しじゃん』というのは、もう少し歳を重ねれば、実際の女子高生とエッチなことできるという浅はかさだろうか?
石井君の発言にはややイラッとしたものの、OLの魅力は捨て難い。そして、何となくの雰囲気でOLにしようということになり、石井君が代表して小銭を自販機に次々と入れ、OLのエロ本を購入した。
ゴトン!
予想以上に重そうな音と共にOL作品が落ちてきた。よく見ると、自販機のサンプルとは違うが、同じシリーズの最新刊なのだろう。
そして、急いで皆でその場を立ち去る。向かった先は石井君の家ではなく、自販機から10分程離れた人気のない公園。
ルールは事前に決まっていた。1ページずつ開き、そのページが欲しいかどうか立候補する。分け前はページ÷5。当然独り占めは禁止だ。
そして1ページずつ開く度に誰かが立候補し、被ったらじゃんけんをして勝者がが貰う。そんなことを繰り返し、均等に1人50ページ程持ち帰ることにした。
石井君家に戻ると皆がバインダーにエロ本を隠し、その日はそのまま解散となる。皆、勉強どころではなくバインダーに隠したブツをじっくりみたいのだ。
しかし、家に帰って改めて見ると、どうにもこうにも興奮しない。そして気付いた。全部必要なんだと。
序盤のどうでもいいページはともかく、中盤から後半にかけての濃厚シーンのうち、幾つものページが飛んでいるためイコールしない。
失敗したな・・・。私は翌日、近所のゴミ置き場の古新聞が置かれている場所にこっそり置いた。いや、捨てた。
そして週明けの登校日、一緒に買いに行ったクラスメートに既に捨てたことを打ち明けると、石井君以外は概ね同意してくれた。
『めっちゃ分かる。順番に回せばよかったよね』
すると黙っていた石井君だけ『いや、俺はアタリだったよ』と誇らしい表情を見せる。確かに石井君は抜群のじゃんけん勝率だったこともあり、一番の見どころページを全て持ち帰った記憶が。
我勝者なりという顔をした石井君は、他のクラスメートに自慢し始める。『めちゃくちゃいいブツ持ってるんだよね』と。
しかし、そんな石井君に天罰が下る。クラス中にエロ本自慢をしていたことで担任の先生にバレ、没収されてしまったのだ。
先生に呼び出されてクラスに戻ってきた石井君は泣いていた。その涙の理由はエロ本を没収されたことだろうか?もしくは、悔しさだろうか?
その涙の理由を聞くことはなかったが、散々泣き散らかしたその顔は、あのエロ本自販機で買わなかった熟女モノの表紙にそっくりであった。
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