ASKI〜明日も輝く〜5話:初恋

そんな環境で育っている僕の身に初めて訪れた初恋・・・

羽賀先生だ・・・先生かよ!ってこれは男の子なら経験ある人も少なくはないだろう。黒髪のセミロングで目がクリっとしていた記憶がある。羽賀先生との思い出は土曜日の保育園の日登園する児童は数人。そうすると近くにあるコンビニで夏はアイスを内緒で買ってくれた。園長先生にも内緒だよって言われたのを今でも覚えている。万が一園長先生が来たらすぐ横のトイレに逃げ込むんだよ。と、約束をして食べていた。普段は他の園児が居るため先生を独り占め出来ないが土曜日は特別だった。

大きくなったら先生と結婚する約束なんかしたりして、今思えば純粋な頃だったなと感じてしまう。だから土曜日は母親が迎えに来るのが嫌だった。もっと先生といたいから。しかし刻々と迎えの時間は迫ってくる。保育園の軒先でアイスを食べていると自転車でモンスターは現れた。

僕はやばい、トイレに逃げなくては!!俊足の僕は急いでトイレに駆け込み個室にまで逃げ込んだ。そこに笑いながら羽賀先生が

「ママのお迎えは隠れなくていいのよ」

何で迎えに来たのと怒って、母がアイスを食べ終わるまで一緒に待ってくれていたことがあった。

そして年長になり2歳から保育園に通っていた僕は古株になっていた。そんなある日友人の板倉君と昼食を済ませ鬼ごっこが日課になっていた。まだ食べてる子が居るから走り回らないよう注意を受けるが聞く耳なんが持ち合わせていない。食事中の机の下などに潜り込んで逃げていると頭上から

「あすきのエッチー」

ん?僕は何を言っているのかよくわからない。頭の上にはたくさんのはてなマークが飛んでいた。その声を聴いた保育園で1番体格の良いまちどり先生に足を引っ張られ引きずり出された。

まちどり先生は女子プロレスラーのような体格で髪型は当時でいうところのソバージュ?のようなくりくりパーマの声の大きい、実家が八百屋の先生だ。

机の下から引きずり出された僕と板倉君をロッカーの前に座らせられた。何人かの先生が集まってきてまちどり先生は女の子用の制服のスカートを持ってきた。

「そんなにスカートの中を覗きたいならスカートはいて女の子になりなさい!!」

めっちゃ怒鳴られた。その時やっとなんで怒られているのか察した。どうやら女子たちが机に潜った僕らがスカートの中を覗いてると勘違いしたようだ。完全に勘違いだ。しかしその時なぜか弁解の余地はなくただただ泣いて謝っていた。それを見て笑う女子。こうして年長にして免罪というものを経験した。

現代社会でも免罪というものがあるように、痴漢と勘違いされた男性とこの人痴漢です!という女性。警察の取り調べでやっていないと言っていてもその段階ではすでに犯人扱い。当時でいうと先生が警察だ。何度も違うといっても信じてなんかもらえない。最終的にはごめんなさい。

僕は痴漢をする男性の気持ちは分からないけれど、犯人でもないのに決めつけられることへの不条理に対しては異論はある。しかしその現場で自分がそう言われてしまう原因が自分にあったと客観視することでもしかしたらそのような事件が起きなかったのかもしれない。それからはしっかり回りを見て行動しようと心に誓った。


続く

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