スタートアップ語録 〈4〉|TAM, Valuation, IPO, ARR/MRR
本シリーズの最終回です。
スタートアップ界隈でよく出てくる単語で、何を意味しているのかよく分からなかったり、なんとなく理解しているけれど説明はできないものってないですか?
Y Combinatorのダルトン・コールドウェル氏が解説した内容を基に、スタートアップ界隈でよく出てくる単語の解説をします。
TAM (総潜在市場規模)
Total Addressable Marketの略です。
これは、製品の潜在顧客すべてがその製品を購入した場合に得られる理論上の収益を指します。実際には、100%のTAMを達成することはありませんが、市場の大きさを見積もるための考え方です。
例えば、テスラや自動車のTAMを考える場合、世界中の自動車購入数全体を見積もり、それがテスラの市場規模となります。
市場規模の見積もりは時に誤ることがあります。例えば、テスラが始まった頃、電気自動車の市場規模は小さかったですが、市場全体が拡大していきました。同様に、Uberの初期段階ではタクシーや車両サービスの市場は小さかったですが、彼らはユーザー体験を向上させ、新しい市場を開拓しました。
Valuation (評価額)
これは通常、最新の投資ラウンドでの評価額を指します。
例えば、ある会社が2,000万ドルの評価額で200万ドルを調達した場合、その会社の評価額は2,000万ドルとされます。
しかし、これは株式市場のように日々取引されるわけではなく、評価額はあくまで投資家が示したものであり、実際の市場価値を反映しているわけではありません。
さらに、高い評価額を得たスタートアップが必ずしも成功するわけではないため、評価額はあくまで目安と考えるべきです。
IPO (株式公開)
Initial Public Offeringの略です。
IPOとは、これまで非公開で運営されていた企業が、その株式を一般の市場で公開し、投資家に販売することを指します。
米国企業の場合、企業はナスダックやニューヨーク証券取引所などの公開市場に株式を上場します。そして、証券口座を持つ一般の人々がその株式を購入できるようになります。
IPOがスタートアップにとって重要な理由は、従業員や創業者、投資家が企業で築いた価値を現金化できる機会となるからです。
また、企業が順調に成長し、成熟した財務状況にあることを示す良い兆しとされます。これが必ずしも当てはまるわけではありませんが、IPOは多くの企業にとって一つの大きな目標です。
ARR(年間経常収益), MRR (月間経常収益)
ARRは、Annual Recurring Revenueの略です。
ARRとは、スタートアップ業界でよく使われる用語で、「Annual(年間)」は毎年、「Recurring(経常)」は顧客が自動更新されるサブスクリプションや契約を更新することを指します。そして「Revenue(収益)」は、企業が得る収益のことです。
例えば、ある企業が年額40万ドルの契約を10社と結び、それが毎年更新される場合、ARRは400万ドルになります。ARRで重要なのは、収益が経常的に発生することです。したがって、ARRを報告する場合は、契約やサブスクリプションが継続的に更新されることを確認することが重要です。
一方、月ごとに請求を行う場合には、「MRR(Monthly Recurring Revenue、月間経常収益)」という用語が使われます。例えば、ChatGPTのサブスクリプションが月額制の場合、MRRとして報告されることが一般的です。ARRは通常、年間契約に基づく企業に使用されます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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