β-265 くるまとかんきょう
それぞれの業界は常日頃からさまざまな問題に直面しております、なかでもここ1年は全業種において、いろいろな課題が露見され始めたという時期になったのではないでしょうか。
数ある業種のなかで、今回は自動車産業が抱えるものを簡単にご紹介できればと思います。
現在の日本の産業のなかでも、主力とされているだけあって、ここでの売り上げの減少は、多大なる影響を及ぼしてしまうことは間違いありません。
よって、多くの方にそれを認知していただこうと、今年に入って日本自動車工業会が主にトヨタ自動車の提供枠で、または空いた枠に日本自動車工業会として流されているのは、ご存知でしょうか?
こんなCMなんですけどね、YouTubeだと3分を超える内容となっておりますが、テレビCMだと30秒や1分の短縮版として公開されていたという認識で降ります。
YouTubeの再生回数としては、そこまで少ない、それはまあ当然かもしれないなとはね、わざわざ立ち上げて、こうした啓発広告を見に行く物好きなひとってのはいない、私も確認のために出向いたってくらいで、なかなかそうでなきゃ見に行かないというのがオチなところがありますかね。
ただ、再生回数としては伸び悩んでいても、箱根駅伝など年末年始の番組のスポンサーとして名を連ねていたこともあり、どこかで見たという方も恐らく多いはず・・・。
その他、元日の新聞広告にも一面または見開き一面の全面広告に掲載されるほど、力の入れ具合は半端ないなと感じてはおりました。
とはいえ、新聞やテレビというメディアで見ていない方も当然いらっしゃるので、そうした方には届いてないし、届いたとしても、あんまりにも抽象的な要素も多くて、補足が必須だろうなという感想を抱きましてね・・・。
番組本編の動向に集中していることもあって、わざわざその合間に挟まる広告について真剣に考えようともしないですからね、たいていの場合。
CMとしては、こうしたご時世における自動車産業の映像が流れ、自動車工業会に加盟する輸送用機器の会社のクルマやディーラー、クルマまたはそれを取り付ける部品をつくっている工場の様子を見せながら、こうした状況下においても、しっかりと前を向いて、力を合わせて、進んでいこうとしているという趣旨のナレーションが入りながら、展開していくという内容。
確かに、医療従事者とその周辺がどうにもクローズアップされるし、もちろん医療従事者のみなさんも一生懸命にできることを、最善を尽くして取り組んではいるんでしょうし、このところの状況悪化を非常に懸念しているのは確かですし、その点は受け止めなくてはなりません。
しかし、他の産業でも特にサービス業(観光に携わるさまざまな業界)、工業関係においても、もちろんこうした情勢下で売上を伸ばしている部分もありますが、そうでないところもけっこうあり、また売上の増減にかかわらず、さまざまな懸念事項があることをどうにも認識せざるを得ないのではないかという警鐘を、私はこのCMで改めて認識させられました。
でも、言いたいことはいろいろあります。
自動車に携わる人々に対する感謝の気持ちは伝わりました、でもほかに言いたいことありそうですし、CMを打った背景にはなにがあるのか、感謝以外メッセージがどうにも伝わってないような・・・。
正直なところ、そんな感じかな。
お正月ということもあり、あんまり陰気臭い問題点をずらずら並べる暗さのものだと、不味い雰囲気になるのかもしれないけど、なんというかね・・・。
という感想を思い浮かべました。
ただ、このところの自動車産業が抱える問題は、ちゃんとありそうだし、巡り巡ってさまざまなところに波及しそうという部分はあるので、ちょっとばかり軽く見ていこうかなと思います。
そもそも日本自動車工業会とは?
出典はこちらより。
当然のことながら、持続可能な自動車並びに関連企業の産業発展を進めていきながら、そこに至るまでに起こる問題ならびに懸念される課題を解決するための一般社団法人という説明がなされていました。
約550万人が携わる自動車産業は、機械工業では約4割、全体の製造品のなかでも約18%を占めるほどの基幹産業でありますし、輸出品のなかでも、貿易統計において収支を黒字にできるか、または赤字になってしまうのかは、原油価格の推移や、その輸入量にもよりますが、自動車の輸出がどれだけあるかで決まってくるといっても過言ではありません。
いわば経済の屋台骨として1960年代からおよそ60年にわたって、世界的に見ても第一線で活躍している産業であるので、ここの発展がそのまま経済に直結してしまうという面もありますのかなと。
なにせ、輸出における自動車の割合が2019年で約21%を占めるだけあって、なかなか看過できません。
日本自動車工業会(通称・自工会)は、自動車産業の視点から経済に対するさまざまな事項を提案する機関であるといえます。
「CASE」と「MaaS」
自動車産業が抱える問題は、当然けっこうあります。
記事のタイトルにあるように環境面の問題も間違いなく、そして海外で展開したほうがトータルコストが抑えられる反面、国内の空洞化が顕在化した部分もあるでしょうし、その国内でも自動車の需要が減少傾向にあるというような問題が既に付きまとっています。
CASEとMaaSはご存知でしょうか?
CASEはConnected・Autonomous・Shared・Electricの略、最初のConnectedは、インターネットに接続しているクルマのことを指し、Autonomousは自動運転、Sharedはカーシェアリング、ほら、タイムズとかがコインパーキングの駐車場の枠を1つか2つか借りてるでしょ、そのことです。
そして、Electricは電気、すなわち電気自動車を指します。
メルセデス・ベンツが2016年9月のパリモーターショーで提言したとされているそうですが、CとAとEは一つの流れかなという認識も否めません。
簡単に言ってしまえば、これからは、電気自動車が主流となり、自動運転も当たり前、自動運転にはコンピュータの活躍が欠かせないので、当然のように組み込まれ、インターネットを通して、最適なルートを編み出したり、沿道の耳寄りな情報、渋滞発生の分析に応じて臨機応変にしていけるようになっていく時代が来るのだろうというようなニュアンスなんでしょうか、まとめてみると。
そうは言えど、これには異を唱えたくなる場面もありますが、それは後程。
MaaSの説明をしてからね。
MaaSはMobility as a Service、情報技術を駆使して、自動車にかかわらず、すべての交通機器を用いて移動するという1つのサービスという考え方のことです。
平たく言ってしまえば、列車やバス、タクシーを利用するには運賃や料金が発生しますね。
その運賃をどの交通手段を利用したとしても、おんなじ運賃で決済し、またほかの地方との移動に関しても、さまざまな連携を図り、円滑に決済を行えるようなプラットフォームを作っていくことで、この「MaaS」の条件に当てはまるんだそう。
段階としては、ナビタイムやジョルダンの乗換案内のように複数の交通機関のデータを一手にまとめ、次に運賃を現金ではなく、ICカード、さらにはモバイルSuicaやモバイルPASMOに代表されるようなものでスマホから自動決済していくのがあって、その次に同じ距離や目的地であるならば、経路がどうであれ、一律同じ運賃で決済されるようになったり、同じ料金で大小さまざまなエリアのどの交通手段を利用してもOKで、乗り放題というサービスが浸透し始めるという順番で「MaaS」というのが達成されるそうです。
近年「シームレス」という同業他社で競争関係にあったとしても、そうした事業者どうしが手を組んで、共存や連携ができるようにしていく動き(他にもシームレスには意味があると思うのですが、この流れだとこんな解釈になるのかな)が、出てきてるようですが、なかなか少なくとも日本ではある程度のところで止まってしまいそうな予感しかしない。
スマホで自動決済というところまでかな、できたとして。
そこから先は、障壁が多すぎる部分が多いような。
然れども、今回の本題はそこではない。
この「MaaS」は主に、公共交通機関の運用を促進するためのもの。
公共交通機関が少ない地方には先ほども述べた自動運転が搭載されたクルマを普及していくというようなもの。
コンピュータに任せて運転するということで、運転できないひとが自動運転車を用いて遠くに行けるということは、だれでも道路や線路さえあれば、自由に移動することができる。
コンピュータには交通情報サービスを用いて最適な移動を求める機能も搭載されているでしょうから、渋滞などのストレスを抱えることも少なくなり、また公共交通機関の発達している都市部では、自家用車から転換することで、1台当たりの二酸化炭素の量を削減させられる効果があるといった予測もされております。
クルマが電気自動車になることで、環境にも優しくなるし、自動運転技術が備わることで、運転しなくても遠くに行けるし、便利になるからいいじゃんと考える方もいらっしゃるでしょうし、世界の趨勢を見ても今後の十数年でそうした動きになることが予測できるし、その流れはなかなかねじ伏せることは難しいことになるとは。
私としても、上の意見にほぼ賛成ではあるんだけれどね。
でも、いいことずくめのように見えるこの傾向にも割と問題がありまして、その部分を日本自動車工業会が実際に以下の動画でそうした問題を含め、さまざまな問題を提起していらっしゃいます。
8:00くらいから、日本の自動車産業に関する基本的な説明や最近の動向、それを乗り越えるためには何が重要なのかということを豊田章男会長が説明なさっております。
言わずと知れたトヨタ自動車の社長で、メディアにもちょくちょく出演していらっしゃるので、知っている方も少なからずいらっしゃるでしょう。
トヨタ自動車は販売台数では世界2位(2019年現在)、自動車業界のみならず、日本を代表する大企業ではありますが、トヨタ自動車も2011年から6年「FUN TO DRIVE AGAIN」というキャッチコピーを掲げたり、2019年からは「トヨタイムズ」という企業広告を展開しており、その公式サイトからも、今回の「クルマを走らせる550万人」という自工会の今回の発信をリンク付けしております。
YouTubeにも自工会の動画がある通り、トヨタ自動車が主体となって作ったCMだとわかります。
でも、加盟するすべての自動車会社とそこに携わる会社の描写も取り入れることで、トヨタに限らず、すべての自動車にかかわる産業において、感謝の念を述べているのが印象深い。
ただその真意というのはどうにもわかりかねるところが少なくともCMからは読み取りにくい。
よって、こうした会長からの補足動画などで補っていかないとその真意は読み取りづらい部分がありますが、こちらのほうも再生回数が乏しい気がします。
淡々とお話しされているので、伝わる方には伝わるでしょう。
でも、わざわざ検索してまで見に行くかと言われると、それは・・・。
というのが、課題なのかもしれませんね。
私はYouTuberでもないので、具体策や改善策も見出せませんけれど、とりあえず動画にするなら、方向性をどうするのか、どう表現して伝えていくのかが重要なんだろうなと感じておりますが、おんなじことは私の文章にも言えますので、あんまり大きくは言えません。。
結局、上記の動画からわかるのは、脱炭素社会の実現には、自動車を電気主体に置き換えて、普及させていけば、CO2は削減できるのですが、では電気自動車である以上、電気を供給しなければなりません。
では、その電気をどこから持ってくるのですか、また電気を生産するにあたってどのような方法で、どのくらいのCO2を排出するのですか?
ということを、会長はひとこと伝えておきながら、それでも前へ進んでまいりますという趣旨で締めております。
エネルギーの生産においては、正直火力も原子力も自然エネルギーもけっこうお抱えな点があって、現在は10年前(そういや今年で10年ですか・・・)の東日本大震災の影響で、ほぼ石油を原動力とした電気に頼っている現状があります。
果たしてそれまでのガソリン車が出すCO2と、電気自動車が走行する際に必要な電気の生産にかかるCO2、どちらが多くCO2を出すのかという試算が必要なのではないかという考えに至ってしまいました。
そして、ガソリンやディーゼルのエンジンも技術的には向上しているようです、確かに以前なら1リッターあたり10km行くか行かないかというクルマも見受けられましたが、近頃は20km近く、ハイブリッドに至っては30kmを超えるようになってきたこともわかるように、進化してるのも頷けます。
電気自動車の普及もさることながら、現在あるハイブリッドカーやガソリン車に関しても生産を続けることで、消費者に対しても選択肢の幅を広げていくのもそうだし、地球環境を守るためにはそのすべてを電気自動車に頼ってはいいのだろうかという認識を持っていくことが非常に大切であるということを学ばせていただいた今回の機会でありました。
もっとも、今回の意見はクルマを動かす550万人にとっては、「なんだそんなことも知らないのか」という考えでいるのは間違いございません。
550万人のなかに含まれない私を始めとした多くの人たちに、自動車にまつわる最近の動向や課題を知っておくことこそ、大事なのかもしれないと思い、今回書いた次第であります。
この記事を書くにあたっては、自工会のサイトや動画、そして以下の記事も参考に致しました。
私も今年に入ってこのCMを受けて、自動車業界にかかわる問題点はどんなものがあるのか、と認知しただけあって、まとまった説明はまだできない状況下になりますけれども、ひとまずこの解釈で理解して記述しては参りました、そのつもりですけれども、以後も適宜振り返って、修正していくことも大切だというふうに感じておりますので、どうぞお手柔らかにお願いいたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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