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名作を振り返る クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃(ネタバレあり)
映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃は紛れもない名作である。基本的に映画クレヨンしんちゃんは泣ける。だがユメミーワールドは群を抜いて泣いた。気付いたら号泣していた。それも何回も。
この映画は夢映画だ。混沌とした夢世界と現実世界を行き来する。パプリカや悪夢ちゃんなど、なぜ夢を題材としたものは名作揃いなのだろうか。
以下あらすじ。(wikipedia)
ある日、巨大な魚に呑み込まれる夢を見たのをきっかけに野原一家を始めとする春日部市民たちは夢の中で巨大魚の体内にある不思議な世界「ユメミーワールド」に迷い込む。その世界ではやりたい事が自由にできるということで二度目の時、市民たちは自分の夢に浸っていくが、その中で大人たちのは小さく不完全な夢で謎の生き物によって奪われて魚の体内に放り出されてしまう。魚の体外は地獄のような世界で次々と現れる恐ろしい出来事=悪夢にうなされた大人たちは次第に元気を無くし、日が経つにつれて子供までもが夢を奪われて悪夢ばかり見るようになってしまう。 それに気づいた野原しんのすけ達カスカベ防衛隊は原因を探るため、悪夢のせいで元気を無くした佐藤マサオの代役として春日部に引っ越してきた少女・貫庭玉サキを仲間に加えて夢の中に入るも、風間トオルが彼女が春日部に来てから事件が起きた事と夢の中で見かけないことで彼女を疑い、後に原因がサキの父親・貫庭玉夢彦であることを突き止める。夢彦は悪夢しか見られない貫庭玉サキのために人々の夢を操っては楽しい夢を奪い取り、そのパワーで貫庭玉サキの悪夢を中和していた。 風間トオル、桜田ネネ、ボーちゃんも悪夢を見るようになり、サキとわだかまりが生まれる中、真相を知ったしんのすけはサキの幸せのためにサキの悪夢を獏に食べさせるという作戦を考え、仲間達を救う為、野原一家は揃って夢の中へ入っていく。
この映画の肝はなんてったって貫庭玉サキの存在だ。彼女は可愛すぎる。悲しい過去を背負った女の子。悪夢に魘される女の子。最初は無愛想だったサキちゃんが徐々にしんのすけ達に心を開いていくのが喜ばしいし可愛い。前半はしんのすけをお馬鹿と言って冷たくあしらっているのに、後半はもうしんのすけにどっぷりだ。サキちゃんが「しんちゃん」という度にめちゃくちゃかわいい。このツンツンからのデレデレは落差が凄い。進撃の巨人で普段は無表情で冷たいミカサが死を覚悟したときにエレンにマフラーを巻いてくれてありがとうと言った時のあの可愛さに通ずるものがある。途中しんのすけとサキちゃんが駆け寄って、互いに手を取り合う。なんて名シーン。しんのすけがかっこよすぎる。妬けるぜ。
とにかくサキちゃんがかわいい。最初の無愛想な時もかわいいし心を開いてからもかわいい。無表情でチーター達から逃げ回るサキちゃんも可愛いし、お馬鹿なこと言わないでと言って泣くサキちゃんもかわいいし、しんのすけの家で黙ってお好み焼きを食べてるサキちゃんもかわいいし、なにより心を開いてからの「しんちゃん」がかわいい。可愛すぎる。一つ言っておくが私はロリコンではない。
それにこの映画、話がよくできている。脚本にはまさかの劇団ひとりの名前が。彼の多才ぶりには驚かされる。
彼のコントは実に面白い。圧倒的な演技力に加え、ネタの見事な構成。彼の変態ネタは圧巻だ。
それに文才。彼の著書、陰日向に咲くは感動を呼ぶものからラストに驚かされるものなど、彼の才能が詰まった短編のオムニバスだ。そんな彼が脚本に入る、面白くないわけがない。
サキちゃんが過度にお馬鹿を嫌うのは過去の自分のお馬鹿を悔いているからだし、バクを探しにいって見つけたのが大和田獏だったという劇団ひとりらしい展開にはちゃんとボーちゃんが前フリを入れているし、ネネちゃんとサキちゃんの約束もちゃんと果たされるし、実に素晴らしい。
サキちゃんが研究所で暴れるシーンが泣ける。今までの自分を赤裸々に語る。みんなが私を変えてくれた。みんなを巻き込みたくない。友達が欲しかった。泣ける。
みさえがサキちゃんに語りかけるシーン。お母さんが自分を恨んでいると思い込んでいるサキちゃんに母親とは何かを諭す。一言一言が真に迫るよ。泣ける。
それからサキちゃんのママが現れてサキちゃんに語りかける。泣ける、泣ける。
過去の自分との対話。幼いサキちゃんに、消えなくていい、自分の中にずっといていいよと現サキちゃん。彼女はこれからはうまく自分の過去、悪夢と向き合っていけるだろう。泣ける、泣ける、泣ける。
大和田獏が久美子ーと叫ぶシーンがあるが、それはタイムリーで悲しい。悲しいといえばどうやらこのユメミーワールドが藤原哲治がヒロシの声をした最後の映画になるらしい。悲しい。
とにかく明るい安村が出ていることにより懐かしさを感じる。この映画は2016年。消えてしまったな、安村。
城咲仁という謎の采配。別にこの時期出ていなかったよなと思う。
サキちゃんのお母さんが吉瀬美智子。吉瀬美智子はいい。美しい。安田顕が声をするお父さんも良かった。娘を救いたいという強い思いをびしびし感じた。悪役にもそいつなりの正義がある。彼はサキちゃんを救いたいだけだったのだ。
ひとつ思ったこと。サキちゃんは制服は着なくていいのか? 短期入園だからよしとされているのか。だけど紫のオーバーオールは普段着すぎないだろうか。チーターもヒョウ柄着てるしなんでもいいのか。
なんにせよ蛇足だ。
爆睡!ユメミーワールド大突撃。是非おすすめしたい映画だ。
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