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私的遣欧日記12

雨の6日目。Malteさんならこの空を見てこう言うだろう。「It’s Denmark」と。煙るような霧雨。風景が一層幻想的に見える。クリスチャニアの脇を通り過ぎ、運河沿いを北上する。今回の滞在で3度目の再訪となるカフェへ。また「NOT CHOCOLATE」という飲み物をオーダーする。穀物コーヒーのようなきな粉のような風味と優しい甘み。材料は「バリ」だと聞こえたが、何なのか分からなかった。

そのままさらに北上する。立ち止まってどの道を歩くか夫と相談していると、「May I help you?」と男性が話しかけてきた。目的地を告げお勧めのルートを聞くと、親切に教えてくれた。皆、優しい。お勧めどおり運河に沿って歩く。絹糸のような雨。しっとりと濡れた樹々。パリのギャラリーでアンパンマンが淹れた玉露を飲んだお客さまが「雨の中を散歩しているみたい」と表現したのを思い出す。あの玉露はこんな味だったのだろうか。

建物が減りひっそりとしてきた。あった。nomaだ。今回は場所だけ確認。次はギャラリーへ。ここはゆきこさんとシモンさんがお勧めしてくれた場所。お二人のお部屋で見た作家さんの作品がたくさん並んでいる。思わず一つ購入。二階は有料の展示をしているが、作品を購入したところそのまま見せてくださった。広い広い空間。日本人の方の作品もたびたび展示されているらしい。

バスに乗りカールスベア美術館へ。館内の真ん中が植物園のようになっており、ぐるぐる巡るだけで楽しい。カフェで一休みした後、広場を通ってダビデ・コレクションに向かう。イスラム美術に特化した美術館で入場無料。正倉院にありそうなガラス碗がずらり。どうしても「抹茶碗に使えそう」と思ってしまう。

最後の夜。フリッカデーラを食べてみたかったけれど、お腹が空いていないのでサンドイッチを半分こ。お酒も飲まずゆっくり夜を噛みしめた。

2019年11月2日

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正垣文
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