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#20 貝殻アートでこどもたちを海の冒険へと誘う「タツノオトシゴ」さんとは!?

海に魅せられて芦屋町への移住を決めた吉野美香さんは、“タツノオトシゴ”の名で活動する貝殻デザイナーです。昔から動物が好きで、イルカ・アシカのトレーナーを経て貝殻アートに目覚めたストーリーを追うとともに、吉野さんが開催する貝殻・ウニ殻ワークショップや芦屋港の活用についてお聞きしました!

タツノオトシゴ
ビーチコーミングで集めた貝殻でアクセサリーや雑貨を製作。作品を通して貝などの自然の造形美や生き物の魅力を伝えたい!とワークショップなどの活動も実施してます。
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小さな緑のウニ殻で作ったクリスマスツリー

Q どんな活動をしていますか?

貝殻・ウニ殻・流木などを使った作品を、地域マルシェハンドメイトサイトで販売しています。制作は全て自宅の一角の作業スペースで行っていて、インテリアとして飾れるウニツリー貝殻のリースウニランプも作っています。また、貝殻に磁石を付けたカレンダーや、ウニの殻を使ったクラゲのオーナメントも制作しています。

クラゲのオーナメント

Q どのように作品を作っていますか?

素材を集め、イメージを決めて制作に取り掛かります。その時拾ったものから着想を得て、たまにYouTubeをヒントに作ります。貝殻拾いは夏にするイメージがあると思いますが、秋や冬にもお宝がいっぱいです!激しい波で地下に眠っていた貝殻が打ちあがっていたり、水温が低くなって死んだ貝を発見できたりします。さらに、夏は砂浜に人が多いので貝殻が踏まれて割れてしまいますが、秋冬はきれいな状態で残っているものが多いです。

拾った貝殻がこんなにたくさん!

Q 貝殻アートを作り始めたきっかけは何ですか?

趣味で貝殻拾いをしていて、集めたものが増えてきたので種類を調べて分類するようになりました。産休中に時間があって、「せっかくだから集めたもので作品を!」と作り始めました。友人にお祝いのプレゼントとして贈っていましたが、たくさん作品ができたのでもっといろんな人に届けたいと思い、販売も始めました。

壁には、集めた素材がビンに分類されてずらり!

Q ウニランプには、いろんな形や色のウニ殻が使われていますね!

そうなんです。日本では10種類以上のウニが発見でき、色や形だけでなく模様も違います。ちなみに赤い殻を持つ個体もいて、見つけたらわくわくしますね!海外には、もっと丸かったり、大きいサイズのウニ殻もあるそうです。
アサリやサクラガイなどの二枚貝、サザエなどの巻き貝などと分類していくと、把握しきれないくらいたくさんいて、その一つ一つを集めていくのは達成感があり、夢中になります。

ウニ殻をサイズによって分けて保管している

人によってはただの漂着物ですが、私は「それがどこから流れてきたのか、どんな作品にしようか」とわくわくするので、宝物に見えます。ある日、海岸を照らしている人がいたので、話を伺うと「石の中に水晶が入っているものを探している」とのことでした。芦屋町の海には、そういったコレクター仲間がたくさんいます!私のこどもも一緒に海へ行き、見つけたものを収集しているので、どんどんコレクションが増えています!

こどもに大人気のウニランプは、ウニの種類が書いてある!

Q イベントに出店されているんですね!

町内や宗像市、北九州市で出店しています。多い時には週1回くらいのペースでマルシェの出店やワークショップの開催をしています。中でも人気なウニランプ作りには、たくさんの小学生が参加してくれます。手間取っている子には「ボンドはこっちで付けるからね」と、できそうなところだけをしてもらいます。慎重にゆっくり作る子もいれば、直感であっという間に完成させる子もいて、作品づくりに性格が出るので面白いです!親御さんも一緒に「芦屋町の海で、こんなきれいな貝殻やウニ殻が拾えるなんて知らなった!」と楽しんでくれます。

木を組み立てるところから吉野さんが作った「海ガチャ」は、真ん中の枝を回すと水色のカプセルが出てくる仕組み。カプセルの中には海のお宝が…!

Q 芦屋町で生まれ育ったのですか?

いいえ、生まれは神奈川県です。動物への興味から動物専門学校に入り、その後島根県の水族館に就職しました。水族館や動物園は、求人が多くないので、受かったところが島根県だったという感じです。7年ほどシロイルカ・アシカのトレーナーを経験し、その後、福岡県に引っ越してきました。ずっと貝殻拾いが好きだったので海の近くに住みたいと思い、芦屋町に移住を決めました。実家が中間市ということもあって、芦屋町のことは知っていました。人が少なくてゆっくり貝殻拾いができる海が近くにあるので、私にとって理想の場所です!

Q どうして水族館のトレーナーになったのですか?

「動物がとにかく好きでたまらない」という思いから、動物関係の仕事を探していました。高校3年生でスキューバダイビングを始め、特に海の生き物が好きになり水族館で働くことを目指しました。動物の専門学校で生態などを学び、水族館に就職しました。水族館でのショーを見ると、「華やか」という印象を持たれると思いますが、それはトレーナーの仕事のほんの一部にすぎません。実際は、掃除やエサづくりの仕事がほとんどです。それでも、動物の生態を知ってもらえることが嬉しくてやりがいを感じていました。今もワークショップで海の生き物や貝殻について、こどもたちに伝える機会が多いので、当時の経験が繋がっているなと感じます。

「アシカが鼻先に器用にボールを乗せられるのは、
感覚器官であるヒゲが敏感に察知し、ボールを落とさないからなんです! 」
と動物のことを詳しく教えてくれる吉野さん

Q タツノオトシゴという名前の由来を教えてください!

こどもの頃、砂浜で打ちあがっているタツノオトシゴを偶然見つけましたが、途中で落としてしまい、その後探し続けても見つかりませんでした。しかし、ダイビングをするようになってから水中で発見できました!活動名を考えているときにそれを思い出したのと、こどもたちが覚えやすい名前にしたいという思いでタツノオトシゴに決めました。横文字のおしゃれな名前も迷ったのですが、結構覚えてくれるので「この名前にしてよかった」と思っています。

海ガチャの側面に、ウッドバーニングで入れたタツノオトシゴ

Q 芦屋港の活用アイディアを聞かせてください!

芦屋海岸で開催された「わくわくシーサイドマルシェ」に出店した時に、海沿いに人が賑わうのはいいなと感じたので、定期的にマルシェが開催されたら嬉しいです。また、マリンスポーツや海の観察会ができる環境になるといいなと思います。さらに、芦屋町の海では磯焼け(※)という問題があるので、ワークショップを開催して、こどもたちが学べる場を作れたらいいなと思います。

(※)海水温の上昇やウニによる藻類の過食によって、沿岸の岩礁に生息する藻類が減って回復に時間を要する。それによって魚の住処がなくなり、生態系が崩れる問題。

木枠に収めた貝殻・ウニ殻の標本

今回は自宅にお邪魔して取材をしました。お家の壁じゅうに、細かい技を感じさせる、カラフルな貝殻の作品が飾られていて、釘付けになりました。作業スペースには、色、形、サイズで分けられた宝石のような貝殻が、ビンに詰められてずらーっと並んでおり、わくわくする空間になっています。動物や海が好きで・・・と話している優しいまなざしが、吉野さんの自然に対する愛情を物語っているようでした。

(文ー上田裕菜)


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