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#16 四季折々のプリンを届け、芦屋町を巡るきっかけを作りたい!
ニカっと笑顔の縄田卓幹(たくみ)さんが作るのは、芦屋町の魅力をぎゅっと詰め込んだ“あしやんぷりん”。カラメルと芦屋町の海をイメージしたロゴと、ぽてっとした形が魅力的なぷりんは、どんなこだわりで作られているのか、芦屋町にUターンして開業した理由と芦屋港の活性化についてお聞きしました!
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あしやんぷりん
〒807-0121 芦屋町船頭町1-45 1F
営業時間:10:00~18:00
定休日:水(詳しいスケジュールはインスタグラムで https://www.instagram.com/ashiyanpudding/ )
TEL:093-232-7937
Q あしやんぷりんは、芦屋町ならではのポイントがあるんですか?
芦屋町の塩を使っているのがポイントです!市販の食塩だと塩分濃度が約99%でミネラルが約1%なのですが、使っているパルセイユ株式会社の塩は塩分濃度が約72%と低く、その分ミネラルが豊富で世界レベルに質の高い塩なのです!塩分が強すぎないので、ぷりんに入れても主張しすぎず馴染みます。塩とカラメルを別添えにしているので、苦手な人でもどちらかだけかけたり、途中で味変したりできます。
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ぷりんの種類としては、なめらか・かため・生ぷりん・抹茶があり、季節限定でさつまいも・かぼちゃ・コーヒー・甘夏・シャインマスカット・ブルーベリー・紅茶などを出しています。生クリームや卵の配合を変えたり、果実によって土台のプリンの甘さと硬さを調整したりしています。試作段階で、ぷりんの硬さを決めたくて知り合いに「なめらか」と「かため」どっちがいいかの投票を行ったのですが、半々くらいだったのでどちらも出すと決めました!今はどちらかというと、なめらかの方が人気ですね。また、これまで出した数あるプリンの中でも特徴的なのは「りんごパイぷりん」で、パイを別添えにして砕いたものをぷりんにかけて食べるという、当店ならではのアイディアで作らせてもらいました。「これは新しいね!」とお客さんからの反響もよかったです。
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原材料は卵、牛乳、砂糖、バニラオイル、生クリームです。卵はもともと甘さのあるものを使っているので、卵に合わせて味を調整しました。砂糖にもこだわっていて、上白糖よりミネラル分やうまみ成分を多く含むキビ砂糖を使用し、添加物をほとんど使っていません。
Q メニューにドリンクもあるんですね!
芦屋町の赤紫蘇を使って、今年からジュースとスムージーを作っています。赤紫蘇の葉っぱを水と砂糖で煮詰めて原液を作っています。その時点では暗めの色をしているので、レモン汁やクエン酸を入れてきれいな赤色を出しています。
シェイクの味はぷりん、コーヒー、いちご、抹茶、塩キャラメルばなな、チョコばななで、実は各シェイクにぷりんを丸ごと一つ入れています!トッピングの生クリームを付けるかも選べる、土日祝限定のメニューです。
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店頭で販売しているコーヒーは、行橋市のRoaster’s Laboというお店で、自分たちでブレンドしたので、ぷりんとの相性が抜群です。はちみつの甘さとほんのりとした苦みが特徴のメキシコブレンドと、華やかな香りを持つまるで紅茶というエチオピアブレンドを掛け合わせたオリジナルを作ってもらい、お店に置いています。
Q もともとぷりんを食べるのが好きだったのですか?
その通りです!その中でも特に塩ぷりんが好きだったので、地元で食べられるように自分で作ってみよう!と思い立ちました。また、ぷりんはこどもからお年寄りまでみんなが手に取って食べてくれると思い、専門店を立ち上げました。
芦屋町出身で、一度は自動車の整備士として町外で働きましたが、2か月に1回は実家に帰ってきていました。整備士で独立しようと思っていましたが、事業として収益性が見込めず、趣味にしようと考えを転換しました。そこで、やっぱり芦屋町が居心地いいと思い、戻ってきて出店しました。人の温かさと自然の豊かさがあってゆっくりできるのが、この町の魅力だと思っています。
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Q 開業って勇気がいると思いますが、きっかけは何ですか?
社会人になってから芦屋町に帰ってくるたびに若者が減って、活気がなくなっているように感じました。そこで、自分が店を開いてそれをきっかけに人が集まってくるようにしたい!と思い、決断しました。開業してから、目指していた通りお客さんがたくさん来てくれて嬉しいです。それが町全体の活気に繋がるといいな、と思います。
あしやんぷりんを他地域の人に知ってもらう活動もがんばっています。近隣地域のイベントに出店したり、デパートに置いてもらったりして、お客さんの目に触れるきっかけを作っています。同時に、お店に来てくれるお客さんを大切にしたいという想いで、季節限定ぷりんやシェイクは芦屋町の店頭限定にしています。
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Q 飲食業は初めてということで、苦労も多かったのではないですか?
芦屋町が海で賑わう夏までに開業したいという想いがあったので、試作の時間が限られました。その中で納得のいく味にたどり着くまで、寝ずに作業していたこともあります。そうやって、こだわりぬいて生み出した味だから、愛着をもってお客さんに販売しています。
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開業にあたり必要な準備は、自分たちだけでなく本当にたくさんの人が助けてくれました。開業してからも、お客さんから「こんなぷりんがあったらいいな」という声をいただきながら、毎月新しいぷりんを生み出し続けています。楽しみに待っているお客さんがいるからこそ、「よし、がんばろう!」と楽しんで作れています。お客さんに支えられながらインスタグラムのフォロワーは2024年11月時点で2,000人を突破し、皆さまに感謝を伝えるためにぷりんプレゼントキャンペーンを行いました。県外からのお客さんもインスタグラムを見て来てくださったり、プレゼントでもらって「また食べたい!」と買いに来てくださったりします。
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Q これから作ってみたい新商品はありますか?
実は、今も毎月のように新しいぷりんを生み出しています。素材を変えるだけでなく、同じ素材でも展開の仕方を変えています。例えばいちごは、ゼリーをのせたり生地に練りこんだり、生のいちごをのせたりしています。さらに挑戦したいものとして、少し値段は張りますが、無添加ぷりんを作ってみたいです。例えば、今使っている添加物であるバニラオイルをバニラビーンズに変えるとかですね。
以前、写真映えを狙って試作したメニューがありましたが、お店に出せる味ではないと断念したことがありました。プリンを試作する時は、味と見た目をどちらも追及してそのベストなバランスを探っています。
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Q 芦屋港の活用について、アイディアを聞かせてください!
道の駅や車中泊スペースを作り、トイレと電気を完備するといいと思います。また、土日はキッチンカーを呼んで、地元の食べ物が集結する場にすると、地産地消に繋がると思います。
地元で釣れた魚やイカを、その場で消費できる飲食店があったらいいんじゃないでしょうか!今は他地域に卸している漁師さんも、卸値を少し上げれば、町に卸してくれると思います。おいしさに間違いはないので、車でしか来られない芦屋町に、それをめがけて来るお客さんは多いと思います。
さらに、クリスマスマーケットや夜のイルミネーションなど、季節のイベントをすると「芦屋港にいけば、楽しい雰囲気が味わえる」と人気のスポットになるかもしれませんね。
「芦屋町が好きだから、戻ってきてお店を開きました」とてもシンプルだけれど、縄田さんの芦屋町への愛が伝わる言葉でした。芦屋町の塩を使って、季節のテイストでお客さんを楽しませる芦屋町ならではのあしやんぷりん。県外への販路を拡大して芦屋町を知ってもらおうとする縄田さんの想いが、全国に広がっていきますように!
抹茶ぷりんは、ほどよく渋みがあり、トッピングされた大納言とよく合います。ブルーベリーチーズのぷりんも、チーズケーキとぷりんが同時に味わえる、なめらかな舌触りの逸品でした!
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(文―上田裕菜)