きれいな花には毒がある⁉キンポウゲ科の植物
本日ご紹介するのはキンポウゲ科の植物たち。美しい花をつけるものが多く園芸品種・野生種問わず観賞用とされるものも多い。一方でトリカブトに代表されるように毒を持つものや薬用に用いられるも多い。そんな美しさと恐ろしさを併せ持つキンポウゲ科の植物の魅力をお届けしたい。
①ツクバトリカブト
葉しか出ていない時期は他の植物と見分けるのが難しい。夏~秋に紫のきれいな花をつけると非常に目立ち見つけることができる。緑の草むらの中に鮮やかな紫色が映える。毒草のイメージが強いトリカブトだが野草の中でもトップクラスの美しい花を咲かせる。名前の由来にもなっている通り、花は横から見ると烏帽子もしくは舞楽の鳥兜のような形をしている。
②ヘレボルス
クリスマス頃に咲く品種があることからクリスマスローズの名で親しまれている。和名としては「寒芍薬」とも言うそうで、寒い冬の時期に咲き、控えめに下を向いて咲く姿が愛おしい。
③セイヨウオダマキ
オダマキは山に自生する植物として有名だが、こちらは園芸用に品種改良された品種のようだ。花の形や色合いなど他の花にはない魅力がある。かわいらしいと言うよりはカッコイイ花という印象。
④ヒメリュウキンカ
その名の通り太陽の下で金色に輝く花弁が美しい。繁殖力が非常に強く家庭でもよく栽培されているが、一部地域では外来種として駆除の動きもある。美しい花に罪はないので栽培する際は気を付けたい。
⑤アネモネ
園芸品種として人気の花。アネモネは地下茎の一種の塊茎と呼ばれる球根のような物でどんどん増え、植えていないところからも顔を出したりする。茂った葉の根元からフック状の蕾がどんどん上がってくるのを見つけるとちょっとうれしい気持ちになる。雨上がりで少し濡れた花にはバッタも遊びに来ていた。
⑥ケキツネノボタン
茎に毛が生えていることから正式にはケキツネノボタンという種類ではないかと思う。キツネノボタンは葉がボタンに似ていることから名付けられたそうだが、こちらはあまり似ていないかもしれない。黄色い小さな花はヒメリュウキンカ同様光沢がありキレイだ。
⑦フクジュソウ
フクジュソウがすっかり葉を出していた。春先に花のみが先に顔を覗かせている様子をよく写真に撮られるが、こちらはその後葉が出てきた物。早くも毛虫が食べに来ていた。これから夏にかけて栄養を溜め込み、また来年きれいな花を咲かせてくれることだろう。
⑧ヒメウズ
ヒメウズの小さな小さな花が咲いていた。烏頭(=トリカブト)に似ていることから名付けられたそう。トリカブトとは花の時期が違うので間違うことはあまりないかもしれないが、辺りはツクバトリカブトの群生地でもあり葉しか無い時期だと分からないかもしれない。
⑨ニリンソウ
近くのイチリンソウはもう咲いていなかったのでニリンソウの方が遅くまで咲くようだ。その名の通り1つの花茎から2つ咲いているものもあれば、1つ咲いているものも3つ咲いているものもあった。純白の花が薄暗い林床に映える。
⑩クレマチス
アネモネと同様こちらも園芸品種として人気の高いクレマチス。クレマチスには様々な園芸品種があり、色や形は様々あるが、写真のようなシンプルなものも個人的には好きだ。
⑪アキカラマツ
雄しべが長い特徴的な形をした花が咲いていた。アキカラマツといい、秋頃に咲き、カラマツあるいはカラマツソウに似ることから名付けられたそう。地上部は薬用に用いられる。キンポウゲ科の花としてはかなり地味で少し意外だった。
⑫センニンソウ
名前は実の綿毛が仙人のひげに見えることから。十字に付いた白い花弁がとても美しい。ボタンヅルと花は似ているが葉の形などで区別できる。有毒植物で牛が食べないことからウシクワズとも呼ばれるが、根は生薬として利用されていたこともあるそう。
⑬サラシナショウマ
かなり特徴的な形の花だ。先端付近の花には花弁もみられるが、花弁は早く落ちて長い雄蕊だけが目立つ。名前は若い芽を茹でて水にさらして山菜として食べることから。根茎が升麻という生薬の原料となる。イヌショウマに似るが花穂と花との間に明瞭な花柄があるためサラシナショウマと思われる。
⑭イヌショウマ
はじめはサラシナショウマかと思ったが花穂と花との間に明瞭な花柄がないためイヌショウマではないかと思う。イヌとついている通り(植物ではよく役に立たないという意味で用いられる)、サラシナショウマとは異なって食用や薬用にはならないそうだが、花はこちらも特徴的で長い雄蕊がかわいらしい。
⑮シュウメイギク
名前は秋の終わりに菊に似た明るい花をつけることから。京都の貴船あたりに野生化していることから別名貴船菊とも呼ばれる。菊とついているがキク科ではなくキンポウゲ科の植物である。冬が近くなり花が少なくなるこの季節にかわいい花がよく目立つ。
⑯キクザキイチゲ
葉に細かい切れ込みがあるのでアズマイチゲではなくキクザキイチゲではないかと思う。この日はやや曇りだったため花は完全には開いていなかったが可憐でとてもかわいらしい。ちなみにイチゲは一華であり、一つの茎に一つの花を咲かす様子から名づけられた。イチリンソウ属でキクザキイチリンソウともいう。
⑰ウマノアシガタ
キツネノボタンによく間違われるが、葉や実の形からウマノアシガタと思われる。葉の形を馬の足形に見立てたものらしいが、個人的にはあまりそうは見えない。キンポウゲ科らしい光沢のある花弁を持つ花が美しい。
⑱キツネノボタン
山道でキツネノボタンの可愛らしい花が咲いていた。ウマノアシガタと似ているが、こちらは種の先端が鉤爪状になっており、葉も完全に3つに分かれた複葉となっているのでキツネノボタンで間違いなさそうだ。日当たりの良い斜面ではウマノアシガタが大きく堂々と生える一方で、日陰の山道ではキツネノボタンが小さくひっそり咲いており、力関係の一端を見た気持ちだ。