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「想像しづらいトランスジェンダー当事者の困難について」
女性の皆さん、男性に、なかなか女性の生きる上での困難を理解されなくて困ったことはありませんか?
日常で感じることの多い身近な例では、
電車での痴漢
夜道を一人で歩く怖さ
下着などの洗濯物の干しづらさ
他人から服やメイクの評価の受けやすさ
女性向け商品の値段の高さや質の悪さ
などが挙げられます。
実は、トランスジェンダー当事者も、シスジェンダーの人になかなか理解されず、悩んでいることがたくさんあります。
今回の記事では、トランスジェンダーの方々が直面する困難について解説していきます。
トランスジェンダーとシスジェンダーの意味について復習したい人はこちらの記事をご一読ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1669208229522-2diTic2saB.png?width=1200)
差別は複雑に交差して行われる
具体的に、トランスジェンダー当事者が日常で感じる困難を紹介する前に、まずはフェミニズムのなかでもとても大切な考え方「インターセクショナリティ」について解説していきます!
インターセクショナリティとは、社会的不平等には、複数の要因(例えば、貧困、性別、障がい、人種など)が多層的に交差しており、それぞれの問題を切り離して考えることができないと考えること。
私たち1人ひとりが持つ背景は、本当に多様で様々です。
そして、私たちが生きる社会には残念ながら様々な形で差別が行われてしまっています。
たとえば、ジェンダー。
たとえば、セクシュアリティ。
人種、国籍、経済的な格差、障がいの有無。
すべての人がこれらの様々な視点から、同時にマイノリティとマジョリティの立場の両方に立つことがあります。
つまり、何かの理由によって抑圧を受ける立場に置かれてしまう人が、別の事柄に関してはマジョリティの立場に立つことがあるということ。
自分がマジョリティの立場にいる事柄に関して、マイノリティの人々の現状が見えづらい瞬間は、誰にとってもあるのです。
なかなか「自分がマジョリティであるために生きやすくなっている」状況は気づきづらいものですが、同時にそうした複雑さを「ないこと」にすることは、差別のない社会にはつながっていきません。
具体的に直面する困難は違ったとしても、共通した問題点を見つけながらともに差別に反対していくことが大切です。
それでは次に、シスジェンダーにとっては想像することが難しいこともある、トランスジェンダー当事者の困難について解説していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1669208579398-SqwNjwgD0q.png?width=1200)
シスジェンダーに理解されにくい差別の例
・ミスジェンダリング(自身の性自認と異なる性の扱い方)をされてしまう
・自分の性自認を誰かに証明しばければいけない、またはしなければいけないとプレッシャーを感じる
・性自認を公表することによって、家族や友人、恋人との人間関係が壊れる可能性がある
・性別で区別された空間で居心地の悪さを感じる(トイレ、公衆浴場のほかに、シェルターなど公的支援の場も含まれる)
・トランスジェンダーだと明らかになることを恐れて、病院に行きづらくなる
・性別適合手術やホルモン接種を受けるために多額の医療費が必要。性別適合手術やホルモン接種による身体の負担や変化を感じる。
・性自認を公表することによって、社会的に不当な扱いを受ける(トランスジェンダーを理由に受ける性暴力や就業差別、マイクロアグレッションなど)
これらの例を読んで、シスジェンダーの方の中には「ピンとこないな」と感じる方も多いかもしれません。
ピンとこなかった方は、ぜひ「もしかして、状況によって自分が特権的な立場にいたからかもしれない」と考えるきっかけにしてもらえると嬉しいです。
一方で、トランスジェンダーの当事者が抱える困難は、シスジェンダー女性の困難とも関連性があります。
さらに具体的に見ていきましょう。
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トランスジェンダーとシスジェンダーの共通の壁
トランスジェンダーの当事者が戸籍の性別を変更するためには様々な条件がありますが、そのなかに「性別適合手術を受けること」というものがあります。
これは、世界的に見ても「実質的な不妊手術を受けることが強制されている」という点で批判を集めています。
自分の性自認にあった性別で社会的に生活を送るためには、身体的・経済的に負担の大きい手術が必須であるという状況は、トランスジェンダーの人々の「身体の自己決定権」が損なわれている、と言えます。
身体の自己決定権はフェミニズムでも重要なテーマです。WHOから勧告もうけているように、世界的に導入されているより安全な中絶方法が日本ではまだ行えない問題や、アメリカで中絶の権利を保障していた最高裁の判決が覆された問題などがあります。身体の自己決定権をめぐる闘いはフェミニズムの議題の中でも中心的なものであり続けているのです。
トランスジェンダー当事者が直面する問題も、この身体の自己決定権という視点から考えていくことができます。
この他にもトランスジェンダーを理由に受ける性暴力や就業差別があるのと同じように、シスジェンダー女性も性暴力や就業差別を受けやすい状況が残っています。
ジェンダーやセクシュアリティを理由とした性差別や性暴力のリスクに、トランスジェンダーの人々もシスジェンダー女性も直面しているのです。
これらの例はごく一部。シスジェンダー女性とトランスジェンダー当事者は共に闘うべき社会問題や障壁があります。
繰り返しになりますが、トランスジェンダーの権利とシスジェンダー女性の権利は、決して相反するものではありません。
私たちは、インターセクショナリティの観点を忘れないようにしつつ、見えにくい差別や困難に向き合うことが、差別や理不尽な社会構造と闘うことにつながると信じています。
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