見出し画像

悲しい言葉にならないように

人が一人 部屋に一人 涙を流したとして 誰にも知られない孤独がある

雨が一滴 空から一滴 地にゆっくりと染みていたとして 誰にも知られない幸福がある

緑のスカートが揺れている あの子はどこの子 道幅の狭い角

懐かしい記憶に 目を閉じて オレンジ色の電球を変える

なんとなく 君を思い出せない

眼鏡の曇りをふくたびに 何かを見えなくさせている

真実の奥に見える 不思議さ あなたには分からない怒り それは時代に埋もれた言葉 

悲しい言葉にならないように 私は私を保っている

悲しい言葉にならないように 私は白湯を飲んでいる

悲しい言葉にならないように 私はドアの鍵を閉める

そうやって生きていく先に 何かを見つけられると信じて