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夏がきた だけど

夏になった
さわやかな夏だと感じていたのは
この病気になる前のことで
病気になってから
夏は過ぎるものになった

病院の帰り道
トボトボ歩いている
医者の前では患者だし
近くにあるケーキ屋さんによっても
ケーキは食べられないし

ショーウィンドウをぼうっと眺める
子どもがショートケーキを指差して笑っている
足元をふとみると ジリジリゆらゆらしていて
夏だなぁ、とふと思う

病気の自分に甘えているのか

病気の自分にしがみついているのか

悔しいな と思いながら
電車に乗る
この白い錠剤にどれくらい時間をかけて
どれくらいの投資をして
わたしは

病気を理解してほしいなんて
そもそも理解できるなんて思わない
周りにいる人のことも理解できるなんて
傲慢な事は思っていない

「持病があって」

どういうテンションで言えばいいんだろう
明るく茶化して言えばいいの?
真剣に言えばいいの?

「みんなきついんだよ」
あ、私が1番きついなんて思ってないです

「大丈夫だよ」
勝手に大丈夫にするなよ

言わないで我慢したほうが
ずっとマシだ

ただ私は話をきいてほしいだけなのに 
それが難しいのかな
殻に閉じこもっているわけじゃないけど
理解してほしい人に理解してもらえてるから
それ以上を求めてもそれはワガママだ

電車 深呼吸

窓辺に小さくなって死んでいる虫を見ていると
次の瞬間 綺麗なひまわり畑が一瞬一瞬うつる
その光景が今の私の気持ちを表しているようで
胸の奥深くがジンとする

いつから泣けなくなったのか
泣かなくなったのか

数年後
ひまわり畑だけを見て
「きれいだね」と誰かに笑って言えますように

私は明日も