見出し画像

座敷わらし(精霊)のトッコちゃん(2)「見えなくても、いてくれてた」

  4歳の頃に両親が離婚して妹がいなくなってから、実家の座敷わらし(精霊)のトッコちゃんを「妹が小さくなってまた来た」と思って遊んでいた。一緒に遊んでいた期間はどれぐらいだったかはわからないが、けっこう遊んでいた記憶がある。
 ある時、トッコちゃんと縁側あたりで遊んでいたのを2歳上の姉が障子越しに見て、後で話しかけてきた。
「あんた誰と遊んでんの?」
「え?妹、A子だよ」
「A子はいないわよ」
「いるもん!」
「この子変だよーっ」
と、言われてそれ以来、トッコちゃんは見えなくなった。
 見えてるのが変だとおかしいと言われたのがショックで、自分しか見えてないものは見えてはいけないと考えたのか、それともトッコちゃんのほうで見えないほうが僕のためにと思って出てこなくなったかはわからない。
 だけど、見えなくなったきっかけはこれだった。

 それから、2018年にふくおかAさんのセッションで調べてもらうまで、小さくなってまた来た妹が座敷わらしのトッコちゃんとの記憶とはわかってなかった。
 だからか、大きくなって妹に小さい頃に遊んだ思い出を話しても「覚えてない」と言われることがいくつかあって、妹が小さすぎたから覚えてないんだろうと思っていたが、
①妹が小さくて覚えてないけど、本当に妹との思い出
②トッコちゃんとの思い出だから、妹はそもそも知らない
結局、どっちかわからない記憶がある。

 他にも、小学生になった妹が両親の離婚後に遊びに来てかくれんぼを家の中でした時に、僕は探しても見つからなかったらあきらめてテレビを見始めたことがあった。
 当然、妹から
「なんで探しに来ないのっ」
と文句を言われたが、あの時僕は
「あれ?出てくるんだ?」って不思議に思ったことがある。
 今なら、トッコちゃんが家の奥のほうに消えていったら探しても見つからないって経験があって、それで見えなくなって見つからない時はその日は遊びは終わりなんだっていう理解でいたから、かくれんぼで見つからないならこれ以上探しても仕方がないでテレビ見たんだと思う。
 やっぱり、トッコちゃんは誰か他の人が来ると家の奥とかにいって消えたんだと思う。

新宿御苑で2016年ごろに撮影した睡蓮。トッコちゃんの記事は画像がなくて挿絵代わり。

 姉の一件以来、トッコちゃんが見えなくなって忘れていたけど、これまで2018年のふくおかAさんが謎を解くまでにわかっているだけでも2回は出てきてくれている。

 1回目は、僕が高校生の頃に電車通学していて、自宅の最寄り駅を乗り過ごした時に、次の駅か2つ先の駅は同じ町だけど山奥で1日6便しか来ない駅で降りた。定期券見せて学生で寝て乗り過ごしたのと、2時間ぐらい便がないのをかわいそうに思ってか、運転手(車掌)は切符はいいよと言ってくれた気がする。
 1駅か2駅だけど次の戻る便は2時間後だった。スマホもない時代で、タクシーも駅前にいないし、あってもいくらかかるかわからないし、高校生のお小遣いでは乗って帰るには高すぎる。3千円ぐらいだろうけど、高校生にとっては大金だ。タクシーは使えない。

 スマホがないからグーグルマップもなく、地図がないので頭の中でおそらくこの辺りだから、この辺に歩いたらいけるかもという推測を立てて、2時間待つよりも歩いて山奥の駅から帰ることにした。途中、中学時代に好きだった女の子に家がありそうだと思ったのもある。
(もしかしたら乗り過ごした時でなくて、休日に行った時かもしれない)
 
 しかし、完全にその脳内の地図は間違っていた。そりゃそうだ、行ったことがない道を記憶を頼りにこの辺とこの辺がつながってるんじゃないかと推測しただけだから。平地ならそれでもある程度推測で行けただろうけど、山奥だから、道が山で迂回していた。
 それで、山をアップダウンして苦行みたいになっていた。
休憩したいと思ってるところへ、山奥に遊園地の廃墟があった。
「無断で侵入したら罰金1000万円」
と、管理者が反社会的な感じで物騒なことも書いてある。
 なにより、なんでこんな山奥に遊園地なんか作ったんだ。アクセス悪すぎし、でも山歩きばっかりで退屈だったからちょっと寄っていこうと敷地内に入った。

 山の斜面に遊園地っぽい施設が廃墟になってだいぶ経っている感じだった。建物は取り壊したのとそのままの物があって、草がかなり伸びていた。
 見つかって罰金も嫌だが、少し見て回っていると水の止まった噴水や建物も上のほうに見えた。山奥なので、当然無人で人の気配もなく、静かだった。栄枯盛衰みたいな感じがした。

 で、ふと後ろを見ると足元に保育園ぐらいの女の子がいた!
女の子は心配そうな顔で僕を見上げている。ギョッとした。

 いつの間に後ろに来たんだ?足音なんかしなかったし、普通こんなぴったり後ろにいたらすぐ気づくのに。
 それより、こんな山奥で小さい女の子がいるって、近所の子なら親が近くにいるはずって一瞬周りを見渡したけど、親らしき人は誰もいない。
  それで足元の女の子に「家はどこ?」って聞こうともう一回見ると、誰もいなかった。
 え?って思ったが、すぐ
「疲れてるな、、もうここから出よう」
と思い、素直にこの遊園地だったような廃墟の敷地から出た。
 この時のことは今でも鮮明に覚えている。心配そうに見上げる女の子の顔もはっきり覚えている。
 
 その後は、山道が延々続くのでもうあきらめて、人生で初めてのヒッチハイクをした。幸い、手を上げたら1台目で車が止まってくれて、事情を話すと乗せてくれて
「お腹空いてないか?」
と聞かれて、ふもとの町(香北町)でスナックでうどんをごちそうしてくれて、僕の最寄り駅まで送ってくれた。家に送ってもらわなかったのは、駅に自転車を止めていたから。

 ともあれ、廃墟で女の子を見て、廃墟を出て少し歩いてたらヒッチハイクできて帰れた。なぜか食事をごちそうしてもらって。ヒッチハイクせずに歩くとさらにふもとまで数時間で、しかも隣町だったから完全に脳内地図が間違っていた。
 15年以上後、ネットが普及してからわかったのだが、この廃墟とその前の橋は有名な心霊スポットだった。

 この廃墟は、今は当然もうなくてグーグルマップでも更地になって何もない斜面で見つからないが、ネット検索すると、

麓宝園跡 - 高知県の心霊廃墟
「麓宝園(ろっぽうえん)はもともとレストランや遊技場があったレジャー施設だったが、昭和50年代に廃業してしまった。
しばらくは廃墟として残っていたが現在は解体されて何も残っていない。 だが、ある事をすると麓宝園があった場所に病院のような建物が現れるという噂がある。
そのある事とは見返り橋で振り返る事だ。
振り返った者だけがその建物を見つけることができる。
しかし建物の中に入ってしまうと外へ出る事ができなくなるという話もあるのでもし見つけても決して中には入らないように。
念を押すが麓宝園があった場所には現在は何もない。」
と記載されていた。
 このサイトには、YouTubeの動画が張り付けてあった。動画の最後のほうに廃墟が更地になる前の映像があって、麓宝園の前には見返り橋という別の心霊スポットだということだった。

 初めて行った時(平成の頃)から15から20年ぐらい経ってから検索して見つかって、内容読んだら鳥肌が立った。でも、おかげでグーグルマップでは更地になってて見つからなかったけど、自分の記憶は合ってたのと、駅は最寄り駅の2つ先の繁藤駅だとわかった。

 ともあれ、廃墟で知らず知らずのうちに心霊スポットに入っていったが、小さな女の子が一瞬だけ出てきてくれたおかげで助かった。
  女の子は何も言わなかったが、あの心配そうな顔は今も覚えている。当時は、疲れのせいにして納得したが、ずっと覚えていて2018年のふくおかAさんのセッションで、
「じゃあ、あの時の廃墟の女の子はトッコちゃんだ!」
と気づいた。めっちゃ時間かかって気づいた。
 廃墟で出てきてたトッコちゃんは、保育園か小学校1年生ぐらいに成長していて、実家で遊んでいた頃の赤ちゃんがハイハイするぐらいの年齢から成長していた。人間よりもはるかにゆっくりと成長してた。
   確かに、あれは僕を助けに出てきてくれたんだと分かった。

 地元の友人の原に、
「山奥の遊園地がつぶれたみたいな廃墟で、振り返ったら小さい女の子が足元に来てて、驚いて周りに親がいるんじゃないかって見たけど誰もいないから、もう一回を見たらもう女の子いなかったんだよ。俺疲れたから一瞬女の子が見えたよ」
と話したら、
「そんな廃墟とか入っちゃダメだよ」
と言われ、廃墟だから何か見えたのかと思って当時はそれで納得していた。 
 高校生の頃は、まだ幽霊怖いのレベルで不思議な話(スピリチュアルなこと)は理解できなかった。怪談話も怖くて嫌だった。

 2018年のセッションで座敷わらしのトッコちゃんのことがわかってから、この廃墟(心霊スポット)から僕を出すために出てきてくれたんだと気づいた。
  そして、小さい頃に姉に変だの言われてから見えなくなっていたけど、ずっとトッコちゃんはそばにいて僕を護っていてくれていたんだと分かった。 

 トッコちゃんは本当にピンチの時は姿を現してくれて、心配そうな顔で見れてくれて廃墟から出るように誘導してくれて、もしかしたらヒッチハイクも力を貸してくれたのかもしれない。
 だから、見えないは「いない(存在しない)」じゃなくて、見えなくてもそばにいてくれてるんだとわかった。

つづく。
トッコちゃんの前の記事↓

関連記事:振り返ると「得るべきものは得ていた」(ショート版)、AIイラストの補足|池さん
【AIイラスト】なぜこれを描く?|池さん
【記事紹介】pink cashmereさんの翻訳記事「ジム・ブルートンさんの臨死体験」|池さん

龍の話1「龍が体内に入る」(ちーちゃんとクーちゃん前編)|池さん
龍の話2「クーちゃんの帰還」(ちーちゃんとクーちゃん後編)|池さん
龍の話3「龍が見える人、さわる人」|
龍の話4「クーちゃんの導き」「ちーちゃんの一喝(前編)」|池さん
龍の話5「ちーちゃんの一喝(後編)」「生霊を追い祓う」|池さん

沖縄とお線香1「神人の上原先生、神様の合図」|池さん (note.com)
沖縄とお線香2「宿とラップ音」|池さん (note.com)


沖縄とお線香3「英霊と土佐之塔」|池さん (note.com)
沖縄とお線香4「夕起子さんとの再会」|池さん (note.com)

出雲の話1「出雲大社の縁結大祭」(沖縄と出雲のコラボ)|池さん
話|池さん
プロフィール&登場人物紹介(10/20)|池さん

不思議な話、スピな話|池さん|note

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集