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沖縄の話4「大石林山と聖地アシムイ」(中編)「辺士名の町、H安山さん」
2016年12月から沖縄・那覇で住み始めて、1年4カ月後の2018年3月末で沖縄の仕事が終わって、翌月4月に東京に帰ることになった。
退職が決まっていたが、年度末で忙しかったから3月末まで勤務して、2018年4月7日に初めて聖地アシムイに登った。元々、大石林山を勧めてくれた東京の幹子姉さんはガイドを雇って登ったと言っていたが、引っ越し前でそんな予算もないし、お線香を上げ(お祈り)に来たのに観光ガイドは必要ないだろうと、場所もぼんやりしかわかってなかったけど直感というか導かれるように一人で登山道入口に着いた。
(今ならレンタカーで行くけど、当時はペーパードライバーだったので那覇から自分の原付で名護で1泊して、名護から国頭村へ向かった。)
4月に海開きがある沖縄本島(八重山では3月)で、曇りで寒波が来てるから誰もいない山中を、まるで腕が引っ張られるかのように登った。初めてなのに一切迷わず、スラスラと足が進む。それどころか、本当に手を引っ張られて急き立てられる感じで、途中さすがに息が切れたので、引っ張ってるような見えない存在に向かって
「ちょっ、ちょっと休ませて」
と口に出して頼んだほどだった。
こっちこっちと引っ張られるおかげで、初めてなのに最短ルートで頂上にたどり着いた。初めての山なのに全然怖くない。過去世で何度か来てるんだろう、それぐらいはっきり道がわかるし、恐怖感もなく、庭のように慣れている。
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頂上の入口には、どうやって運んだのか小さなコンクリート作りの神殿がいくつかあった。そこでお祈りして、下調べしてなかったのにまだ先があると思い、奥にある「御天卯之大神」の降りるところまでへ行き、手を合わせた。
今思えば、よくあの曇って寒い天候の中、さらに先まで行こうと思ったものだと思う。無論、あの天候で登ったのは僕一人だけだった。でも、大体いつも貸し切り状態にしてくれる。
頂上は立っていられないほどの強風が吹いていて、自然の強風だけでなく「何かいる」ようで畏怖した。とりあえず、風で消されないところだけお線香を上げておいた。
(写真はあるけど、観光地ではないのでアップは最低限だけで)
その後、大石林山のほうにも登って、Y城さんと記念撮影して東京に引っ越すことになったことを話した。下山道のガジュマルロードでは、沖縄の女性3人組と一緒に話しながら降りていった。
このガジュマルロードは、実写版『ゲゲゲの鬼太郎』(ウエンツ瑛士主演)の撮影が行われたロケ地。なんで鬼太郎が外人やねんって思った作品だけど、1作目はよく出来てた。
アシムイに登った後、大石林山のほうにも登ってY城さんに仕事終わって東京に帰ることになったことを報告して、精気小屋(レストセンター)前で記念撮影した。
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無事下山して午後6時半ぐらいに国頭村辺土名(へんとな)の商店街に戻ると、その日の午前中に知り合ったH安山さんが観光案内所「辺士名大通り会」で音楽の演奏会などのオープニングイベントをやっていた。
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地域の人も集まっていたところに原付で戻ると、H安山さんが
「あ!戻ってきたー」
と、席を空けてくれて誰かが持ち寄った羊かんなどの食べ物をもらって食べていると、隣の女性が
「まだ食べれる?」
と声をかけてくれたので、まだ何か食べ物があるのかと思い、「はい」と答えると、「付いて来て」と言って隣の売店に一緒に行って
「好きな物選んでいいよ」
と、食べ物を買ってくれた。完全に初対面の人なんだけど(笑)。
でも、午前中にこの観光案内施設で昼食(朝食は食べない)を食べてから何も食べてなかったので、遠慮なくごちそうになった。
ただ、食べ物に夢中にだったので、ごちそうしてくれた人が誰だったかは覚えてない。いつかこの時のお礼を言いたいのだが、名乗り出てほしい。沖縄では、名前も連絡先も言わないで親切にしてくれる人が本当に多い。ありがたい。
H安山さんと知り合ったのも、この日の午前中だった。名護の宿を出て、午前中に辺土名にある本島最北のスーパーで弁当を買って、レジの人に
「外は風が強くて寒いので、どこか食べる場所をないですか?」
聞くと、この観光案内所を紹介されて、そこでH安山さんと知り合った。
俺がこの観光案内所施設に来た初めてのお客さんということで、コーヒーを出してもらって、H安山さんの旦那さんがギターを演奏してくれる中、弁当を食べてアシムイに向かった。
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H安山さんから
「この寒い中、金剛石林山に登るの!?」
と驚かれた。だけど、
「もう2週間後には東京に引っ越すので今日しかないんです」
と話すと、
「夜は、ここで開所イベントをやってるから帰りに寄ってね」
と言ってくれた。
H安山さんや地元の人は、大石林山を昔からは呼び名である「金剛石林山」と呼ぶ。この項を書くに当たって平安山さんに詳しく調べてもらうと、同じ国頭村の奥間に金剛山があり、まぎらわしいので大石林山やアシムイの土地を所有する(株)南都が観光用に大石林山に改名したのではないかとのことだった。
開所イベントが終わって、H安山さんからどこに泊まるのかと聞かれて、「宿が見つからなかったので、名護市まで走ります」と答えた。
この辺の宿は電話かけてもつながらなかったり、一人で素泊まりで予約しようとすると断られていた。後で検索すると、口コミで食事で利益を出す民宿だったから素泊まりの客は嫌がられると書かれていた。電話でも、迷ったあげくに「満室」と断られたけど、満室なら迷う必要ないだろうと思ったけど、そういうことだったのか。
H安山さんは、
「夜は危ないし、こんなに寒いからもうこの辺で泊りなさい。ここ(観光案内所)にいっぱい宿の情報張ってあるから」
確かに、あまりの寒さに雨も降ってないのに防寒のためにレインコートを原付に乗る時には着ていたほどだ。それぐらい寒い日だった。
「でも、安い民宿は電話がつながらないんですよ。張り紙のこことかはもうかけたんですよ」
「あっ、そこはパン屋もやってるから家の電話には出ないんだと思う。私に任せて、携帯にかけてあげる!ここでいいのね?」
と、確かに夜寒い中を原付で走るのはつらいし、その料金なら払える。何より、H安山さんの迫力に押し切られて、予約を頼んだ。
H安山さんが携帯にかけるとすぐつながって、
「料金もこの値段でいいね?男性一人お客さん回すから」
と1分もかからず、宿が決まった。はやっw
場所も徒歩数分で、イベントに参加した若い人たちに連れていってもらい、宿に原付と荷物を置くと、H安山さんが
「夜一人で宿にいてもつまらないから、みんなとゆんたく(沖縄方言でおしゃべりすること)しましょう」
と、ケーキ屋「宮里菓子店」と併設しているバー&喫茶店「M」に連れて行ってくれて、23時半ごろの閉店までゆんたくした。それもH安山さんがおごってくれた。
余談だが、この国頭村辺士名の「宮里菓子店」のパウンドケーキ(当時は800円で、2024年は1000円)は、絶品で毎回お土産に必ず買ってる。H安山さんにお茶菓子で出してもらって食べたら、しっとりして甘さもちょうど良かった。オススメ。
こんな感じで、アシムイに登ってからのもてなしがすごかった。
以前、辺土名で1回泊った時は幽霊ホテル(その後廃業し、現在はホステルになってる)しか宿が見つからず、かなりの恐怖体験したりしたが、今回で辺士名の町の印象が一変した。
今回、アシムイに登りに来てH安山さんと知り合って、下山すると食べ物から宿の手配、ゆんたくに誘ってくれてすごく楽しい夜になった。楽しかった。アシムイの頂上での強風のおかげで、早めに下山したからオープニングイベントに間に合って、食事をごちになり、宿を見つけてくれて寝るまでゆんたくしてもらって最高に楽しかった。
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翌朝、紹介で泊まった民宿の宿代を払おうとしたが、一棟全部客室でフロントはなくて、どこで払えばいいのかわからない。そういえば、昨夜チェックインの時に宿帳書いてないから、名前も電話番号も何も伝えてなかった。
H安山さんの紹介だったから、前払いどころか名前も電話も何も知らないのによく泊めてくれたなあ。悪い人なら泊り逃げするんじゃないかとセキュリティを心配したが、とにかく逃げたと思われないように原付と荷物を置いたまま、近くのH安山さんの家に歩いていった。
宿も観光案内所もH安山さんの家も近くて助かった。電話してH安山さんに出てきてもらって、宿代は隣接した母屋で払えばいいと教えてもらった。
チェックアウトをして、H安山さんに昨日のお礼を伝えて自宅前で写真を記念撮影した。
「必ずまたここに来ます!」
と、再会を約束して那覇市泊の自宅へ向かった。
東京に引っ越してから、写真とお礼の手紙をH安山さんに送っておいた。おそらく、観光案内所は県などの補助金が入っているから、利用者からのお礼の手紙は事業報告書などで使えるだろう。
このアシムイに初めて登った時に、まだ子どもの龍だった「ちーちゃん」が一緒に付いてきてくれたのだった。(龍の話1「龍が体内に入る」(ちーちゃんとクーちゃん前編)|池さん参照)。
辺士名で泊まった翌日は、本部町の陶芸家の島武己さんのところへ寄ってアシムイに登ってきたことを話すと
「アシムイが沖縄第一の聖地で、二番目は今帰仁のクバの御嶽だよ」
と教えてくれた。島さんは、陶芸家なんだけど歴史や不思議なことにも詳しくて授業を聞いてるようだった。
(陶芸家 島武己さんの話|池さん参照)
(※この記事は、沖縄の話4になっているが、時系列では、沖縄の話3→1→2→4の順、後で順番は整理します。)
https://note.com/ashimui_ike625/n/n09d1e8099827
に続く
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