![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42582394/rectangle_large_type_2_d60dfebd29a83c429a88acd33a8bf0b0.jpg?width=1200)
いすみ鉄道の旅
「いすみ鉄道に乗りに行きませんか?」
夫の元同僚で相撲仲間(相撲…とるのではなく観戦オンリー)のIさんから声をかけてもらった3年前の秋。
Iさんがお仕事で関わった「いすみ鉄道」が登場する漫画を、電車好きな長男にといただいた。当時小3の長男は、その漫画を気に入って繰り返し読んで「もう表紙がボロボロです」とIさんに伝えたところ、「そんなに読んでもらえたなんて感激です!」と喜んでくれた。
嬉しいお誘い
「僕、今ならすごくいすみ鉄道に詳しいので、よかったら一緒に乗りに行きませんか?ナビしますから!」
のお誘いに、即決でお返事させていただいた我が家。
いすみ鉄道、千葉の房総半島を走るローカル線。春は沿道いっぱいに広がる菜の花畑……私の中ではこんなイメージだった。
いつもの家族電車旅であれば、どこから乗ってどう乗り換えて、何の電車に何時間くらい乗って、最終的にどうやって帰ってくるか、食事はどうするかなど、入念に下調べしてから出発するのが常だったが、今回は別。
超優秀なナビゲーターさんがいるのだ。頼ろう、こんな機会は二度とあるまい、思う存分頼らせていただこう! 私は完全にデータ無しのまっさらな状態でこの電車旅に参加した。
Iさんと池袋駅で集合して東京駅まで行った。
その先は確か…JR総武線で千葉まで行って、JR内房線で五井(ごい)まで行って、そして「小湊鐵道」(こみなとてつどう)に乗った。
小湊鐵道、千葉の内房を走るローカル線、ディーゼル機関車。
五井駅から終点の上総中野(かずさなかの)駅まで1時間20分くらい。まだ本日のメインである「いすみ鉄道」には乗っておらず。
うっかり私が「ねぇねぇ、これがいすみ鉄道だっけ?」と口を滑らしたら、長男とIさんから「これは小湊鐵道!!」とダブル突っ込みを受けた。
ポッポの丘、そこは電車の楽園
上総中野駅から「いすみ鉄道」に乗り、国吉駅で下車。そこからタクシーでむかう「ポッポの丘」。ポッポの丘、Iさんがおすすめの場所とのこと。
ようやく乗れた「いすみ鉄道」! 車体のムーミンがかわいい♡
国吉駅からタクシーを呼んで、ポッポの丘に向かう。ご年配のタクシー運転手さんがやさしく子ども達に話しかけてくれる。
「へぇー、遠くから来たんだね。電車が好きなんだねぇ、いいねぇー」
「ポッポの丘は、鉄ちゃん達にはたまらないんじゃないかな」と言うIさんの予想通り、うちの兄弟にはたまらない場所だった。電車パラダイス!どこ見ても電車。電車しかない。屋外展示してある鉄道博物館のようなところだった。
ポッポの丘にある「カフェTKG」で美味しい卵かけごはんをいただいた。こちらの卵、とても美味しかった!カフェTKGは電車車内が飲食スペースになっている。
この時点で、今日の私は何時間電車に乗っているのだろう……と意識が朦朧としてきた。電車好き兄弟に日々鍛えられている私ですらこうなのだから、電車が苦手だとか1㎜も興味がない人だったら耐えられないのではないか。
おなかいっぱいになって眠たく重い体ではあったが、この広大なポッポの丘敷地内で子どもも大人もたくさん遊び、さあ、そろそろ帰りましょうかね、となった。
タクシーを呼び、再び国吉駅に向かう。乗車してびっくり。なんと、行きに駅から乗せてくださった運転手さんだった。
「たくさん遊んだかい?」
「うん!いーーっぱい電車があった!!」
「よかったねぇー」
初めて訪れた土地でやさしくされると、そこがもっと好きになる。
さあ、おうちに帰ろう
国吉駅からいすみ鉄道に乗り、終点の大原駅をめざす。
私たちを乗せてくれてありがとう、いすみ鉄道。
大原駅からはJR外房線に乗って、とにかく家に向かうのだという気力のみ。外房線に1時間半以上乗って東京駅に着いたときには、胸をなでおろした。
Iさんにたくさんの御礼を伝えて東京駅で別れた。
帰り道は家族全員くたくたで、正直しゃべる元気も残っていないくらいなのだが、
「いすみ鉄道、全駅制覇!」
「小湊鐵道も乗っちゃったね!」
「ポッポの丘、サイコー」
と口々に今日の成果を称えあった。小3の長男、年長の次男、二人ともよくがんばった電車旅だった。
夫が私にだけ聞こえるような小声で
「エコノミー症候群になるかと思った……」
と言い、二人で笑った。今日の6時間以上は電車内だったよね。
電車好きの人というところの〝鉄ちゃん”の、電車に対する愛情を〝鉄分”といったりするけれど、この日の私たちの鉄分、かなり濃いめだったに違いない。