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つくったものが食べたい

新しい年になり10日が過ぎた。

年末に子どもがインフルエンザAになった。
元旦に自分が発熱し、検査はしていないが、おそらくうつったのだと思っている。

子どもも私もすでに回復しているが、インフルの残した爪痕というか、ふたりとも何となく胃腸がやられている気がした。

私は3日前くらいから食欲が戻ってきて、安堵した。

朝起きて直ぐに便意があり、出るものが出るとおなかが空いているなぁと感じるのが私の常だ。

具合が悪くなるとそうはいかず、トイレを済ませてもおなかが空かない。
「何これ、大丈夫?こわいこわい」と不安になり、その不安が胃腸にも響く。

冷静になって考えれば、具合が悪いのだから食欲不振なのは当然なのだが、何度体験しても、びくびくしてしまう。

20代の始め、歯根嚢胞治療で処方されたロキソニンに胃をさんざんやられてしまい(歯科医曰く、「若いのだからロキソニンだけでいいね。胃薬は要らないよね」に、よく分からないまま頷いた自分が悪い)歯痛は治ったけれども胃が痛くて、近所のクリニックに飛び込んだ。

そこで胃の薬を処方されて飲んではみたが、次の受診日まで食欲が戻らずにいた。
「食欲戻らないの?たちの悪い病気かもよ?」
というドクターの言葉に恐怖を感じ、採血の際にめまいを起こしてしまった。

検査結果を親戚の医療従事者に見せたところ、ぜんぜん問題ない、もうそのクリニック行くのやめな!と言われそうしたが、その後も「たちの悪い病気」への心配からしばらく食欲が戻らなかった。
ちょうどその時期に高校の恩師がたちの悪い病気で亡くなって、葬儀に参列したばかりだったのもある。

恩師は胃痛持ちで「ごめんな、ちょっと胃薬飲んで来ていい?」と席を外すことがあった。
私は彼から習う化学が好きで、まったく理系ではないのに、化学の定期テストだけは高得点だったのだ。

食欲がわかないというのが、自分のも家族のも、こわい。
それに理由があるならまだしも。
(今回のように病後であるとか、夏バテしてしまっただとか)

私は、子ども達の「おなか空いた」の声がうんざりでもあり、嬉しくもある。
調理へのめんどくささと同時に、おなか空いたのね、よしよしという喜び。

それは自分自身も同じで、空腹時に鳴るおなかの音も愛おしい。


インフルエンザ回復の時期、食欲を感じられない時でも、何かは口にしなくては……と食べたのがおにぎりだ。
うどんも食べたが、おにぎりが多かった。

塩おにぎり、小さめに3個、海苔を巻く。
お味噌汁に卵を落として半熟の状態に。
ヨーグルト。
ほうじ茶か白湯。

私がつくるおにぎりは、不恰好であるが私には美味しい。飽きない。
おにぎりは生きものみたいだと思う。

具合が悪いとき、自分で調理するのがいやで、家族に買ってきてもらうことがある。
がんばって、無理してでもつくってしまうこともある。家族が喜ぶからと。
どっちもどっちだ。

今はコンビニも美味しいし、スーパーのお惣菜もある。なんでもある。食べものを買ってくることが出来る。

買ってきてもらう食事は楽だし、便利この上ないのであるが、体調が良くない時ほど、私は自分がつくったごはんが食べたくなる。買ってきたものではなくて。
そこで、おにぎりの出番だった。


体調が戻ってきた嬉しさと、おにぎりたちがくれた力へのありがとうを込めて。

2025、今年もよろしくお願いします🍙

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