お弁当のお話
きゃらをさんの企画「写真で魅せる世界」に参加させていただきます。
兄弟合わせて六年間、お世話になった幼稚園。
家から子ども(幼児)と歩いて20分ほどの距離にある。
園庭には、大きなけやきの木が涼やかな大きな木陰をつくり、他にも、きり、やまもも、まてばしい、さるすべり、かき、ひめりんご、もみじ、いちょう、うめなどたくさんの木々が季節ごとの表情を見せてくれる。
この幼稚園を初めて見学に来て、ビオトープを見た瞬間、
「うちの子、ぜったい落ちるだろうな」
そう思った予感はあたり、長男は2回落ちた。(次男は0回)
◇◇◇◇◇◇
今でこそ信じがたいが、長男は偏食で少食な幼児だった。
〝給食”が出るここより近い幼稚園も考えてはいたのだが、これでもし彼の中に「給食が苦手」とインプットされてしまったら、この先の小学校でつらいかもしれないと私が勝手に想像し〝お弁当”であるこの園を選んだ。
長男の好きなものを食べられる量だけつめた、小さなアルミのお弁当箱から始まった。
年少、年中、年長と学年が上がるにつれ、次第に食べる量も食べられるものもゆっくりと増えていった。
そして電車が好きな長男がリクエストしたのは、中に入れてほしいおかずではなく「電車型のお弁当箱」だった。
京急のお弁当箱
京王線のお弁当箱
西武線のお弁当箱
これら愛らしい電車のお弁当箱のおかげで、中身はさておき、長男は楽しいお弁当タイムを過ごせたようだ。
ちなみにこの電車お弁当箱は、長男が
「○○くんの持っている電車のお弁当箱、ぼくも欲しい~~」
と言ってきたので、私が○○くんのママに入手先をお聞きし、購入したもの。(○○くんはもちろん電車好き)
電車お弁当箱は次男にも受け継がれた。
次男は、好き嫌いもすくなく、よく食べる幼児だった。
ファミレスのキッズメニューではまったく足りない(笑)
年少のお弁当スタート時は、長男と同じく、小さなアルミのお弁当箱を使ったのだが、ある日担任の先生から
「お母さん、申し訳ありませんが、( 次男 )くんのお弁当の量を増やしていただくことは可能でしょうか。一瞬で食べ終わってしまって……」
と言われて、すぐにこの電車の二段弁当箱の出番となった。
長男はフルーツが苦手なので、「デザート」を一度も持って行かなかった。果物好きな次男には「デザート」もつけた。ほんの数量ではあるが、今日は何のデザートにしようかと考えるのも楽しかった。
三歳ちがいの兄弟なので六年間つくってはいたのだが、毎日作っていると慣れてきて、想像していたよりはたいへんではなかった。
自分がつくれるものは限られていること、毎日似たようなおかずではあるのに、長男も次男も
「えーー、またこれ?」
のような言葉を一度も言わなかったことに救われた。
そして彼らは一回も残してきたことがなく、いつも空っぽのお弁当箱で帰ってきたのが、「明日もがんばってつくろう」という気持ちを奮い立たせてくれたと思っている。
ふたりとも、本当にありがとう。
もうこの電車お弁当箱では足りない量を食べるようになった今であるが、
私のなかでは「お弁当」というと、この電車たちがぱっと目に浮かぶ。
きゃらをさん、素敵な企画をありがとうございました。
昔の撮った写真をいろいろ見ながら、がんばっていたころの自分に会えた気がします(笑) よく写真撮っていたな、私、グッジョブ!!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。