『ルーナジア戦記』プレイ日記 第8話・白龍の泉
シノビ国の領地は総面積の半分以上を森が占め、鬱蒼とした樹々それ自体が壁となって侵入者を阻んでいる。
その最奥――メザの地には、神秘の水が滾々と湧きい出でる泉があるという。
「ここが白だ……じゃなくて白龍の泉……」
シノビ族との激戦を潜り抜け、ついにこの地に辿り着いたエルザはその美しさに打たれていた。
「ここに浸かると赤ちゃんができるって本当?」
シュガーが泉の水を手のひらで救い、興味津々といったようすで眺めた。
「突拍子もない話だけれど、たしかに、他とは違うマナの力を感じますね」
「ふぅん。面白そうだし、ちょっと入ってみよっかな」
「やめんかシュガー! お前にはまだ早い!」
「あはは。なにいってんの、おじいちゃん」
相変わらず、孫娘の前では大陸一の大魔法師も形無しである。
ふと視線をそらすと、ケイトが物憂げな表情で泉を見つめていた。
「どうしたの、ケイト」
「ええ、その……この泉、バレット族にも効くのかと思って」
エルザの脳裏に、ひとつの言葉がよぎった。
”バレット族にとって、子供を作るイコール死ゾ”
「駄目ですケイト! この泉に近づいては!」
「エルザ様!? ど、どうしたんですか急に」
たしかに、ケイトはふつうのバレット族とおなじように、子供を作って生を終えることを望んでいる。
でも、いまは困るのだ。
「……どうした?」
ただごとではないエルザの声を聞いて、ダリアンもやってきた。
「あなたも禁止です! うっかり出来ちゃったら大変ですから!」
※解説
他作品でいうところの妖精であるバレット族は、虫に近い生態をしています。
成長段階によって姿が変わり、アダルト体(成体)になってからの寿命は半年ほど。
ガイ・ムール共和国では、彼らを騎士として戦わせるため、アン・マナという薬を使って寿命を延ばしています。
しかし、ケイトやダリアンのようなバレット族の騎士、ゲーム内のエルザたちは、これを不自然なことと捉えているようです。
短い生を儚むことなく、精一杯に生きようとする――ガイ・ムールのシナリオでは、そんなバレットたちの姿も描かれます。