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コミュニティ幸福論 1:ソーシャル・キャピタルとボウリング

どこまで続くのか、というのはありますが、「コミュニティが生まれる・動く『きっかけ』の場所」コミュラボ のラボにおけるインプットなどを踏まえ、コミュニティと幸福をテーマにつらつらと書いていきたいと思います。

社会学などにおいて、コミュニティなどでの人間関係や信頼関係などをマクロ視点で見た用語に、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」という言葉があります。辞書を引くと、「共に働いたり住んだりしている人たちのあいだの関係の価値、また人々が持ち共有されうる知識やスキル」などとなっています。

social capital
the value of the relationships between people who work or live together and the knowledge and skills that they have and share:
――Although such countries are far poorer economically, in some ways they are richer in social capital.

Cambridge Dictionary


ソーシャル・キャピタルは人々の幸福や健康など様々な要素に関わるとされています。実際に内閣府でも過去に政策に繋げるための調査を実施していて、例えばボランティア活動が活発な地域では犯罪率や失業率が低い一方出生率は高いといった点について指摘されています。


このソーシャル・キャピタルという言葉を広めたといわれているのがロバート・パットナムの "Bowling Alone" という2000年の本です。邦訳である『孤独なボウリング』は2006年に出ています。


この本では、米国において人々はこれまで地域のサークルなどのコミュニティでボウリングを楽しんでいたのが、コミュニティが失われていった結果、孤独にボウリングをしているという例を挙げ、ソーシャル・キャピタルの低下の説明をしています。

米国でサークルといえばボウリングだったんだ、という驚きもありつつ、実際にソーシャル・キャピタル低下と共に社交の場であったボウリング場の数やUSBC(全米ボウリング評議会)のメンバー数も急速に下降線を辿っています。いや、そもそも全米ボウリング評議会という組織のメンバーが過去に400万人以上いたというのもすごいわけですが。人口の1%以上。

Source: Wikimedia Commons


ところで、米国×ボウリングで最近話題になったのが、日本のラウンドワンが北米で好調であるというニュースです。既に米国で50店舗以上展開していて、連日にぎわっているとのこと。ボウリング場が急速に減少する米国に新たなボウリング場を作って繁盛しているのは興味深いですね。


ソーシャル・キャピタルには2つのタイプがあるといわれれています。ひとつが地域・民族・社会階層などが同じ人たちがそのグループ内での結束を固めるような内向き・閉鎖的な「結束型」、もうひとつが地域・民族・社会階層が異なる人たちの橋渡しするような、解放的で水平的なネットワークを形成する「橋渡し型」です。

近年特に減少しているのが、地域のボウリング・サークルのような結束型のソーシャル・キャピタルです。ボウリング以外のアミューズメント施設もありさまざまな友人との憩いの場となるラウンド・ワンは、従来型のボウリング場と違い、橋渡し型のソーシャル・キャピタルを強める場にシフトできたことが成功の要因だったのかもしれませんね。

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