【#18】神は見返りを求める
「労働なんかしないで 映画鑑賞だけで生きたい」のコーナーでは私が行き当たりばったりで視聴した映画について書いた小感記事です。
第18回は2022年6月24日に公開された𠮷田恵輔監督作品「神は見返りを求める」について書いていく。
お人好しを神と思うなかれ
イベント会社に勤めるおじさんの田母神は見返りを求めず、底辺ユーチューバーのゆりの動画制作を手伝うことになり、2人は力を合わせ良きパートナーになる。
しかし、あることをきっかけに田母神は見返りを求め、ゆりは恩を仇で返す女に豹変。
これは男女の本音と建前や嫉妬と憧れを描いた異色恋愛ドラマ。
序盤の再生数は伸びないが二人が楽しんでいる姿が微笑ましく、恋愛映画と言われても納得はするが、二人の豹変からはホラー映画でリアルでもありそうなだけに見ていて怖くなった。
微笑ましいシーンで空白ごっこの挿入歌「かみさま」が流れることにより二人の関係性の良さを輝かせていた。
徐々にアップテンポになる感じが、二人が人気はないが楽しんで前に進む姿にリンクして、この映画の印象と言われると、挿入歌もその一つに入る。
この映画はユーチューバーという所からも、身近なものに感じたりするところからもリアリティーを感じ作品に入り込みやすかった。
また2人の変貌はお人好しとユーチューバーのしくじりを見ているようだった。
田母神は誰にでもお人好しすぎるからいつまで良い人しているのだろう、良く爆発しないなと見ていて可哀相な部分もあった。
結局は田母神も人間でお人好しすぎは人生崩壊するなと改めて思うことができた。
ゆりはYouTubeで活動している素人が売れっ子になった途端、人を見下すような典型的な天狗になるパターンであった。
自分を見下してきたヤツざまぁは分からんではないが、お世話になった田母神に対してのゆりの態度は見ていて、こいつやりやがったなとイラっとした。
ゆりに関しては底辺ユーチューバーやっている方が楽しそうに見えて、人気になるほど数字、数字と数字にとりつかれたような感じで楽しそうには見えなかった。
そんな好きを仕事にするのは幻想だと思わせてくれる所は私的には好きだ。
こうやって見ている側がイラっとしたり見入ってしまう点では、田母神を演じるムロツヨシさん、ゆりを演じる岸井ゆきのさんの演技が上手だったなと思う。
ラストのムロツヨシの狂気じみた演技は最高であった。