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【映画感想】『THE FIRST SLAM DUNK』

阿瀬ままれと申します。

いつか観たいなーって思っていた『THE FIRST SLAM DUNK』をようやく鑑賞できましたので、感想を綴ってみたいなと思います。

特典のチケットも手に入れました。

1.どんな映画?

『THE FIRST SLAM DUNK』は、漫画『SLAM DUNK』の終盤である山王戦をベースに、追加エピソードを交えたものです。

念のため説明しますと、『SLAM DUNK』は週刊少年ジャンプにて1990年から1996年まで連載されていたバスケットボールのスポーツ漫画です。
平成初期の漫画が、令和の時代にこうして映画でリメイクされて大ヒットを成し遂げるというだけでも、この漫画のすごさが分かってもらえるかと思います。

2.僕なりの感想

結論。めちゃくちゃ面白かったです。

この映画は3DCGアニメーションで制作されているのですが、バスケットボールのきびきびとした動きがよく表現されています。
ほかのレビュアーのかたも仰っていましたが、アニメーションの新たな境地として確立したのではと思えるほどでした。

また、僕は原作を一通り読んだ人間なのですが、原作での山王戦を非常に忠実に再現しており、面白さが一切損なわれることがありませんでした。
山王メンバーのスーパープレー、湘北メンバーの葛藤、そして最後の時間が止まったかのような緊迫感、すべてが『THE FIRST SLAM DUNK』にも詰まっています。

裏を返せば、これだけ面白いものが原作『SLAM DUNK』の時点ですでに濃縮されていたとも言えます。あらためてすごい漫画だなあと。
熱意と愛をもって忠実に作り上げてくれた制作陣の方々に感謝ですね。

個人的になんですけど、『THE FIRST SLAM DUNK』では漫画特有のギャグ顔がまったくと言っていいほど見かけなかったように思います。
不意打ち先制が決まったあとの仰天した顔とか、原作にはあったシーンが映画ではあっさりと描かれていたり、一部はばっさりカットされていたりと、試合中はプレーの部分を重点的に描かれていたような印象を受けました。
さながら僕たちも観戦しているかのような臨場感を演出する上で、そして山王戦もといバスケットボールの面白さを直球でぶつける上で、そういった少しでも脱線してしまう部分はできる限り省略したのかもしれません。良い采配だと思いました。

『SLAM DUNK』は過去にテレビアニメも放送されていたんですけど、当時の声優陣とはキャストが変わっていましたね。
初見の方は気にならないでしょうけど、テレビアニメを知っている方は違和感を覚えるかもしれません。
僕はアニメキャラの声にそこまでこだわりを持っていないので、楽しく観させてもらいましたけど。

あと、物語を引き立てる音楽の数々もとても良かった。
起死回生、追い上げシーンの要所要所でハイテンポなBGMが流れ、白熱する攻防をこれでもかと言わんばかりに盛り上げてくれます。
やっぱ、スポーツも含めて、何かに真剣になる人間ってかっこいいなあ! 久々に少年心がくすぐられた気がします。

追加エピソードについても触れさせていただきます。

『THE FIRST SLAM DUNK』では、湘北メンバーの一人である宮城リョータを中心に物語が描かれていきます。
僕は『SLAM DUNK』に基づいた読み切り漫画『ピアス』を読めていないのですが、宮城リョータというキャラクターの深掘りは、少なくとも原作ではそこまでなかったように思います。
三井との喧嘩くらいじゃないかな。

それが今回、幼少期のエピソードから色濃く描かれていました。
『THE FIRST SLAM DUNK』を通して、宮城リョータというキャラクターがもっと好きになったように思います。

原作者である井上雄彦先生は、ご自身のブログで「自分が歳を重ねるにつれてキャラクターたちをとらえる視点の数が増えていった」「それらのいくつかが生かされたという意味で、今回の映画は新たな視点で描いた」と語られています。
宮城リョータとその家族の物語は、人生経験を通して得られた井上雄彦先生の新たな視点なのかもしれません。

あっという間に2時間が過ぎ、「ああこの映画ももう終わっちゃうのかあ」と寂しさを感じていたところ、最後の最後にビッグサプライズな展開が待っていました。
個人的に、「牧を差し置いてなのか……?」と少しばかり疑問に思いましたが、こういうことを言うのは野暮かもですね。
相当な苦労人なので、こんな形で報われて素直にうれしかったですし。

感想は以上になります。

3.余談

前述のとおり、めちゃくちゃ面白かった『THE FIRST SLAM DUNK』。
タイトルに着目すると、身勝手ながらどうしても淡い期待が芽生えてしまいます。

『SECOND』もあるんじゃね?

原作では山王戦で終わってしまった『SLAM DUNK』ですが、山王や豊玉以外の全国区の選手たちや、主人公である桜木の過去など、少ししか描かれなかった部分が結構あるので、それらを引き出すこともできなくはないと思います。
あと個人的に、3年生たちがいなくなった1年後の神奈川メンバーを見てみたい。
仙道なんかは特にもっと輝けるはずですから。

しかし、名作や良作はむやみに話を引き延ばすべきではないという考えもあります。
そういうことをすると、結果的に蛇足となることがほとんどなので。
それでも、できるなら『SLAM DUNK』の続きを見てみたい! 井上雄彦先生が得られた新たな視点に期待ですね。
『バガボンド』『リアル』の連載もありますので、無理をなさらない程度に頑張っていただきたいです。

では、ここまでお読みくださりありがとうございました。

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