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マネーの豆知識:「ファイナンシャルウェルビーイング」ってなに?

 『J-FLEC(金融経済教育推進機構)』という官民共同で設立された組織が、今年から動き始めました。
 この『J-FLEC(金融経済教育推進機構)』の目的は、「幅広い年齢層に向け、かつ、国民各々のニーズに応えた金融経済教育の機会を官民一体で全国的に拡充していくこと」となっています。

 この『J-FLEC』が国民に金融経済教育を行っていくに当たって、そのミッションとして、私たち一人一人の『ファイナンシャルウェルビーイング』の実現というものを掲げています。

 なかなか聞きなれない言葉ではありますが、この『ファイナンシャルウェルビーイング』とは、「自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることによって、現在及び将来にわたって、経済的な観点から一人ひとりが多様な幸せを実現し、安心感を得られている状態」という意味だそうです。

《FIREとは違うの?》

 『ファイナンシャルウェルビーイング』に似たような言葉で、『ファイナンシャルフリーダム』といった言葉もあります。
 この『ファイナンシャルフリーダム』とは、経済的に自由になった状態を指していて、意味合いとしては、少し前に話題になった『FIRE』に近いものになります。

 『FIRE(Financial Independence Retire Early)』は、その名の通り働かなくてもいい経済的に自立できる状態にまで資産を蓄えて、早くリタイヤするといったものです。
 『ファイナンシャルウェルビーイング』も、経済的な観点から、幸せと安心感を手に入れるというところが、この『FIRE』などと似ているようにも感じますが、実際には全くの別物だと思われます。

 『ファイナンシャルウェルビーイング』の場合、仕事を早くやめることは、必ずしも必要なことではなく、また早期リタイヤできるほどの蓄えを作ることも、本当に必要とは限りません。
 必要なのは、経済的な面で『幸せ』と『安心感』を感じられるかどうかという事です。
 個人的には、特に『安心感』という所が大切なのかなと思っています。

 お金に関する判断ミスによって借金返済に大きなストレスを感じていたり、不必要に投資にお金をかけて、さらにその投資が失敗してしまったことで、将来への不安が残ってしまったり、といったケースになることもあります。

 そうなることを避けられるようにすることが、この『ファイナンシャルウェルビーイング』の目的なのだと思われます。

 もっとシンプルに言うならば、自分の人生と価値観に合わせて、上手にお金のコントロールが出来るようになること、それが『ファイナンシャルウェルビーイング』のイメージなのかもしれません。

《日本と金融教育》

 日本は世界と比べて金融教育が遅れていると言われています。
 書店を覗いてみても、「米国の○○が学んでいる」といったような、海外と日本の金融教育の違いに焦点を当てている本を見かけることがあります。

 実際本当に日本の金融教育が遅れているのかどうかは分かりませんが、確かに今まで小中学校のような義務教育課程の中で、「お金のこと」についてきちんと学んだという認識がないことは事実です。

 ただ今では、小学校の家庭科の教科書に「お金」について学ぶ時間が取られているようで、少しずつ子供の内からお金の教育をしていこうという流れが出てきているようです。

 また高校生になると、学校を卒業したらもう成人(18歳)になる歳になってきます。
 つまりは、ローンを組んだり、高額の買い物をしたり、といった事が自分の意志で出来るようになっていきます。

 今でも奨学金の返済で苦労している大人がいるという話はよく耳にしますが、まだお金のことをよくわかっていない内から、借金をすることになるというのは、なんか危険そうだなというのは、なんとなく分かる話でもあります。

 また実際にお金の世界に入る前に、「もっとお金のことを学んでおけばよかった」と思っている大人も少なくないと感じています。
 住宅ローンなどで借金をすること、働くこと、税金のこと、保険に入ること、公的な保障や制度のこと、などなどお金に関する一般常識ぐらいの知識を持ってから社会に出ていたら、もっと違う人生になっていたかもと感じている人もいるのかもしれません。

 お金のことは、人生に直結する問題でもあると思います。
 お金をどう扱うかで、人生が変わることがあると、実体験としても感じています。

 『ファイナンシャルウェルビーイング』を目指すためには、お金のことを知ることが大切なのは間違いないと思っています。
 今日本では、ゼロ金利の時代が終わり金利のある世界になると言われるようになり、この日本の金融の世界も少しずつ変化が始まっている感覚もあります。
 これからの日本にとって、世界に負けないぐらいの『金融教育』が行われるようになることは、今後の私たちにとって、とても重要な話になってくるのかもしれません。


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