エンディングノートのはじまり~七夕に思うあの日のこと
自分史というとふつう時系列かな、と思いましたが、
今日は七夕なので、お空を仰いで思ったことを…
ビッグ4税理士法人で猛烈に働いていた30代の半ばごろ
職場の同僚から誘われて何気なく行った「業界学」という勉強会で知り合った3つ年下の恋人がいました。
彼のアパートが私の職場に近いこともあり、そちらで週の半分以上を過ごす毎日でした。
その日は彼が体調不良で珍しく仕事を休むことになり、ベッドに横になっていたので、「行ってきます」と手を取ると、彼は少し目を細めて「優しい手…」と呟きました。
その日も変わらず忙しかったのですが、仕事の合間に電話すると、「よく眠れるよ」と穏やかで優しい声が返ってきました。
そのまま仕事に戻ってバタバタと夜になり
さて帰ろうと思ったときにクライアントから電話があり、対応で帰宅がさらに二時間ほど遅くなりました。
職場を出てスーパーで翌日の朝食の買い物をして帰宅すると、部屋の明かりは消えていました。
「ただいま」と声をかけても返事がなくて、眠ってるのだろうと思い、シャワーを浴びて戻ってみると、ただならぬ気配を感じて…
息をしていなかったか、脈がなかったか、どう判断したか記憶にないですが、明らかな異常を感じたので、
救急車を呼んだり、彼の携帯の履歴から、まだ会った事のない彼の妹に電話したり…
気づいたら病院にいました。彼の家族が車で駆けつけるまでの間、親族でもない私は廊下で待つしかなくて…
後からわかったことですが、私が職場でクライアントの電話を受けた21時ごろ、まさに彼はお空に行ってしまったのだそうです。
結婚を約束した大切な人の突然の死は、当時の私にはとてもじゃないけど受け止めきれないことで…
もう20年以上の時が経つのですが、あの日のことはふとしたときに映像をともなって思い出されます。
それからの日々も含めて、どんな言葉でも表現しきれませんが、救いだったのは自分を責めるような後悔がなかったことです。
あの朝、目を細めて「優しい手」と言ってくれた彼。昼間も「よく眠れるよ」と言って穏やかだった彼。表情からも、最後は苦しまず眠るように逝ってしまったことがわかりました。
当時の私は、思いを受け継ぐ、とか、彼の分まで生きる、なんて気持ちにはなれなかったけど、「彼にいつか(お空で)会うために生きる」とだけ紙に書いていました。
もう20年近く経つことが不思議です。
50代の彼に会って、今の私をほめてもらいたいな、とお空を見上げて思いました。