家を出て30秒でポケットに入れた鍵を落とし1週間見つからなかった話
1か月ぶりの更新です。ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHDを併発している場合でも、社会性や対人コミュニケーションへの影響が大きいASDが重要視されやすいような気がしますが、ADHDの影響も実はかなり大きい筆者。実際にはADHDな特性の方が日常生活のトラブルに直結しやすいです。
しかも、特に筆者のような男性の不注意優勢型ADHDは女性と比べて少数派のようで、共感されにくいところがあります。
そんな、ADHDのミスを象徴するような出来事がありました。
18時に間に合わないといけないのに、急にメッセージの返信を思いつく
ゴールデンウィーク終わりの5月8日の日曜日夕方のことです。フリーランスで週明けまでに仕上げなければならない校正の仕事や、また他にやることも多数あるので、やる事に追われている週末ですが、この週末はひと段落していました。
そして、歩いて15分の実家に行く予定でした。実家の両親とは、実家に18時に着くという約束をしていたのです。
そんな中、17時30分ごろに、Facebookメッセンジャーに昨夜届いた知人の方へのメッセージへのお返事を忘れないうちに返さなければならないことを思い出しました。
WAISでのワーキングメモリーのIQは高いはずですが、後回し癖も強くて、思い立った時に行動しなければ、すぐに忘れてしまいます。思いつきで行動するところもADHDらしいところですが・・・・・・。
返信のメッセージを書いているとギリギリに
10分以内にメッセージの文章を仕上げて返信するつもりでした。
しかし、メッセージの返信に校正という仕事柄もあって誤字脱字に注意しなければと思ったり、ライティングをやっていることもあるのか、細かい日本語の使い方に気を取られて、気づいたら10分、15分ぐらい経っていることもあります(ASDの人に多いですが、ちょっとしたメッセージでも300字ぐらいの長文になりがちです)。
返信が完了して時計を見ると、17時46分を過ぎていました。徒歩15分では今から出ても、実家には間に合いません。しかも、まだこれから、家を出るまでに、家の鍵などをポケットに入れて用意しなければなりません。
完璧主義だから18時には間に合うように走る
そこで家を出た時には17時50分ごろになっていました。走らなければ18時に実家にはもう間に合いません。
ADHDなのでマルチタスクが弱く、家を出るときにあれこれチェックしないといけないときには、気が回りにくいもの。しかも、相反するASDの完璧主義で18時の約束は守らないと自分に気が済まないところがあります。
そこで走ります。しかも、聴覚過敏で、外にいるとたまに聞こえる自分ではコントロール不可能な突発的なある音が嫌(このある音については、また後日、別の記事で紹介します)なので、両耳コード付きBluetoothイヤホンをして「White Noise」というアプリを起動して、ノイズをかけながら、少し走っていきます)。
10分後に紛失に気づくがもう遅かった
そして、走っては歩きを繰り返しながら10分。実家のマンション前の300mほど手前でイヤホンを外したところ、ズボンの右ポケットに入れていたはずのキーケースがなかったのです。
このキーケースには、家の鍵のほか、実家のマンションの鍵や部屋の鍵、さらに実家の車の鍵もついていました。
ポケットの奥に入って見つけられないということもありません。しかも、バッグは持っておらず、ほかのところにあるはずもありません。実家に18時に間に合わなくなると思い、焦りましたが、家からの道中で落としたと気づきました。「大きくて目立つキーケースや空のパスケースが鍵についているので、落ちていてもすぐに気付くだろう」と思っていました。
そこで、来た道を戻って、道路や歩道、さらに排水溝を覗き込みますが、まったくありません。ひょっとしたら、家の玄関の鍵を閉め忘れて、中に置いたままかと思い、晴れた日曜日夕方というあまり在宅の人がいないマンションの部屋番号を手当たり次第に何度も押して、ようやく見つかったオートロックを別の住人に解錠してもらいました。
徒歩15分×4往復でも見つからず
そして、家の玄関に行くと、鍵はちゃんとかかっていました。焦りが増します。その後、実家のマンション近くまでまた探しに戻るものの、見つからず。
実家に緊急で「遅れて19時に到着する」というメッセージを送り、了承を得ます。その後、2往復しましたが、キーケースは見つかりませんでした。
家からの徒歩4分のところの交番に行きましたが、日曜日の夕方という時間で警官はだれもおらず、警察署に持っていたスマホで電話しましたが、届いていませんでした。管理会社にも電話しましたが、「合鍵は明日しか渡せない」という連絡でした。
実家の鍵もついているので、「落とした」と言うと、親にめちゃくちゃ怒られるだろうと思いましたが、日も暮れて暗くなり、緊急で知人宅になんとか泊めてもらうという選択肢がないわけではなかったものの、20時前に実家に事情を伝えて、普段は鍵で自分で開ける実家マンションでインターホンで父親に解錠してもらい、実家に着きました。父親に事情を説明して、さらに母親に事情を説明しました。
母親に怒られながらもなんとか泊めてもらうことに
母親にはかなり怒られました。
父親にはついてきてもらい、懐中電灯を借りて、2往復しましたが、見つかりませんでした。
ストレスで食欲はなく、夕食を摂らないまま、実家に泊まりました。マイスリー(ゾルピデム)もなかったので、ベッドに入ってからも眠りにつくまで6時間ぐらいかかり、2時間程度しか眠れず、変な夢も見るなど、本当に眠りが浅かったです。
昨日の昼からほとんど食べていませんでしたが、食欲もない中で、母親には「もう40(歳)前にもなって情けない」と言われつつも、母からの朝食をなんとか食べ、朝から実家から家までの徒歩15分の道のりを往復しましたが、見つかりませんでした。
一旦、実家に戻った後、11時に管理会社の店舗に、管理会社の人が来てくれ、合鍵をもらい、なんとか家に入れました。
出発からわずか30秒 向かいのマンション前で落としていた
その後、両親がお金を払ってくれて、実家の玄関の鍵は交換してくれました。一方、自分の家の交換はしばらくかかるということで、半ば見つかるのはあきらめていたところ、紛失から8日後の5月16日に交番のスタッフの方から電話があり、似たようなキーケースが届いているということでした。
その後、5月20日に警察署に行ってみると、落とした鍵が届いていました。実は、5月8日夕方に、向かいのマンションの住人の方がすぐに拾ってくれていたようでした。初めはそのマンションの別の住人が落としたのかもしれないとそのマンション内で案内を掲示していたようですが、マンションの住人のものではなかったことがわかり、交番に届けてくださったようです。
家を出てわずか30秒、50mぐらいのところで落としていました。
イヤホンしていて、落とした音にさえ気づかずに、走って実家に向かっていたことになります。
ADHDなりの5つの対策
対策として、
1.落し物防止タグの「tile(タイル)」を紛失の翌日にAmazonで注文。月額360円かかるものの、タグのロケーション履歴を確認できるサービスを利用。
(前々から買った方がいいかなとは思っていましたが、落し物防止タグというと積極的に活用するようなデバイスでもなく、1個数千円と安くはないので、購入が後回しになっていました)
さらに、もう2つtileを購入し、財布と自転車のバッグ内にも入れる。
2.ポケットからはみ出ていた100均で買った黒いタグ(本当はここに緊急時に必要な書類のコピーを入れようと思っていたが、落とした際に個人情報が特定されるので止める)を捨てる。
3.実家の玄関の鍵と車の鍵(ここ数年運転していない)を実家の両親に返す。
4.外していた落下防止ワイヤー式のストラップをキーケースに付け、ズボンのポケットに入れる際にはベルト通しにストラップの先を引っ掛ける。
(※以前は使っていましたが、糸の部分が切れてしまい、そのままにしていました。ともあれ、携帯電話がストラップホール付きのガラケーからストラップホールのないスマホが主流となり、こうしたストラップは最近あまり店頭で見かけなくなってきました。急きょ買ったものは、高い位置にあるオートロックのキー差込口に使うには少し短すぎて使いにくいので、もう少し長い物に買い替える予定です)。
5.実家に行くときには手提げバッグを使う
(母親に持ってくるよう言われました)
などの対策を取りました。徒歩・ランニング時のイヤホン着用は聴覚過敏の別の問題があるので、仕方がないところがあります(なお自転車乗車時は一切イヤホン着用はしておりません)。
「あったら便利」程度の物は持って行かない
まあ、消極的ですね。ADHDは紛失対策、紛失時など何かとお金がかかってしまいますが、便利さを多少犠牲にしてでも、地道にリスクを少しでも減らすことが大切です。
また、出かける時の持ち物が増えれば増えるほど、紛失のリスクが上がってしまいます。「あったら便利、なくてもなんとかなる」ぐらいの物は家に置いておきましょう。