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ギフテッドが学びやすい環境を作る。
私の子どもは「ギフテッド」だと思う。
思う、と書いているのは、誰からも「ギフテッドです」と言われていないからだ。
だが、特性からギフテッドの可能性は非常に高いと考えている。
ちなみに仮に知能指数が高くても医師は「ギフテッドです」とは言わない。
学校の先生方も多分言わないし、福祉の方も言わない。
だから「ギフテッドだ」と言い切れないもどかしさはあるが、私はギフテッドだと考えている。
今、その特性のために本人、親、学校など取り巻くみんなが苦労している。
本人は学校が合わないので、行きたくない。
親は学校や福祉、行政に相談するがギフテッドというと「頭がいい」「何か特別な能力がある」と思われて、困っているのだが「自慢」だと思われる。そうすると、相談しにくくなり孤立しがちである。
通級指導教室の先生に通っているが、他にも発達障害の子どもなどが増えているため週に1時間しか対応できない。
加えて、ギフテッドに関する資料が少ない。
ギフテッドと呼ばれるIQ130以上の人は、人口の3%程度いると言われているが、本人や周りが課題を感じていなければ医療や教育、福祉と繋がることがないため表面化しにくいからだろう。
しかし、人口の3%であれば1クラスに1人くらいはギフテッドの子どもがいるという事である。
私はわが子が得意を活かしつつ、自信をもった大人に育ってほしいと願っている。
そのためにギフテッド教育が進んでいるアメリカに行きたいと考えている。
最初はアメリカに行くことなど検討もしていなかったが、子どもがしきりに「アメリカに行ってみたい」というのと、ギフテッド教育の資料はアメリカ発の資料が多い事から興味を持ったのである。
そして、その経験から似たような境遇の日本人の保護者にとって一助となる発信をしていきたい。
1、ギフテッドとはなにか
私は専門家ではないのでギフテッドの定義をあれこれいう事は難しい。そのため、下記の引用を参考にしてほしい。
並外れた才能はあるけれども天才とは限らない(天才ではない人のほうが断然多い)、必ずしも発達障害を伴うとは限らない(中略)、2E(中略)であっても、障害と才能が相互に隠し合うという点でサヴァン症候群(中略)とは異なる。
つまり、ギフテッドというのは「並外れた才能がある」子どもの事を言うらしい。
私もいろんな本を読むまで誤解していたが、苦手な部分があるからと言って発達障害があるとは限らない。
そしてなにより天才とは限らないという事である。
わが子も「小学1年生で英検2級」「数学で大学生の勉強をしています」みたいな天才ではない。
また、英才教育のようなこともしていない。
子どもは勝手に自分の年齢以上の勉強をやりたがり、解き、そしてそれが楽しいようである。
だが、学校ではそれがなかなか叶わないのと、友達とうまく遊べないので学校に行く意欲を失って不登校になりかけている。
これは一体なんなんだ?と思って調べはじめたところギフテッドという言葉を知り、これじゃないかと思っている。
もしかしたら2Eかもしれない。
いずれにしろ、今、彼を取り巻く環境が彼に合っていない。
だからと言ってこれ以上どうしたらいいのかも分からない。
それで、本当に困っている。
2、我が子と学校と親が困っていること
ここで少し、我が子の成育歴について話をしようと思う。
子どもが小さいころ、私は育児と仕事と家事でてんてこまいで、どちらかといえば「食べて寝てれば大丈夫だろう」とほったらかしていたように思う。
上の子がどちらかといえばゆっくりだったので、下の子だった彼は発達上の問題はあまり感じなかった。
唯一言えば、食べ物の好き嫌いが激しかったことくらいだ。
しかしある時、私の心身が疲れ切ってしまったときがあり行政に相談したところ
「子どもが育てにくいのかもしれませんね」
と言われた。
3歳くらいだったように思う。
発達を見てくれた方から
「この子は大変ですね」
と言われたが、食べ物の好き嫌い以外は何が大変なのかよくわからなかった。
昼寝はあまりしなかったが、友達とも遊ぶし、トイレなども自立で来ていた。
だから保育所の先生方は
「普通ですよ」
と言っていた。
発達障害などについても知っていたが「当てはまらないのではないか」と感じる部分のほうが多かった。
そのため、私も疲れ切ったのは仕事のせいだろうと思っていた。
そうして子育てしていたが、たまに驚くことがあって、本屋に行くと小学校受験用の問題をやりたいとせがむので買ってあげたところ、大人の手を借りずに自分ですらすら解いたりしていた。
そして年中になり、
「僕には友達がいない」
「だから保育所に行きたくない」
と言うことがあり、少し気になった。
でも、それくらいだった。
本人は「友達がいない」というが、お迎えに行くと一緒に遊んでいるようだったし、本をすらすら読んでいたのであまり気にも留めなかった。
ところが、年長になり担任が変わったことで状況が変わる。
「お母さん、これだけ食べ物に好き嫌いがあると小学校生活大変だと思います」
確かに。当時は嫌いな野菜は食べきれずに一口に20分くらいかかっていた。
また毎日のように「保育所に行きたくない」というので、押し問答のすえ無理やりお父さんが連れて行くという感じであった。
そこで、小学校の先生と発達のテストを受けるように言われて受けてみた。
はっきりと言われたわけではないが、得意なことと苦手なことがありそうだね、という話だった。
通級指導教室を勧められたが「そこまではないよな」と断った。
しかし再度小学校から「教室以外の息抜きの場所があったほうがいい。学年の途中からは入れない」と言われてお願いする事にした。
そうして小学校に入学した。
一学期、親子ともドキドキしながら入学したが学校に慣れて給食もよく食べて問題がなさそうだった。
担任の先生も通級指導教室の先生も
「この調子なら、運動会が終わったら通級指導教室は終わりましょう」
と言っていた。
ところが夏休みに学童でいくつかのトラブルがあり「学校に行かない」「学童に行かない」と言うようになる。
結局、学童はそばにもう一つ学童があったのでそちらに移ることとした。
もう一つの学童は彼に合っていたようだが、小学校に行きたくないというのは相変わらずだった。
そうして最近は毎朝登校班に間に合わないで遅れていく。
学校に着いたらトイレタイム。
10分~20分程度トイレでゆっくりしてから教室へ。
1時間目はすでに始まっている、という状況らしい。
本人曰く、授業は簡単すぎて面白くない。
飛び級したい。
友達も自分から話しかけることはしない。
つまらない。
学校に行きたくない、と言うことらしい。
先生に相談すると、先生がが気を使って
「みんなが解けない問題を考えて」
「今の時間はどんな問題をやってもいいよ」
と配慮してくれているらしい。
通級指導教室では小学1年生だが4年生のプリントをさせてもらうと、楽しそうに勉強しているとのこと。
今は冬休みなので、学童では小学2年生の勉強をしている。(これは本人が3年生の勉強をしたがったが、私が無理やり2年生をさせている)
何度も言うが、大人は教えていない。
最近、どれくらいできるのかと思って中学1年生の数学の話をしたが、それも面白そうについてきて理解していた。
全部解けるわけではないようだが、だいぶ分かっているという印象だ。
そのため、本人と学校のペースがあわない。
友達とも話があわない。
学校は退屈で、つらい場所になってしまっている。
最近はあちこち体が「痛い」というので余計心配しているところである。
余談だが「小学生のうちはそういうところがあるだろうけど、中学生や大人になったら普通の人になるよね」という話は不要である。
実際、小学校も高学年になると適応できていったり、中学校で私立などに行くことにより適応できる事も多いらしい。
だが、私たちが困っているのは「今」である。
ギフテッドの子どもにとって学びにくい環境で過ごすことは苦痛であり、結果小学校中学年になるまでに学習意欲を失っている子どもも少なくない。
「あと数年ですよ」
と言われるが、すでに学習意欲を失いつつある子どもを放置するわけにはいかないのでなんとかしたい、というのが私の願いである。
3、だったら学外で学べばいいじゃないですか
子どもが学校に行きたくない、と言うと「休ませたほうがいい」と言われる。
仮に休ませた場合、学校に行かない子どもの選択肢としてはフリースクールやホームスクーリングがある。
しかし、個人的にはそれすら「合わない」のではないかと感じている。
というのも実は、私は大学生時代「不登校」について調べたことがあるからだ。その時に行ったフリースクールの経験から合わないのではないかと感じているからである。
当時、もう20年も前だが、私は教育を専攻しているわけではなかったが、教育関係のボランティアしていたため不登校に関心があった。
「学びたいのに学べない」というのはどういう状況か気になっていたのである。
そこで、大学から奨学金をもらって文部科学省や東京都の教育委員会などに連絡をして訪問させてもらった。
その時に知ったのは、日本では不登校の子どもが増えつつあること。文科省としては何とかしたいと考えているという事。
不登校の子でも通えるような公立の中学校や高校の取り組みをしている都道府県。
学校教育の中で何とかしようと習熟度教育をしている先生方の存在だった。
公教育として、増えつつある不登校を何とかしたいと考えている人たちが沢山いるのだなと知った。
一方で、訪問したフリースクールでは
「学校が合わなければいかなくてもいい」
「日本の公教育は間違いだ」
と言っていて驚きだった。
学校に行きたくないから行かなくてもいいというのは最近多く見かけられるが、公教育の否定は違うのではないかと思ったからだ。
そうして、20年ほどが経ち、我が子が今その局面に立っているわけだが、地方にはフリースクールが少ない。
子どもが減っているのでそもそもニーズが少ないし、あったとしても認可などが下りていなかったり、教育方針が不明瞭で預けにくい。
そもそも、低学年の子どもが行けるフリースクールはほとんどないのが現状だ。
では、ホームスクーリングはどうか。
学校に行かず、家庭で教えるという事である。
こちらはまだ日本では少ないが、不登校の子どもが増えている事もあり徐々に増えつつある。
しかし、これは親が子どもに教えられる、もしくは子どもが進んで勉強する環境を作ってあげられることが必要だ。
そして何より、親が仕事を辞めるか減らす必要がある。
月に数回だったら有休を使ってできそうだが、毎週となるとそうもいかない。
本当に最後の手段となったらホームスクーリングも検討したいが、今はまだ他の手段を考えたいと思っている。
そこで、ギフテッドに対する支援である。
幸い、最近はいろんな子どもに対するアプローチが増えているので、私が子どもだったころに比べるといろんな支援がある。
例えば、文部科学省としては去年から「令和5年度 特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業について」というのを行っている。
東京大学の中邑先生の「LEARNプログラム」なども面白そうだと感じている。
しかしいずれも地方の小学1年生が参加するにはハードルが高そうである。
また、毎日あるものではないため学校への行き渋りにはききそうにない。
他に考えられるものとしては、私立学校などへの転校だが(これも医師や支援員の方に勧められたものの一つ)現実的ではない。
親としては身近で、子どもが学校に行きたくなるような何かアプローチができないかと考えている。
4、そこでアメリカに行ってみよう
まず、アメリカに行ってみたら何もかもうまくいくとは思っていない。
ただ子どもが「アメリカに行ってみたい」というのと、アメリカのギフテッド教育は関心があるので見学に行けば何かきっかけがつかめるのではないかと考えているのである。
アメリカの高等教育機関には世界中から優秀な学生が集まっている。実際私の職場にアメリカの有名大学の学生がインターンに来たりするが、みなスマートだ。
一方、初等教育については地域差も激しく難しいところもあるだろうと聞く。
格差が大きいのだろう。
実際、8年くらい前に「ギフテッド」というアメリカ映画を見たが、ギフテッドの主人公や周囲の大人たちがどのような学びを行うことが本人にとってベストなのか、苦悩する姿が描かれている。
アメリカのギフテッド教育では特別のスクールや飛び級することにより、彼らだけのグループとなり他の同級生たちと協調できないことが課題になっているようだし、情緒の成長でいえば大学生の中に12歳くらいの子どもがいれば問題になることもあるだろう。
そもそも飛び級のクラスも人数が限られているため入れるとは限らないという。
このような問題はアメリカだけでなく、ギフテッド教育を取り入れているヨーロッパやアジアでもあるという。
だが、特別な教育をほとんどしていない日本からアメリカのギフテッド教育を見ると見方が変わるのではないか、子どもに影響があるのではないかと考えている。
5、アメリカに行ったあとにしたいこと
正直、我が家がせっせとお金を貯めてアメリカに行くとすれば、子どもは小学4年生くらいになっているだろう。
もし、今年アメリカに行くことができたら、もっと早く子どもの学びへの姿勢が変わるのではないかと考えている。
というのも、去年の夏、家族で目標を設定した。その目標を達成した暁に子どもが行きたがっていたホテルに行くという事をした。
これが子どもにとってはとてもよかったようで、2学期になっても友達や先生によく話していたらしい。
目標をもって、やりたいというアメリカに行ったら変わるきっかけになるのではないかと思ったのだ。
このような経験を通して他のギフテッド達と出会えたら子どもにとって影響があるのではないだろうか。
そして私自身はこの経験を共有して、ギフテッドを育てている人たちの一助になったらいいと考えている。
6、最後に
これを書きながら、我が子がギフテッドじゃないかと思ってから日が浅くまだまだ勉強不足だなと感じた。
今はいくつかの本を読んだり、インターネットで情報を調べているところだ。
可能であれば、今年はギフテッドを育てている保護者や有識者の方にお会いしてみたいと考えている。
先日見たあるYouTubeで
「子どもが学校楽しいと言って毎日学校に行ってくれる。それだけで十分」
と言っているのをみて、本当にそうだなと思った。
子どもが学校を楽しみに行ってくれた日は少ない。
どうしたら子どもにとって楽しい時間となるのか、もしかしたら私がついて家で教える事が最適解になるのかもしれないが、いろいろ調べてやっていきたい。
#かなえたい夢