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『空海』

困った時の神頼み、なんていう人間にとって非常に都合の良い言葉がある。

僕は学生時代に、本当に勉強をしなかった。

国家試験前になってから少々焦り始める。

コーポの隣に住んでいた先輩が「お前さ、勉強したら?俺でも既に勉強してたぞ」という言葉を僕に投げ掛けたのが始まりだった。

彼は学年でもトップクラスだった。僕は後ろからトップクラスだった。

流石に「まずい」と思った。

当時の我が家は、真言宗ではなかったが、父も母も小豆島へお遍路さんで行っていた。

そのお陰で僕の部屋には般若心経があった(父か母か忘れたが、お遍路さんとしてのお土産だったと思う)。

「何かあったら般若心経を唱えなさい。お大師さんが助けてくれるからね」

そう言って渡されたと思う。

弘法大師の不思議な話もよく聞かされた。

僕は、国家試験に備えて急ぎ勉強を始めた。

しかし、それだけでは不安だった。

両親の言葉を思い出し、その日から一二の終わりにベッドに入る前に般若心経を唱えるようになった。

その甲斐あって、僕は見事国家試験をパスした。

今でも般若心経のお陰だと思って疑わない。

その後、我が家は奈良に引っ越すこととなった。

僕自身がご縁があり、奈良に・・・そして親も二世帯住宅で奈良に。

その際に、お寺を決めなければならない。

僕は思い切って両親に提案した。

「真言宗にかわらない?」と。

両親はお寺さんが良いと言えば異論は無い、と言ってくれた。

すぐに真言宗を探して尋ねてみた。

答えは「大丈夫」とのこと。

そして、長弓寺さんには今もこれからもずっとお世話になる。

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