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三段論法の基本

三段論法という言葉を知っている方は多いと思います。三段論法は命題が3つ並べばいいというものではなく、いつくかルールがあります。今回は三段論法の基本的な形式について解説していきたいと思います。


太郎さんは人間という概念の外延であり、人間は生き物という概念の外延です。


1. 概念の包含関係


この包含の関係を言葉にすると以下のとおりです。

  • 人間であれば生き物である

  • 太郎であれば人間である

このことから、

  • 太郎であれば生き物である

が導かれます。

これは三段論法と呼ばれるものです。上記のように図にすると直感的にわかりやすいと思います。



媒概念


三段論法は名前の通り3つ命題で形成されています。

最初の命題を大前提(だいぜんてい)と呼び、小前提(しょうぜんてい)が続き、結論を得ます。

結論は、帰結(きけつ)と呼ばれることもあります。

大前提:人間であれば生き物である
小前提:
太郎であれば人間である
結論(帰結):
太郎であれば生き物である

ポイントは登場する概念が3つだけということです。

命題の数は、概念の関係を示すのに必要ならば4つあっても、極端な話5つあっても構いません。

ただし、三段論法はその形式上、3つの命題になるよう概念の関係を示す必要があります。


大前提と小前提で共通の言葉(概念)があるのに気づきましたでしょうか。

この共通の言葉は媒概念(ばいがいねん)と呼ばれるもので、この例では「人間」が媒概念となります。


同じ言葉が別の概念を示しているときもあるため、媒概念においては同じ言葉であることが重要ではありません。

大前提の「人間」という言葉が示す概念と、小前提の「人間」という言葉が示す概念が一致していることが重要です。

媒概念がそれぞれ別の概念を示している場合は「媒概念曖昧の虚偽」という誤謬になり、結論の妥当性は失われます。



三段論法の形式


大前提の媒概念ではないほうの言葉(概念)を大概念と呼びます。

また、小前提の媒概念ではないほうの言葉(概念)を小概念と呼びます。

大前提:人間であれば生き物である
小前提:
太郎であれば人間である
結論(帰結):
太郎であれば生き物である

この例では、「生き物」が小概念で、「太郎」が大概念です。


そして、結論の主語が大概念で、述語が小概念である必要があります。結論には媒概念を含んではいけません。

三段論法は、大前提と小前提で共通な概念である媒概念が、大概念と小概念の関係を結び、結論で大概念と小概念の関係を示します。


この例だと人間は生き物に包含され、太郎は人間に包含されていることが分かるため、この結論は妥当(だとう)といえます。

結論が妥当というのは、厳密にいうと大前提、小前提がそれぞれ真であれば結論が真という意味です。

大前提や小前提の解が偽であれば、真偽は不明となります。


また、三段論法の形式になっていれば結論が妥当性が保証されているのではありません。

3つの概念がこのような包含関係になっていない場合は概念が周延されているか、周延されていないかに注意しなくてはなりません。


次回は三段論法の誤謬について解説していきたいと思います。




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