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土壁の記録③社員が土壁を塗るー 淺沼組社長インタビュー「自然を循環させ、人が健康に暮らせる社会の建設を目指して」

総合建設会社の淺沼組は現在、築30年の名古屋支店をGOOD CYCLE BUILDINGとしてリニューアル中。その現場では「人にも自然にも良い循環を生む」というコンセプトのもと、様々なことに取り組んでいます。このnoteでは、プロジェクトに関わる人の思いや、現場の様子をリポートします!

社員が土壁を塗る

「オフィスの土壁を塗るワークショップを開催します」
社内の呼びかけに、淺沼組名古屋支店に社員が集まり、オフィスの土壁を自分たちで塗るというワークショップが行われました。

土壁に使用される土は、淺沼組の携わる現場から出た建設残土。約12トンの土が使用され、オフィスの全面に塗られることになり、社員も参加することとなりました。
土は「地産地消」のもの。愛知県の瀬戸と南知多の土を使用します。

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今回、指導してくださったのは、以前の記事「土壁の材料を知る」ワークショップを行ってくださった、左官の協力会社、八幡工業の八幡社長。

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土壁の材料をつくるための土を「振るう」作業と、鏝(コテ)を使っての「塗る作業」。「左官」の手解きを受け、練習用の壁で体験を行ってから、自分たちのオフィスに土壁を塗りました。

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実際に鏝を握ってみると、まず、鏝に乗せるのが難しいということを知ります。最初はなかなかうまくいかず、土で汚れながら次第にコツを掴み、楽しそうな雰囲気となりました。

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そして、中には鏝使いのうまいベテラン社員がいます。
話を聞いてみると、
「昔、若い頃は現場で職人に混じって左官をすることもあったからね。今は、もうそういうことはなくなりましたね。でも、仕事は図面に書いてあることが全てではない。現場で知ることや、こうやって自分でやってみてわかることがとても重要だと思いますよ。」

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新入社員もベテランも一緒に参加して、ものづくりを体感しました。

「自分たちがつくることで愛着が湧き、工程を知っていれば壊れた時も改修しながら長く使っていくことができる。」

今回、社員が参加する試みは、「建築をもう一度身近なものにすることができないか」という、思いのもとに実現されました。(詳しくは、前の記事をお読みください。)

自分たちで塗った土壁の前で集合写真。

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そして、ワークショップが始まった5月の頃。現場に、土壁の様子を見に現れた方がありました。

左官職人 久住有生親方の監修

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左官職人  久住有生 (くすみなおき)プロフィール
祖父の代から続く左官の家に生まれ、3歳で初めて鏝を握る。高校3年生の夏に、「世界を観てこい」という父の勧めで渡欧スペインにて、アントニ・ガウディの建築を目の当たりにし、その存在感に圧倒され開眼、左官職人を目指す。 日本に戻り、左官技術を学ぶべく18歳からさまざまな親方の許で、本格的な修行を始める。23歳で独立、「左官株式会社」を設立し、重要文化財などの歴史的価値の高い建築物の修復ができる左官職人として、国内にとどまらず、海外からの評価も高く、オファーも多い。伝統建築物の修復・復元作業だけではなく、商業施設や教育関連施設、個人邸の内装や外装も多数手掛ける。

今回、久住有生さんには、1階エントランスを進んだ突き当たりに大きな土壁アートを製作して頂き、さらに、社員が塗る土壁の全体的な監修を行って頂くことになりました。

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プロではない、空間を利用するユーザーが参加することでこそできる表現はないかと考え、議論をするうちに、
人の動きでデザインを生むことが考えられ、土壁に「指で意匠をつける」ことと、土壁に「土を投げつける」アイディアが生まれました。

オフィスの全面に土壁を塗るという、まだ誰も行ったことがない挑戦に、様々な案が出され、「それでやってみましょう!」と現場で決められながら進行していきます。

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ワークショップの準備のために相談を重ねながら。

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土壁に土を投げてつくられる壁の試作。「耕した土」のイメージの壁。

人が健康で豊かに暮らせる世の中になるように

ワークショップの準備の翌日。現場には、この日のワークショップに参加する社員と浅沼誠社長の姿がありました。

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浅沼誠社長に今回のプロジェクトについてお話を伺いました。

ー皆さんが、土壁を塗る様子を見ていかがでしょうか?

「自分の手でオフィスの土壁を塗ることが行われて、愛着も湧いてくるだろうし、作業の大変さが分かれば、これからの仕事にも反映されてくるだろうと思います。一つの建物を建てるのにこれだけ多くの人が関わり、時間をかけ大変な苦労していることを知ることができて良かったと思います。
私も初めて作業をしましたが、童心にかえって楽しみました。(笑)」

ー淺沼組は創業が奈良で、名古屋支店では樹齢130年の吉野杉がファサードの柱に使用されていますが、その伐採の現場も見られたということでしたが、いかがでしたでしょうか?

「今まで生きていた木が伐採される瞬間を見て、命を頂いているということを強く感じました。100年を超えて大切に育てられた歴史のある木を切り、ここの名古屋支店で新たな命が芽生え、この先に残っていくということは非常に感慨深いものがありました。また、この土は、淺沼組の別の現場から出た土で、それも考えれば循環の一つとなり、色々と縁のあるものが建物に込められて名古屋支店の建物ができるのを感じます。

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ー最後に、「GOOD CYCLE PROJECT」に取り組む思いを伺えますでしょうか?

「会社の事業としてリニューアルを強化するということに取り組み、何が一番大切かと考えた時に、自然との調和、今ある自然素材をいかに循環させて使っていくか、また、それを後世につなげていくかを考えなければいけないと思いました。今ある建物を長く活用し、そして自然素材を使って循環させながら建物を利用することで、利用者が自然を感じながら仕事ができるということはとても重要なことだと感じています。今回は、建築家の川島さんを初め、久住さんや多くの方に協力して頂き、実現していくことができています。これからの世の中で、自然を循環させ、さらに皆が健康になれるような社会をつくっていきたいという思いで取り組んでおります。

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最後に社長を取り囲んで、自分たちで塗った土壁の前で記念撮影。

これからの社会で、自然と人が調和をしながら良い循環を生み出せるよう、淺沼組の「GOOD CYCLE PROJECT」は大きく一歩を踏み出しました。

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株式会社淺沼組
淺沼組は、1892年の創業以来、人々の想いに真摯に向き合い、技術を磨きながら、総合建設業に取り組んできました。これからも伝統を大切にしながら人・都市・自然の豊かな調和から生まれる質の高い環境づくりのために、挑戦と変革を続けていきます。
淺沼組の事業活動は、「誠意・熱意・創意」の創業理念のもと、人と環境を大切にする創環境企業として、企業活動を通じ、社会の安全と幸福の増進に寄与するという基本理念にもとづき行われています。2021年で創業129周年を迎え、今後も変わらず「社会の安全・安心・快適の増進に寄与」する企業として成長していきたいと考えております。

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最後までお読み頂きありがとうございます。
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text, photo by Michiko Sato 
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