
『推計5人に1人が認知症』の2025年
正月三が日はデイサービスも休業だから、今年はホテルでおこもりステイ。
盗られた、無くなったと怒りの原因になるモノに溢れた自宅で過ごすよりもいいかなと考えての策だったけれど、あまかったなぁ・・・
元日は10時過ぎに出発し、イオンモールでショッピング&ランチ。
母は混み合う店内でもススッと歩き回りゴキゲン顔。
ところが、ホテルまでの道すがら疲れたのか 少し居眠りしたからか、徐々に不安が広がり始めた様子で、ホテル到着時には不穏スイッチが入りかけていた。
出迎えてくれたスタッフに支離滅裂な話をしていたけれども、ワタシがチェックインしている間ずっと相手を務めてくれて、ロビーを後にする頃には「おかげで命拾いしました。ありがとうございました。」エレベーターの扉が閉まりかけているのに見送るスタッフの手を取り 何度も涙目でお礼を述べる母。
何の話をしていたかは不明だけど、落ち着かせてくれて ありがとう❢
出迎え時に一言「認知症なので…」と伝えると「私の母もそうですから…」と言ってくれたスタッフさんでした。
その後 部屋でゆっくり寛ぎ、夕食後 一緒に入浴し、ゴキゲンなまま就寝。
翌日はテレビを見ながら部屋でごろごろ。
17時に予約している夕食まで 時間を気にする必要がないので、食っちゃ寝食っちゃ寝正月らしく(?)過ごした。
この日の夕食は、母の好物のすき焼き。
席に着いてすぐ給仕の方に「認知症なのでご迷惑をおかけするかもしれませんが…」と伝えると「私の姉もそうですから…」と。
ナプキンを首掛けタイプに、飲み物のグラスを脚の無いものに替え、ボトルや器など倒しそうなものは遠ざけ、母への気遣いマックスで給仕してくれた。
しかし、満腹満足ゴキゲンで食事を終えたのに、部屋に戻ったら突然不穏スイッチオン!!
❝初めて入る部屋❞におっかなびっくり、ドア前から動かない。
軽く背を押すと 少しずつ進んでくれたけれど、今度は「アレがなくなっとる」「コレも盗られとる」とクローゼットを開けたりデスク上を物色したりウロウロし始めた。
あちゃ~、始まっちまったよ。こうなると何を言っても 馬耳東風 犬に論語 馬の耳に念仏、適当に相槌を打ちながら矛先を向けられないようにかわすしかない。
そうして、ベッドに横になって対処していたら いつの間にか寝落ちしていた。慌てて飛び起き母の姿を探すと、隣りのベッドにコートを纏って寝転んでいる。コロンと。クローゼットに掛けていた服を全部着込んでいるから着ぶくれして黒いだるまのようにコロンと。かわいい。笑ける。
荒らされた様子の室内を見やると、アメニティや備品が詰め込まれたポリ袋を発見。ゴミ箱にセットされていたポリ袋を取り出したようで、歯ブラシ、入浴剤、グラス、スプーン、スリッパ、その他いろいろが ゴミと一緒くたにされていて(涙)
部屋に備え付けのコーヒーメーカーは分解されて部品が散らばり、電話機はデスクの端までコードを伸ばして受話器がぶら下がり、ハンガーは床に散乱。
鬼の居ぬ間に、母が寝てる間にササっとお片付け。自分がまとめたモノを他の人が触ると激しく怒りだすので、復旧中に目を覚まされると厄介なのだ。
跡形もなく元に戻しておけば、覚えていないから大丈夫。
てことで、2泊目は機嫌悪いまま就寝。
夜中に「暑いっ」と目を覚ましたり(やっとコート脱いだ)、ぶつぶつ文句言いながらベッドシーツや布団を畳んだり丸めたり、ドアを開けようとしたり(ドアガード解除できないから出られない)、バスルームやトイレ(別々)の戸を開けたり閉めたり、途中トイレへ誘導したり水分補給させたり、自宅でのそれと大差ない夜だった。
翌朝 少し不機嫌だったけれども、好きなコーンのカップスープを飲ませて、身支度を手伝っているうちに笑顔が戻った。
チェックアウト後は、高速道路の渋滞に巻き込まれないうちに即行で帰路へ。
無事に帰宅し、お土産のスイーツでご機嫌ティータイム。
終わり良ければ総て良し。
そんなにたくさんの接客を受けたわけではない二泊三日の外出で、2人もの『家族が認知症の人』に遭遇した。
「認知症なので」と伝えることで スムーズに応対してもらえるから、きちんと接客を受けるときは最初に言うようにしている。
それを伝えた相手も似た境遇である割合が 今回あまりにも高くて
『2025年には5人に1人、65歳以上の高齢者の20%が認知症になるという推計』の正確さを目の当たりにした感じ。