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手術で治る認知症
慢性硬膜下血腫
溜まった血液で脳が圧迫され、認知症といわれる症状が出る病気。
血腫を除去したら、元の状態まで改善した。
母の場合『元』っていうのは、中等度アルツハイマー型認知症だけれども。
2022年6月頃から症状が急に進行したかのように、幻覚、幻視、見当識障害がひどくなった。
やはり認知症の薬を飲んだ方が、本人にとっては楽なのかも・・・
7月11日からメマンチン塩酸塩OD錠5㎎を1日半錠ずつ服用し始めた。
服用数日後から、ふらついたり「頭が痛い」「めまいがする」と訴えるようになった。
処方された14日分を飲み、頭痛、めまい、ふらつきが見られることを担当医に伝えると、すぐに服用中止し様子を見ることになった。
服用中止してからも、ふらつきが治まらず頭痛やめまいを訴えるので
8月1日に脳神経外科クリニックを受診すると
MRIで血腫が見つかり、すぐに手術するよう近くの救急病院を紹介してくれた。
薬の副作用じゃなかったんだ!
ごめんね。ムダに痛い思いさせてしまった。
もっと早く検査すれば良かった。
当日中に慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が施され、ドレーンを一晩挿したまま出る限りの血液を取り除く。
手術自体は簡単で、若手の医師が行うことが多いらしく
母の担当も大学病院から派遣された若い医者だった。
初めての、それも『頭蓋骨にドリルで穴を開けて溜まった血液を抜く』なんて、説明を聞いてるワタシの方が怖かった。
自分のことなのに理解できない母の方が落ち着いてて・・・
術前の検査、麻酔から手術が終わるまで、とても長く感じられた数時間。
術後に呼ばれ無事に手術を終えたとのこと、病室に移る前ほんの数十秒だけど痛々しい包帯頭の姿で眠っている母に会えた。
母は手術したことも覚えていないだろうし、それ以前に手術が必要な病気だということも理解できていなかったし、目が覚めたら「ここはどこ?」「あなたは誰?」って不安になることが推測されるけど、コロナ渦で病棟への立ち入りは出来ないため、一旦帰宅して準備した入院荷物を受付に預け、あとは病院に任せて無事を祈るのみ。
管理ができないため補聴器は外したままだから聴こえません。
ワケわからん言動も多く、お手数をおかけすることと思います。
看護師さん、どうか慈愛の手で接してあげてください。お願いします。
後ろ髪を引かれながら病院を後にした。
翌朝、担当医から電話。
ドレーンも点滴も引き抜き、ベッドから起き上がるので拘束していたが
それもすり抜けて歩き回ったらしい。
感染症を引き起こす可能性があるとのこと。
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『後日談』
母曰く
「目が覚めたら捕まって、知らんとこに閉じ込められとったんよ。」
「縛られとったけど引きちぎって、殺されんように逃げたけど、すぐ見つかってしまうと。」
「(部屋に)オトコが来よるのが分かったけ、入ってきたときコレ投げて、それでも近づいて来たけ叩いてやった。」
「あんたも捕まっとるやろうけ、助けに行こうとしよったんよ。」
悪者と命がけで戦ったらしい。
1週間の入院予定だったけれど3日目午後には、動き回る高齢患者の転倒リスク、認知症の悪化を理由に「明日にでも退院してはどうか」と電話が入った。
感染症の心配は無いんかい?
家で普通に生活して大丈夫?
「自宅で娘さんと居るほうが落ち着くでしょうし・・・」
認知症の人は長く入院させてもらえない。
そりゃそうでしょう。
ただでさえコロナ渦で医療従事者は大変なのに、一般病棟で不穏なお年寄りを常に見守る人員まで確保できないでしょうから。
退院する日の朝、病棟へ行くとナースステーション隣室のガラス張りで丸見えのベッド上に母の姿を発見。
ティッシュを箱から1枚ずつ取り出しては小さく畳んで重ねるという作業を黙々粛々と行っている。思わず涙・・・
支払いや書類にサインを済ませ、やっと入室。
「あんた何しよったん。どこ行っとったんね。遅い!」
感動の対面とはならず、なんやかや喋り続ける母を着替えさせたり、荷物まとめたり、ドタバタしながら家路についたのでした。
退院後は時々ステイプル辺りの痛みを訴えた。
点滴や拘束を無理に抜いたから?両腕の皮下出血班が痛々しい。
8月9日 抜鉤
9月6日 慢性硬膜下血腫両側性との診断
今回の手術は左側だったが、右側もこの1カ月でかなり溜まっている。
除去した左側も再発し小さい血腫がある。
デカドロン錠と併せて五苓散も処方された。
9月13日、27日 再診CT
その後、血腫はさほど大きくなっていないので、また頭痛ふらつき等の症状が出るようになったら手術を検討することになった。
2年以上経ちますが、めまいやふらつきも見られず
脳の血腫はおとなしくしてくれているようです。