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Photo by
sushino
創作【詩】 おくりもの
お前がきのう見上げた月は
私が今晩落としたものだ
月は時間の海を超えて
安らかに船を漕いだのだ
お前がおととい目にしたサンゴは
私が明日から贈ったものだ
サンゴはその美しい髪で
優しくお前に笑ったのだ
お前が触れたサテンの生地は
私がお前にやったのだ
未来の淵から身を乗り出して
それはお前に身を寄せたのだ
私の代わりに
どうか捨てないでおくれ
私が死んだら、欲を言えば
どうか燃やしておくれ
全て忘れてもいいから、朝が来れば
そして誰かに贈っておくれ
私の骨と お前の優しさを