インリアル・アプローチについて
私が発達障害のある子どもたちと関わる時に一番大事にしている「インリアル・アプローチ」についてお話します。
長文になってしまいました。すみません。
私と「インリアル・アプローチ」との出会いは発達障害の専門家と話していたときに、一番おすすめの本を教えてくださいと言って、教えてくれたのが最初でした。
「名著だよ」と言って伝えてくれた通り、今の自分のベースになっています。
「インリアル・アプローチ」は、ことばの遅れのある子どもに対して、伝える力を育てることを目的としています。
まだことばの出ていない子供や出始めの子どもの理解にもつながりますので、障害のある・ないにかかわらず、2歳のお子さんを育児中の方にもお役に立てるかと思います。
今回は全ては伝えきれないので、基本的な部分をお話しようと思います。
大人の基本姿勢 SOUL
「インリアル・アプローチ」の大人の基本姿勢としてSOULをあげています。
SOULとは、Silence、Observation、Understanding、Listeningの頭文字をとったもので、それぞれ次のようなねらいがあります。
Silence(静かに見守ること)
子どもが場面になれ、自分から行動が始まるまで静かに見守る。Observation(よく観察すること)
子どもが、何を考え、何をしているのかよく観察する。Understanding(深く理解すること)
観察し、感じたことから、子どものコミュニケーションの問題について理解し、何が援助できるか考える。Listening(心から耳を傾けること)
子どものことばやジェスチャーなどのサインに十分に耳を傾ける。
最近は、乳幼児向けの教室などがありますが、自分の子どもをよく連れて行きました。
が、教室に入っても何もやらなかったり、教室の中に入らなかったりしていました。笑
様子をみて誘いますが、無理強いはせずに、見守ります。
大人のことばかけ
ミラリング
子どもの行動をそのまま真似る。
これは、子どもの動作をそのまま大人が真似ることです。子どもが車のおもちゃを転がして遊べば大人も同じように車のおもちゃを転がして遊びます。
「自分が何か動作をすれば、この人も同じようにしてくれる」という関係に子どもが気付きます。モニタリング
子どもの音声やことばをそのまま真似る。
子どもの声やことばをそのまま真似て返します。乳児が「あー」と言ったら大人も「あー」と言ってそのまま返します。
大人が音声を真似することで、自分で発する「声の効果」気付かせます。パラレル・トーク
子どもの行動や気持ちを言語化する。
大人が、子どものしている行動や気持ちを言語化するものです。
子どもが車のおもちゃを転がして遊んでいたら、大人が「ぶ~ ぶ~」と子どもがしている行動を言語化します。
子どもが楽しそうにしていたら大人が「楽しいね」と子どもの気持ちを代弁します。
大人が子どもの気持ちを理解し、一緒にコミュニケーションしたいという意図を伝えることがねらいです。セルフ・トーク
大人自身の行動や気持ちを言語化する。
大人自身の行動や気持ちをことばにして子どもに伝えます。
「おかあさんは、赤いぶ~ ぶ~であそぶよ」や大人がどこかぶつけて痛がっているのを子どもが見て、なでなでしてくれ時に「〇〇くんが、なでなでしてくれて、嬉しいよ」と言語化することです。リフレクティング
子どもの言い誤りを正しく言い直して聞かせる。
子どもが汽車を転がして、「ぶ~ ぶ~」と言ったら、大人が横で「ぽっぽー」と正しいことばに直して伝えます。
この時、「違うよ」や「言い直してごらん」という指摘や訂正はしません。エキスパンション
子どものことばを意味的、文法的に広げて返す。
子どもが車を転がして「ぶ~ ぶ~」と言った時に、大人が横で「ぶ~ ぶ~ 発進」と言います。モデリング
子どもに新しいことばのモデルを示す。
子どもが言ったことばを使わずに新しいことばを伝えます。
子どもがバスを指さして「バス!」と言ったら、「あれは動物園行きだよ」と新しい情報を伝えます。
以上、7つのことばかけの仕方がありますが、日常生活で使えます。私は、特にパラレル・トークとセルフ・トークをよく使います。
セルフ・トークは子どもとの関わりの中だけでなく、妻や夫などいった自分のパートナーにも、ぜひ使って欲しいことばかけです。
長くなってしまいましたが、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。