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『世界を変えた31人の人生の講義』 作者:デイヴィッド・M・ルーベンシュタイン

全米ベストセラーの日本語版なのだそうだ。
有名な経済メディアであるブルームバーグの対談番組の書籍化であり、登場するのはいずれも成功者と言われる面々だ。
番組の進行役であり、本書の著者であるルーベンシュタイン氏は、弁護士業から始まり、カーター政権下に於いて大統領の副補佐官を務め、その後、世界屈指の民間投資会社であるカーライル・グループの共同創設者兼共同会長となっている。
その著者は序章でこう語る。
「私が長く興味を抱いてきたのは、タイプの異なる多種多様な人間がいかにリーダーに成長し、リーダーであり続けるのかという点だ。人はどんなことで奮起し、傑出したリー ダーになるのだろう」
そして、番組でインタビューした人たちが繰り返し口にしたものから、リーダーに必要な13の要素を得たのである。
それらは、本書を実際に手にした時のお楽しみにしていただくとして、ここからは31人のうちの幾人かに対する著者のコメント、若しくは本人の弁を抜き出してみよう。

ジェフ・ベゾス(Amazon創設者)
「人生に於ける重要な決断は、常に本能や直感、感覚、あるいは感情をもとに下しているものなのです」
「80歳になった時にああすれば良かったと後悔するなら、なるべくその数は減らしていきたいと考えています」

ビル・ゲイツ(マイクロソフト創設者)
彼のずば抜けた成功は、どうやら先見の明、知性、意欲、そして集中力によるものらしい。同時に4つを備えた人物はまずいない。そして、その中で最も重要な要素は先見の明である。
そう著者が評する人物は、マイクロソフトと、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を創り、運営してきた道のりをこの様に語る。
「イノベーションの可能性を探し、決して諦めず、そこにチームを作り、成功と失敗を繰り返す。変化を生み出す時に必要なセオリーです」

リチャード・ブランソン(ヴァージングループ創設者)
彼の理念とは、大胆であること。そして、製品だろうがサービスであろうが、これまでにないわくわくする感動や経験を提供し、それを消費者に購入してもらうというものだ。

オプラ・ウィンフリー(プロデューサー、慈善家)
「他の誰かと競争するのではなくて、自分を相手に自分のペースで走れば良い。他の誰かじゃなくて、より良い自分になっていこうとすべきなのです」

ウォーレン・バフェット(投資家)
「自分でやり続けることのできる何かを見つけ出すべきだ。人生はおそらく一度しかない。夢遊病者の様にぼんやりと過ごしたくはないだろう」

と、こんな具合だ。
そして、本書で登場するのは経営者だけではない。
アメリカ合衆国元大統領、元国務長官、元米国大統領主席補佐官、下院議長といった国政に携わる人々の他、NBAコミッショナー、欧州中央銀行総裁、国立アレルギー感染症研究所所長、連邦最高裁判事、偉大なゴルフチャンピオン、音楽家などなど実に多方面に行き渡っており、また、その中には女性リーダーの姿も多い。
本書の中で語られる内容は、リーダーシップ論のみならず、人種差別、性差別問題、それから、世の不公平に対して行なわれている慈善活動についても相当のページが割かれている。
また、インタビュアーの人々も、そういった世の中で、皆のロールモデルたらんとしている。
アメリカだからこその、アメリカらしい内容になっている。
なにしろ31人だ。ページ数も680余り。じっくりと読んでみていただきたい一冊である。


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