ネット見なくてもちゃんと怖かった『イシナガキクエを探しています』
たまたまTVerを漁っていたら見つけたホラー番組(でいいはず)『イシナガキクエを探しています』の感想文です。
⚠️ネタバレありですのでご注意を!
本作はテレビ東京で、深夜帯に3週にわたり放送されました。ちなみに私、モキュメンタリーって言葉をこの番組で初めて知りました。架空の事実をドキュメンタリーで本物っぽく見せる表現だそうです。
私は2話終了後に存在を知ったので、モキュメンタリーだってわかったうえでTVerで第1、2話を見ました。が、リアタイでたまたま見た人はびっくりしたんじゃないだろうか。なぜ55年前に失踪した女性の特別公開捜査番組をこんな時間にやるねん、と。
そう、この番組は87歳男性の米原さんから、55年前にいなくなったイシナガキクエさんという女性を探してほしいという依頼を受けたテレビ東京が、視聴者に情報を募るというシナリオで進行していきます。しかも番組放送開始時点ですでに依頼主の米原さんは亡くなっております。きな臭い、きな臭いよー。
番組ではイシナガキクエさんの情報が出ますが、「小柄」「面長」「髪は肩くらいの長さ」というあってないような情報に加えて「会話ができない」。どういうこっちゃ。最後の表現だけ明らかに不穏すぎる。
そして、こんなうっすい情報しかないのにあんなにすぐ情報提供の電話鳴る? あまつさえ時間帯は深夜。
しかも情報提供者に若い人が多い。20代とか30代とか。いや今キクエさん生きてりゃ70歳越えのおばあちゃんよ。あのAI復元写真、正直そんなあてにならんよ。
微妙にいろいろ突っ込みたくなるがそれら全部が、「これは怖い番組なのだ」という前提で見ているときっと計算ずくのことなのであって、そう思うととても怪しくてとっても怖い。
私が怖いと思ったのは第2話で、中学生が「拾ったビデオにイシナガキクエらしき人が映っている」と言って提供してくれたビデオの動画が流れるんですけどね。
出演者ラランド・サーヤも言うてるが、どこを見てキクエさんだと思った??
え、中学生には何か、私たちには見えないものがはっきり見えたんかな?
……ていう、ここがいちばん怖かった。
その前の、キラフさんの動画も怖かったけど。
そして謎がほとんど謎のまま、はたしてこれがどう着地するのかわくわくしながら見た第3話。
登場したのは安東アナウンサーのみで、これまで出演していたコメンテーターも電話オペレーターもおらず。今回が最終回だからということなのかもしれませんが……。
結論からいうと結局イシナガキクエが何だったのかは明言されません。ここが日本ホラーの特徴でもありぞわぞわっとくるところでもあるよね。
連載型のホラーはいまやネット考察が当たり前で、それらを読むのも楽しくはありますけど、世間の考察に触れないで番組だけを見ていても
ちゃんと怖かったです。
ただしこの「怖さ」というのは得体の知れない怖さ、余白があるからこその怖さであって、何かしらの真相や真実が欲しいという方には向いていないおもしろさです。
さて、私はこれから他の方の感想を読みにいってこようと思います。
ところで、第2話のキラフさんの動画で出てきた写真、裏に番号が書いてあるのと書いてないのがありましたよね。35までしか番号ふってありませんでしたよね。
てことはもしかして、まだ……。