庭にヤマカガシ|毒のある美しい隣人
ただ蛇を愛ているだけの日記です。
※苦手な方は…そろそろとお進みください🙏
うれしいことがあった。
朝、賃貸の家についている小さな裏庭に出てカボチャの様子を見ようとしたら、背後でずずっと音がした。
振り向きながら、その音の雰囲気からなんとなく蛇だろうなという気はした。家の周りで出会ったことはなかったけど、我が家でボールパイソンという小型の錦蛇を飼っていたこともあり、蛇好きとしてはその這いずり音にピンとくる。
アオダイショウかシマヘビかな。
そう思っていたら、緑がかった背中に赤い模様、クリっとした瞳が目に入った。
ヤマカガシ。
ヤマカガシには毒がある。
日本で毒のある蛇といえば、この種のほかにハブやマムシが有名だろうか。ハブやマムシはクサリヘビ科といって三角頭が特徴的なグループなのに対して、ヤマカガシは小顔ですらっと長いナミヘビ科。オスは最大120cm、メスは150cmほどまで成長することもあるが、細身の体型なので想像するほど大きい印象はない。森林とか河原や水田のそばで暮らし、カエルなどを食べる。その毒は強力。だけど多くの蛇と同じく、ヤマカガシのほうから人間をわざわざ襲うことはない。
庭にいた個体も、私の気配に気づくや、そろそろとどこかに去っていくところだった。100cmに満たないくらいの、小柄な個体。その動きのゆるさから、おそらく蛇は人間に見られていることに気づいていない感じがした。脅かさないように注意しつつ、美しい姿を観察させてもらった。
いや、実は気づいているのかもしれない。
蛇のことはわかりようがない。
一切の無駄を削ぎ落とした体躯、生物というより鉱物みたいなうろこの整列、まぶたもなければ1mmの思惑もないような目。
自然を制し、服を着て、生物界の頂点であるかのような顔をしてなお、結局いろいろと泥臭い人間…そんな人間に対して、蛇の無生物感はその対極にあるような気がする。
だから蛇に会うと、遠い存在への憧れみたいな畏怖みたいな感情が浮かぶ。
いや、知ってる。
彼らだって好き嫌いがあるし(昔飼っていたボールパイソンは異常にグルメで、なかなか餌を食べてくれなかった)、
風邪を引くこともあるし(蛇のくしゃみ、聞いたことありますか?案外人間みがあります)
いろんなものを怖がる(掃除機をかけるたびに頭を隠して丸くなっていたあの子…)。
何考えているかわからないけど、ふつうにしっかり動物なのだ。
とはいえ、苦手な人が多いのも事実。
ただ生きてるあのヤマカガシがあまり人間に接触せずに平和に暮らせるように、今日は賃貸の庭を丁寧めに草刈りした。
また会いたいけど、戻ってこないでねと。
サムネイル出典:ブルガリ セルペンティ ヴァイパー ネックレス
ブルガリのヴァイパーシリーズはクサリヘビをモチーフにしているそう。
以前うちにいた蛇をチラ見せ:
蛇のことがもっと知りたくなった方へ: