【自分で出来る】発信者情報開示請求のやり方(各SNS共通)【ひな型あり】(IP開示後プロバイダ訴訟~本人特定まで)
※この記事では、弁護士に依頼しなくても匿名誹謗中傷者を特定して責任追及ができるように、参考情報としてまとめました。手続書類や訴状のひな型をダウンロードできます※
みなさん、こんにちは。
司法書士の加陽麻里布(カヨウマリノ)です。
近年社会問題となっているインターネット上での誹謗中傷。この問題については、国の法律改正が待たれます。
私自身が、実際に弁護士を入れずに手続を行った際に使用したひな型や一連の手続についてご紹介します。本noteが少しでも、誹謗中傷に悩んでいる方のお力になれればと思っています。
0.はじめに
今回は、IPアドレスが開示され、ログの保存が完了した後の流れをご紹介します。まだ、IPアドレス自体が分かっていない、ログの保存確認がとれていないという方は、こちらの手続から行ってください。
1.投稿者の情報開示請求
IPアドレスを入手したら、IPアドレスから分かったプロバイダ(※)に対し、保有している投稿者情報の開示を求める裁判を提訴します。
※プロバイダはWhoisにIPを入れて検索すれば経由プロバイダが分かります、詳しくは、仮処分申立~ログ保存編のnoteを参照。
(1)提訴前に準備するもの
経由プロバイダの法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)をお近くの法務局で1通取得してください。準備するものはこの1点のみです。
誰でも、全国どこの法務局でも登記簿謄本を取得できますので、お近くの法務局の法人部門で経由プロバイダの登記簿謄本を取得します。
住民票を取得する手続と同じで、法務局へいくと登記簿謄本請求用の用紙がおいてありますので、会社名と本店所在地等の記載事項を書いて取得してください。手数料は1通600円になります。
(2)発信者情報開示請求_訴状(ひな型あり)
登記簿謄本を取得しましたら、まずは、訴状の作成を行います。下記ひな型を参考に、ブランクとした箇所に自身の情報を入力してください。※下記ひな型に「訴状・発信者情報目録・投稿記事目録・権利侵害の説明」すべてついています。
上記書類が完成しましたら3部(裁判所提出用・相手用・自分用)刷りだします。
(3)その他提出書類(ひな型あり)
訴状とは別に「証拠説明書」を提出する必要があるため下記ひな型を参考に作成しましょう。
証拠説明書
下記ひな型を参考に作成しましょう(※事件番号は受付されるまでは不明なのでブランクでOKです)。
それぞれ「訴状」「証拠説明書」の原告氏名の横には印鑑を押します(認印でOK)。
(4)証拠添付
訴状が完成したら次に証拠を添付します。証拠も決まっていますので下記を参考に作成・印刷しましょう。原告が提出する証拠を甲号証といいます(被告が提出する証拠は乙号証です)。 甲1号証からはじまり、証拠が増えるごとに甲2号証、甲3号証と番号が増えます。それではここで添付する甲号証(証拠)を下記に記載いたします。
甲1号証「履歴事項全部証明書」
上記で取得した登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を添付します。
甲2号証「本件投稿記事」
対象の投稿記事をプリントアウトしたものです。必ず投稿内容のすべて、投稿日時及び本件投稿記事のURLが見える形で印刷してください。
甲3号証「仮処分決定正本」
仮処分決定が出た際に裁判所からもらった仮処分決定正本をここで使用します。仮処分手続によらないでIPアドレスを取得した場合(任意で開示された場合等)はこの仮処分決定正本は不要です。
甲4号証「開示された発信者情報」
仮処分決定が出るとツイッター社よりIPアドレスが開示されます。
開示される際に表示される画面(下記参考)をPDFで保存し当該画面を印刷しましょう。
甲5号証「Whois検索結果」
https://tech-unlimited.com/whois.html へ飛んで取得したIPアドレスを入力し検索を行い検索結果の画面を印刷します。
甲6号証「陳述書」
「名誉棄損」であると主張する場合、反真実性の主張を陳述書で行います。「名誉感情侵害」とする投稿においては不要。下記ひな型を参考に、主張内容を書いて印刷します。
甲7号証「東京地裁平成31年(ワ)」
過去「老いぼれた老人」との投稿に対し、侮辱(名誉感情の侵害)の不法行為を認めた事案があるので、下記裁判例を印刷します。
(5)裁判所へ提出
「訴状」「証拠説明書」「証拠」を揃えたら完成です。作成した書面と証拠等を裁判所へ提出いたします。管轄は仮処分と異なり、被告(法人)の存在する住所地を管轄する裁判所となります(経由プロバイダの対応に不備があることを理由に不法行為による損害賠償請求も併合すれば原告住所地を管轄とすることも可能ですがここでは割愛します)。
おそらくほとんどが「東京地裁」となるでしょう。
また当然、郵送でも提訴すること可能です。郵送の場合は直接もっていくよりも受付審査に時間を要する可能性がございます。
受付後、裁判所より連絡がきますので第1回目の期日の日程調整を裁判所と行います。日程候補が複数あがりますので、下記書類等をFAXで送付する等して利用しうまく日程調整をおこなってください。
(6)第1回目期日~投稿者情報開示
基本的には、プロバイダはどのような書込み事案であっても形式上争う姿勢をみせてきます。この手の訴訟は、新たな証拠等はなく、書かれた事実を裁判所がどう評価するかの問題なので、先方が主張した後は基本的にこちらの方で再度主張を行うことはありません。当然裁判所の指示を待つことになりますが。
無事、結審となり、裁判所の方で権利侵害を認めていただき開示決定がでれば、匿名投稿者の氏名・住所・メールアドレス等の情報を入手することが可能となります(基本的にプロバイダは控訴しませんので1審で終わります)。
これを元に、次はいよいよ本丸である投稿者に対して「不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」を行います。
2.投稿者特定!投稿者に対し慰謝料請求の裁判
判決に基づいてプロバイダが有する情報が開示されます。判決後、数日すると、下記のような書面が送付されてきます。
書面には、匿名投稿者の氏名及び住所が記載されています。氏名及び住所を入手しましたら、次は、当該投稿者に対する民事裁判・刑事告訴を行う段階です。
(1)民事訴訟提訴
民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を起こします。加害者特定まで出来たのであればこの先は、賠償金を1円でも多くとるために弁護士に依頼しても良いかもしれません。不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であれば、特別な知識を有さなくても、ほぼすべての弁護士が対応可能ですので、ご検討ください。
それでは、自分で行う場合の参考として訴状ひな型をご紹介いたします(この訴状の文面は仮処分やプロバイダ訴訟のときとは異なり書込み内容や悪質性、回数等によって大きく変わってきますので、作成が自分では難しいと感じたら弁護士にご相談ください)。
(2)訴状作成(ひな型あり)
まずは、匿名投稿者への訴状の作成を行います。下記ひな型を参考に、ブランクとした箇所に自身の情報を入力してください。※下記ひな型に「訴状・別紙投稿記事目録」すべてついています。
上記書類が完成しましたら3部(裁判所提出用・相手用・自分用)刷りだします。
(3)その他提出書類(ひな型あり)
訴状とは別に「証拠説明書」を提出する必要があるため下記ひな型を参考に作成しましょう。
それぞれ「訴状」「証拠説明書」の原告氏名の横には印鑑を押します(認印でOK)。
(4)証拠添付
訴状が完成したら次に証拠を添付します。証拠も決まっていますので下記を参考に作成・印刷しましょう。上述したとおり原告が提出する証拠を甲号証といいます(被告が提出する証拠は乙号証です)。 甲1号証からはじまり、証拠が増えるごとに甲2号証、甲3号証と番号が増えます。それではここで添付する甲号証(証拠)を下記に記載いたします。
甲1号証「本件投稿記事」
対象の投稿記事をプリントアウトしたものです。必ず投稿内容のすべて、投稿日時及び本件投稿記事のURLが見える形で印刷してください。
甲2号証「仮処分決定正本」
仮処分決定が出た際に裁判所からもらった仮処分決定正本をここで使用します。仮処分手続によらないでIPアドレスを取得した場合(任意で開示された場合等)はこの仮処分決定正本は不要です。
甲3号証「開示された発信者情報」
仮処分決定が出るとツイッター社よりIPアドレスが開示されます。
開示される際に表示される画面(下記参考)をPDFで保存し当該画面を印刷しましょう。
甲4号証「Whois検索結果」
https://tech-unlimited.com/whois.html へ飛んで取得したIPアドレスを入力し検索を行い検索結果の画面を印刷します。
甲5号証の1「判決正本」
発信者情報の開示を命ずる判決が言い渡されてる事実を証するため上記で得た判決正本を添付します。
甲5号証の2「通知書」
甲5号証の1の判決に基づいて発信者情報が開示された事実、被告が発信者であることを証明するためプロバイダから取得した通知書(発信者の情報がかいたもの)を添付します(下記のようなもの)。
甲6号証「陳述書」
「名誉棄損」であると主張する場合、反真実性の主張を陳述書で行います。「名誉感情侵害」とする投稿においては不要。下記ひな型を参考に、主張内容を書いて印刷します。
甲7号証「プロバイダ責任制限法ガイドライン」
裁判所の判決に基づかないプロバイダの自主的判断による発信者情報の開示は例外とされており、発信者情報開示の手続を行うには、原則裁判を行う他ない状況であることを証明するために、プロバイダ責任制限法ガイドラインを印刷します。
(5)裁判所へ提出
「訴状」「証拠説明書」「証拠」を揃えたら完成です。作成した書面と証拠等を裁判所へ提出いたします。どこの裁判所に提訴するかについてですが、「不法行為に関する訴え」については「不法行為があった地」の管轄裁判所へ提訴できます(ネット誹謗中傷は、その書込みを見た場所で構いませんので、沖縄在住であっても東京に出張中に書き込みをみた…ということであれば東京で提訴することも可能です)。
自分自身や担当する弁護士さんの近くの裁判所だと便利でしょう。管轄は各自ご確認ください。
3.投稿者特定!投稿者を刑事告訴
投稿者を特定後は、刑事告訴も視野にいれても良いでしょう。私も実際に虚偽事実を投稿したジャーナリストを相手に刑事に告訴をした経験があります。下記記事に詳しく記載しました。
告訴状のひな型や刑事告訴状を受理いただくためのお話など記載していますので刑事告訴を考えている方は是非こちらの記事をご参照ください。
4.さいごに
いかがでしたでしょうか。ここまで自分で出来る発信者情報開示請求のやり方をざっくりとご紹介してきました。現状難しく複雑な手続きですが、インターネット社会である今、そして誹謗中傷が問題となっている今、国の法律改正が待たれます。
芸能人や有名人だけが被害者ではないこの時代に、私は、司法書士として皆さんに何が出来るのか…日々考えています。手続委任を受けた弁護士の先生にも非常に負担のある手続です。賠償額と手間賃があわないのです。
お金がないから弁護士に頼めない…泣き寝入りするしかない…そんな方が1人でも減ればいいと思いこのまとめ記事を作成しました。もし周りに匿名投稿者による誹謗中傷に悩んでいる方がいたらこの記事をシェアしてください。
最後に、私は日頃、会社法人登記業務を中心に活動し同時に毎日YouTubeで情報発信をおこなっております。自身の専門分野である法人・企業に関する情報や、経済のこと等時事ネタを中心に毎日更新していますのでぜひ、チャンネル登録おねがいします。
それでは、みなさま、また別の記事でお会いしましょう(^_-)-☆
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