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小さなワタシ、大きなワタシ、まんなかを見つめる。11_October

このnoteは、自由な創作活動を生み出すスタジオ、神奈川県横浜市天王町駅の高架下にある「PILE -A collaborative studio-」 で、創作を生み出す「心」を創る企画として毎月コラムを発行いたします。


担当はHIPHOP、コンテンポラリーダンサー・振付家として現役で活動しているasamicro(アサミクロ)


撮影:ともまつりか

小さなワタシ、大きなワタシ、まんなかを見つめる。


 急速に秋めいてきたこの頃、肌寒くなるとチョコレートが食べたくなる。更に珈琲が飲みたくなる。そして、少しだけ寂しい気持ちにもなる。ベタだけれど、公園や街で見かける紅葉が綺麗で、そんな時にいつも思い出すのは、妹と母と毎週金曜日の夜に3人だけで開催していたパーティー「お疲れさん会」。こどもの頃の思い出だ。

 今回は幼少期の思い出や時間と寄り添いながら、「心の中の自分自身」を見つめ、コラムを書こうと思う。

 私は先日まで、長期プロジェクトにダンサーとして参加しており、日々身体を駆使する生活を送っていた。最終日の夜にダンサー仲間と夕食会をした。話が深まってきた時、あるダンサーからこのような言葉をもらった。

「アサミクロの中のミニアサミクロは ”頑張って〜”“頑張って〜”と背中を押してくれる子たちなんだね」

 この言葉を聞いて私は、

「ミニドラみたいだよね〜。そう思うといろんなことが可愛く感じてくるね」

 と話し、和かな空気でその場は終わった。
この会話は私のちょっとした発言をきっかけに生まれた。
  私はダンサーとして常に挑戦しながら活動を続けているのだが、その理由が自分ではわからない。多くのダンサーは「ダンス界で〇〇のようになりたい!」という目標があると思うのだが、私には正直理想のダンサー像というものが存在しない。挑戦はし続けているのに、その先に目指すものが謎なのである。
(表現者というのは、みんなそれぞれにドラマを抱えて活動をしているので、動機や目標ももちろん人の数だけあり、きっと私のようなタイプも存在しているとは思うのだが…。)
このことを仲間に話している中で、先ほど書いたような会話が生まれた。

帰宅中、電車の中で妙に【アサミクロの中のミニアサミクロ】が気になった。ミニな私は身体のどこに住んでいて、どんな様子で過ごしているのだろうか。

Monday Morningにて珈琲を提供してくださっているCafeちょこんと。さんのメインキャラクターのちょこんとくん(写真左)に「似ている子がいる」と言って持ってきてくださったお客様の子と一緒に。こんな平和な月曜日があっていいのでしょうか。笑。豊かな可愛い大人たちでした。

 私が尊敬しているダンサーの田中泯さんが主演されている映画『名付けようのない踊り』では、“私のこども”というフレーズが多々表現されている。ご自身の踊りの中で常に「私のこども」を意識されており、

「人間は身体の中に意識が生まれた瞬間から記憶が始まります。こどもの頃から様々な出来事がありましたが、それは私にとって大変な歴史であるわけです。こどもの頃に感じたこと、こんな大人はいやだと思ったことを大事にしています。それを『私のこども』というのだというのです。それは踊りにも影響がある」
と、とある記事でも話されていた。私はまだまだひよっこだが、田中泯さんの言葉には共感できる感覚もたくさんある。

一方で、アダルトチルドレンという言葉を知っているだろうか(略してAC)。医学的に言い直したものは、複雑性PTSDという。

※元々はAdult Children of Alcoholist(アルコール依存症の家庭で育ち、成長した成人)。アルコール依存症者のいる家庭で育った子どもは、高確率でアルコール依存症になるか、アルコール依存症者と結婚し共存する。「世代連鎖」として親の問題が子へ受け継がれる傾向が発見され、その中で「アダルトチルドレン」という言葉が生まれた。

 私は最近の自身の制作を見つめ直している中で読んだとある記事にとてもハッとしてしまった。それは【トラウマ治療とは右脳と左脳をバランスよく使える様になることである】という文章だ。

 私は現在、日常生活で支障をきたす程のトラウマに悩まされているわけではないが、それでも9年間の不登校生活から生じた影響で、人よりもスムーズに行えないことも多々あり、心と戦う日々も未だに存在する。そんな中で、ここ最近の自身の暮らしや制作活動を振り返ると、「もしかしたら私は、無意識にトラウマ治療を行っていたのかもしれない」と思い当たることがあった。
 人はトラウマを経験すると、右脳が活性化され、左脳の機能が低下傾向になるという。右脳にはフラッシュバックとなる記憶が保存される。右脳には時間間隔がないため、トラウマの記憶を客観的一過性のストーリーとして処理するのが難しくなる。

 2つの脳にはそれぞれ《右脳=感情、創造性、直感》《左脳=言語、分析、論理的、理性、思考》に対応する役目がある。

 どちらかが極端に活性化されてしまうと、先ほど述べた「アダルトチルドレン」に陥りやすいとされている。大切なのは、インナーチャイルドとインナーアダルトの共存。つまり、右脳と左脳のバランスなのだという。

 私はこの内容に大変納得した。何故ならば、創作をする中でここ最近、作品や踊りの中に、「わたしのこども」が客観的に見える様になってきたからだ。

インナーチャイルドは本人が受け入れる準備ができた時に見えてくるという。田中泯さんもインタビューの中で、
「自分の中の「こども」に対峙しない限りは、他人の未来をどうこう言うことはできないと思うんです。」
と話されていた。私はようやく少し、自分の中のこどもと対峙し始めたのかもしれない、それは共感ともまた違う。そして、そういう今、日々のクリエイションの中で行っている作業というのが、ほとんど左脳に当たる作業なのである。きっと今私は脳のバランスをとっているのだと思う。
日常生活で少しだけ、右脳と左脳のバランスを考慮することは、心の中の小さな私と大きな私を仲良くさせる方法なのかもしれない。あなたのこどもはどうだろうか?

asamicro


PILE -A collaborative studio-とは


PILEは、「新たな創造のための、自由な協働空間」をコンセプトに生まれた、クリエイター向けのコワーキングスペースです。デザイナー、アーティスト、ホビークリエイターなど、様々な職種や背景を持つ方々が空間を共有しながら、自由に制作仕事や創造的な活動を行うことができます。


PILE Monday Morning Drop-in

日 時:毎月第1・第3の月曜日10:30〜13:00
   ★次回2024年 10月21日 開催
             ※祝日の場合は翌週の月曜日へ繰越
会 場:PILE -A collaborative studio-
料金:1,000円(税込)☕️コーヒー付

同時開催中の《月曜相談》も ぜひお越しくださいね。

”他人だから話せることもある”
教育のこと、学校のこと、会社のこと、家族のはなし。


PILE Monday Morning Drop-in

では、ひっそりと同時開催として『月曜相談』を行っています。これまで、学童・フリースクール・民生委員などで不登校や引きこもりに関する講演会にて講師経験のあるスタッフがざっくばらんにお話し相手になります。普通にクリエーターの方や日々の制作に疲れた方も気晴らしにお話に来てくださっています。お気軽にお茶しましょう。相談は無料です。※1

新しい季節にゆっくりと心と身体をクリエイションすることも必要です。お気軽にどうぞ。

参加方法:Peatix または、当日飛び込み利用可能。

Peatix 10月21日分↓


※現金はご利用頂けません。電子マネークレジットカード、交通系ICなどご利用頂けます
※1《月曜相談》は無料相談となりますが、ドロップイン料は必要となります。

主 催:PILE -A collaborative studio-
企画・運営:asamicro
Guest珈琲:Cafe ちょこんと。


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