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オリジナル童話『じゃんがら池のたからもの』3
これまで池から出たことがないカッパが
勇気をふりしぼった。
前回までのおはなし
第3話
「ハチさん、こんにちは。
じゃんがら池のカッパだよ。」
カッパは、背伸びしても届かないくらい
高いところに家を見つけました。
部屋がたくさんある家でした。
ハチさんの部屋はどこかな、
と思っていると、
上から3段目の左端の部屋から
ひょっこりかわいい顔がのぞいています。
「こんな雨の中、どうしたの?」
「あのね、ぼく、たからものを
見つけたんだよ。
まあるくてね、きれいなんだ。」
カッパは、目をまん丸にして
ハチに話しかけました。
そして、
池から運んできたハスの葉っぱを
見せました。
「ほうら。」
葉っぱの上には、透き通った水のたまが
ころころと揺らいでいます。
ハチは、不思議そうに見つめています。
「池に来れば、もっとすてきな景色が
見られるよ。一緒に行こう。」
けれども、返ってきた答えは
こうでした。
「ありがとう。わたしも見てみたいけど、
残念ね。この天気じゃ、飛べないの。」
そう言うと、ハチは部屋の奥へと
入ってしまいました。
カッパは、
ハスをぎゅうっと握りしめました。
どうしてかな。
ただ、一緒にいたいだけなのに。
カッパは、引き返すしかありません。
足取りは重く、池までの道のりが
さっきより遠く感じるのでした。
(続)
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