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シアトルの小さな図書館

数年前にシアトルに滞在していた時に、朝の散歩をしていると、住宅街にある家の前にポストのような箱が設置してありました。それはリトル・フリー・ライブラリーと呼ばれる小さな図書館でした。その扉を開けると、本棚の中に星野リゾートを英語で紹介する本が入っていました。思わず手に取って借りて帰ることにしました。調べてみると個人で運営しているこういった小さな私設の図書館は、気が付かないだけで多くの場所にあることを知りました。ただし、本を借りる場合には自分の本を入れる必要があったようで、その時には本を持っていなかったので、次回来る時に本を持って来ることにしました。

それから二年ほど経過してしまったのですが、晴天の下でもキリリとした寒さを感じる一月のシアトルを再訪しました。この街の象徴であるスペース・ニードルを見渡せるユニオン湖に面している住宅の入り口に、ひっそりと設けられた小さな図書館を見つけました。ずっと借りていた本に加えて、岐阜県を英語で紹介する本と、リトの英訳版「Litto」も小さな図書館の本棚に入れてきました。どんな人が読んで、どんな思いを持つのだろうと想像するだけでワクワクしました。数冊の本を寄付しただけなのに、逆に何かを与えてもらったような気持ちになりました。

上の段には星野リゾートと岐阜を紹介する本、下には「Litto英語版」を収納しました

シアトルは、ご存知の通りスタバの発祥の地、個性的で居心地の良いカフェがたくさんあります。そして、自宅を改装した子供の絵本屋や、猫が歩き回る古本屋など、個性的な本屋もたくさんあるのです。「良い靴は、良い場所に連れて行ってくれる」というイタリアのことわざがあるように、「良い本を読めば、良い出会いがある」というnoteの記事で読んだ言葉を思い出しました。本を読めば、自分を別の世界に連れて行ってくれる。気分が高揚し、素晴らしい出会いや、かけがえのない経験を手に入れることができるのです。

お気に入りの本とカフェに出会える新刊本の本屋さんElliott Bay Book & Cafe
こちらはTwice Sold Talesという古本屋さん
こんなところにも猫が…(置物ではない)

シアトルでは本もカフェも文化として生活の中に溶け込んでいます。リトル・フリー・ライブラリーは、日本で流行っているシェア型本屋さんの一箱版のようなものかもしれません。小さな図書館の本棚に誰かに読ませたいと思う本を入れ、それを読んだ人がまた本を入れる。本は人をつなぎ、読書は人生を豊かにしてくれます。本は知識や感動を未来へつなぐ襷(たすき)のようなものなのかもしれません。

 

スペース・ニードルを望む夕陽がきれいでした


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