身体の動きを学んでみる;1〜関節の動く範囲(2)
身体が硬い!誰しも一度以上は感じたことがあることでしょう。
そもそも身体が硬いと何が良くないのでしょうか?
身体が硬い=各関節の動く範囲(可動域と言います)が狭い、と考えられます。
関節の動く範囲が制限されているので、何の苦労も無く届くはずの手や
足が届かない、といった現象が起きてきます。
でも手や足が届かないと困る。
そんな場面では、余分な仕事をしなければなりません。
頭の上にある棚から物を取ろうとすることを想定してみましょう。
手が届くためにはもちろん身長差があるので、一概には言えませんが、
いま、普段なら(身体がさほど硬くない時ならば)届く範囲の高さを設定してみましょう。
手を高く挙げるためには、広い意味での肩関節が十分に可動域を保って
いなければなりません。
※肩関節についてはまた別の機会に書きますが、狭い意味での肩関節を肩甲上腕関節(肩甲骨と上腕骨;二の腕の骨;との関節)と呼びます。肩関節はそれ以外にも、肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨との関節)や胸鎖関節(胸骨と鎖骨がなす関節)などいくつかの関節ないし関節様の部分が含まれています。
もし、
肩関節の可動域制限があるとすれば、手は容易には届かなくなります。
すると、背伸びをして届かせようとするかもしれません。それでも届け
ばいいのですが、もしかしたらバランスを崩すかもしれません。
もっと制限があると、台を置いてそこに乗っかって棚に手を届かせよう
とするでしょう。
これまた転倒の危険大ですね。
ギリギリ届く範囲だとしても、無理に肩を挙げて傷めてしまうことも
あるでしょう。
とにかく何かと不自由です。
別の場面を想定してみます。
太ももの裏側(ハムストリングスという筋肉群)が突っ張って、普段の
姿勢において骨盤が後ろ向きに傾きやすい姿勢だとします。
当然、立位体前屈というテストをすると、床に手がつきません。
それでも床の物を拾う時には軽く膝を曲げて行えるので、これはこれで
腰への負担を軽減する上では良いのですが・・・
骨盤が後ろに傾いた、その姿勢で椅子に座って作業をしていると、首の
後ろ側の筋肉が常に引っ張られて、肩こりが生じやすくなります。
案外、ハムストリングスの硬さが肩こりとも関係してくるなんてことも
ありそうな話です。
もう一つ想定してみましょう。
胸椎の捻り(回旋)が制限されているとどうでしょうか?実は身体を振り返る動作がやりづらくなります。
車をバックさせる時など、座った状態で後ろを振り返る必要がありますね。
そんな時、胸椎部分の回旋が制限されていると、他の部分に頼らざるを
得なくなります。
それが首(頸椎部分)。胸椎が回らない分、無理に首を回すことに
よって、首への負担が増します。
首の動きが悪いのかなぁと思っていると、実はそうではなくて胸椎部分
が硬いから起こる現象です。
まだまだ身体が硬いことによる不利益はたくさんあると思います。
硬い=動きが制限される、と考えれば当然のことですよね。
身体が硬いことによる不利益は、同じ作業をするのに他の部位の負担が
増す、あるいは余分な仕事(物理的な意味です)をしなければならない
ということに集約されます。
要は身体が硬いと損だよ、ということですね。
さて次に浮かぶ疑問としては、
ではどうして身体は硬くなってしまうのでしょう?だと思います。
(つづく)