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身体の動きを学んでみる3;筋力について(3)
筋肉が出力を発揮するには、つまり筋力を発揮するには、
神経の(興奮)指令が必要で、神経ー筋ユニットのことを
モーターユニットと呼びます。
筋力をたくさん発揮するには、
多くのモーターユニットの参加が必要です。
すなわち、
筋力を強めるには神経の興奮刺激が必要となります。
そこまではお話ししました。
今回は人の体全体から俯瞰してみた場合の
神経の筋力発揮に対する働きについて見ていこうと思います。
神経が筋肉を収縮させようと言う指令を発するには、
いくつかの司令塔(中枢部)の経路があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1676120710741-WTRi4ZImuM.jpg)
大ざっぱに表すと上図のようになります。
右側が今まで述べてきた運動を引き起こす経路、
いわゆる運動神経系です。
対して左側は感覚神経の経路となります。
こちらも実は筋力発揮に関係しています(後述)。
(運動)神経系の中枢司令部の頂点は脳にあります。
その指令が脊髄を通してさらに末梢の神経に達して、
神経ー筋接合部まで至り動きに変換されていくわけです。
もうちょっと詳しく示すと下図のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1676121048089-4vkT6UnlVK.jpg)
大脳から身体を動かす指令が発せられた時の運動を、
随意運動と呼びます。
それに対して、自分の意図とは異なる動きをしてしまう場合を
不随意運動と呼びます。
ここには示していませんが、大脳には興奮させる神経系と
抑制させる指令を出す神経系があります。
大脳は興奮(促通系)と抑制系のバランスを保って、
思うような動きを発現させているのですが、
これが何らかの理由(脳の疾患等)で崩れると、
思ったように筋力が発揮できなかったり
(いわゆる弛緩・不全麻痺というかたち)、
必要以上に筋肉が収縮してしまったり(痙性麻痺と呼ばれる)します。
後段のコントロールが効かない緊張性の動きが
不随意運動です。
しかし、
不随意運動は大脳を介さなくても脊髄反射と呼ばれる形で、
出現することもあります。
正常な場合でも例えば膝下の膝蓋腱を叩くと、
自分の意志に反して膝がポンっと伸びる現象がありますね。
これは正常な腱反射です。
これは脊髄レベルで起こる神経の働きで起きます。
一方、
反射が起こらないあるいは
非常に軽度の打腱でも反射が起こってしまう場合、
前者が反射の消失、後者が反射の亢進として
神経の働きに不具合がある表れ(サイン;sign)とされます。
話が横にそれてしまったかもしれませんね。
何しろ筋肉が収縮する仕組みにはいろいろな観点があり、
いずれも細かく解明されています。
それらを全て正確に仕組みとして述べ出すとキリがないので、
ここでは運動の随意性・不随意性についてだけわかっていただければ
良いと考えます。
さて、
多くのモーターユニットを参加させたければ、
大脳からの指令の強さが必要ですね。
これがやる気やモチベーション、関節などの痛み/疲労の有無
などによって変わってきます。
やる気がなかったり、どこがに痛みがある、あるいは疲労していると、
興奮指令が抑えられ、結果的に強い(筋)力が発揮できなくなります。
※疲労にも中枢性と末梢性の二つの種類がありますが、
ここでは説明を省略します
ですから、
鍛えたい筋肉を意識しない、やる気がない感じで取り組むと
筋トレ効果は半減してしまうでしょう。
また痛みがあれば無理をしてはいけませんね。
わざわざ意図に反して脳が抑制してくれているわけですから。
疲労時も同様ですね。
今回も長くなってしまいました。
次回は2番目の図に表した他の神経経路についても、
筋力発揮と絡めて説明したいと思います。
ではまた。