身体の動きを学んでみる3;筋力について(10)〜筋繊維の種類
今回は、
筋肉自体の組成の違い、
筋繊維には主に2種類ある、
という話です。
筋繊維の種類
筋肉を形作る筋繊維は、
主に2種類に分けられます。
それは、
遅筋繊維;赤筋繊維(Type1繊維)と
速筋繊維;白筋繊維(Type2繊維)です。
人の筋肉、中でも骨格筋(骨格に付着する随意筋)
二箱の2種類の筋肉繊維が、個人差はありますが、
一定の比率で存在しています。
骨格筋の性質によって、
その比率が遅筋繊維に偏ったり、
逆に速筋繊維が多かったりします。
例えば、
ふくらはぎには2種類の筋肉、
ヒラメ筋と腓腹筋がありますが、
ヒラメ筋は遅筋繊維を多く含み、
腓腹筋は速筋繊維を多く含んでいます。
遅筋繊維
遅筋繊維は書いて字の如く、
収縮の速さが遅い繊維のことを指します。
収縮が遅い分、比較的長持ちする
いわゆる持久性に富む/持久性がある筋肉繊維です。
先ほど挙げたヒラメ筋の場合、
立っている時重力に逆らって立位を取るために
常に働いている筋肉です。
ですから、
簡単に疲れてしまっては困ります。
そのため、
持久性のある遅筋繊維を多く含んでいるわけです。
速筋繊維
速筋繊維は収縮のスピードが速い分、
疲れやすいという性質を負っています。
瞬時に収縮でき大きなパワーを発揮することができますが、
長持ちはしません。
もっと詳しく分類すると、
実は速筋繊維にも2種類あります。
一つは Type 2-a 繊維。
この繊維は速筋繊維の中でも、
比較的持久性にも富んでいるという性質を持ちます
(もちろん遅筋繊維ほどではありませんが)。
もう一つが、
Type 2-b繊維で
これこそまさしく速い収縮で大きなパワーを発揮する分、
すぐに疲れてしまう、長持ちしない筋繊維です。
筋繊維の特性を知った上でトレーニングをする
このように、
筋繊維は大きく分けて2種類、
実際は主に3種類存在します。
この特性を知ることは、
どの筋繊維に刺激を与えているかを理解でき、
結果として、
トレーニング効果やその目的を明確にできる点で重要です。
例えば、
筋トレの王様(king of exercise)と言われる
スクワットであれば、
浅い膝角度で比較的速く何回も繰り返す方法を取ると、
遅筋繊維に刺激を与えることができます。
深い膝角度をゆっくりと(上下とも)行うと、
速筋繊維の中でも Type 2-a 繊維 がターゲットになります。
深い膝角度を素早く行えば、
速筋繊維の中でも Type 2-b 繊維 が刺激されます。
そしてこの繊維が疲れてしまうと、
遅筋繊維が補って動作を持続させようとします。
プロレスのトレーニングで
ヒンズー・スクワットというのがありますが、
これなんかはその部類(深い膝角度を素早く何回も繰り返す)
に入るのではないかと思います。
ここでちょっとあれっ?
と思った方がいるのではないでしょうか。
即ち、
動作が素早いことが、
筋繊維の速筋繊維が使われていることとは
必ずしも限らないということです。
これは、
筋パワーの話のところでちょっと書いたかもしれませんが
(「身体の動きを学んでみる3;筋力について(9)」の最後の注)参照)、
動作が素早い=負荷が小さい=長く続けられる
→遅筋繊維でも可能かつ必要
負荷が重い=強い力が必要 and 速くは動かせない=長続きできない
→速筋繊維の強い力が必要
という理由からです。
最後に
ちょっとややこしいですね。
いずれにしても、
トレーニングを行っていく際には、
筋繊維の種類を知っておくことが
トレーニング効果を上げるために必要な知識、
ということです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた次回に。