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短編小説

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2015年11月の記事一覧

「銀と月下の泥」

 随分手が冷えてくる、肌が突っ張る。

 そろそろ雪が降りそう。

 待ち焦がれた季節。

 空を見上げれば、曇り空が多くて。そこから数日。

 ようやく降り出した十一月の雪は六十二年ぶりの降雪量だった。

 積雪四十四センチ。湿った雪は木の枝に張り付いて一週間前に落ちきった葉の代わりに白い葉をつけている。

 赤みがかったロングブーツを急いで引っ張り出して埋まる足元を気にしながら夜を歩く。

 

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