【ビジネス視点から見た演劇界の問題点】 各々のコンテンツの『繋がり』が薄いのではないか?
こんにちは。演劇エンタメ分野をビジネス視点で語るAsakawaです。
これまでも色んなテーマでこの『演劇界』の問題点を結果的には書いてきたと思いますが、今回はあえてそのタイトルで記事を書いていきます。
やはり私はビジネスと絡めて記事を書くことが多いので、
ビジネス的にそれはどうなの?という観点でいきたいと思います。
↑この記事でも書きましたが『演劇』と言われてもどこを指しているのかが曖昧です。
『演劇コンテンツ』と言えば、
舞台・映画・テレビドラマ・アニメ・あとはミュージカルも挙げられると思いますが、これらを一括りにして『演劇』と表現するかと言われたらかなり微妙です。
リンク記事で述べたようにこれらのコンテンツは各々が独立したカテゴリとなっているのではないか?と思うわけです。
そうなってくるとどうなるのか?
それは、それぞれのコンテンツの繋がりが薄く、連帯感がないとなるわけです。
しかも、結果的にそうなっているわけではなく、
それぞれそのカテゴリに身を置いている人達があっちは別世界と言わんばかりの意識を持っている場合もあります。
特に顕著なのは、
元が俳優として知られている人がアニメや洋画の声優をやるとお客さんから少なからず批判が起きますし、業界内からもなんで声優を使ってくれないんだろう?と思っている人はいます。
このことから、
俳優と声優は別世界であるという認識が現在は取り払われつつあるとはいえ、昔は根付いていたと思っていますのでその影響は今もあります。
つまりは、
俳優はアニメや洋画の声優をやってはならない、
声優は映画やドラマ、舞台には出演してはならない、
そんな決まりはもちろんないとはいえこんな風潮が流れているのです。
この棲み分けってビジネス的にはやはり無用な制約です。
(そもそも声優って歴史的にはテクノロジーの発達で俳優の仕事に新たに顔は出さない、声のみの演技が求められる仕事が出来たって感じで始まったのに、いつの間にか別の仕事みたいに区別させられてしまいました)
なぜなら、
もしも例えばある劇団が上演する舞台を観に来てくれるお客さんは増やしたいです、どうしたらいいですか?
と聞かれたら私だったら何て答えるか。
一つの方法に・・・、
可能なら劇団の看板俳優を何人か決めて、その人達をテレビに出演させて劇団の知名度を上げていきましょう、
と答えます。
テレビであればまぁなんでも良いわけですが、
それなのに俳優ですからアニメには出演できませんね・・・なんて空気があったらまさに無用に選択肢を狭められていると思わないでしょうか?
そもそも演劇の『舞台』が大盛況だった時代って、
劇団俳優がテレビドラマやアニメに出演していたから、それに助けられた歴史があるはずです。
特に、
文学座の江守徹さん、故・渡辺徹さん、内野聖陽さん(現在は退団)
劇団昴の平田広明さん(現在は退団)
俳優座の小山力也さん
テアトルエコーの故・山田康雄さんや納谷悟朗さんはあのルパン三世の初代声優さんとしても有名ですよね。
ここら辺はテレビ、アニメを観て知ったって方も多いです。
他にも平田さんはあの超人気アニメ『ワンピース』のサンジの声の人です。
このおかげで劇団昴の名前は当時のまだ舞台なんて馴染みのなさそうな小学生や中学生のファンにも知れ渡りましたし、実際に劇団の舞台に足を運んだ人はたくさんいたことでしょう。(当時、小学生だった私はクラス内に認知していた人はいました)
こんな風に舞台の動員数を増やすためにこれらの俳優さんをアニメやドラマに出演させて劇団の名を知ってもらい、そこに繋げるというムーブは昔はそれなりに見られたのですが現在は薄くなってしまいました。
それどころかもはや俳優・声優の区分に留まらず、
テレビドラマ・映画俳優は舞台には出ない、逆もまた然り・・・みたいな感じになってないか?とも思っています・・・。
映画と舞台に関しても実は映画専用俳優であったり、舞台人はカメラの前で演技をするのは嫌ったなんて話は昔からあったようですし。
俳優は声優はできない、声優は俳優をできない・・・どころかドラマで、映画で有名な俳優さんは舞台で生の演技は観られない、舞台俳優は映像での演技が観られない、本来であれば両方体感できた方が相乗効果があって良いのにこんなバラバラでは、そりゃあコンテンツ供給過多の現代になるほどなかなかお客さんは来ないわなーって感じです😓
よく音楽と比較しますが、
音楽番組に出演するバンド・歌手がライブ活動は行なっておりませんなんてことはそうそうありません(たまに引退しているが一夜限りの復活とかの企画はありますが)
すなわちその音楽番組をきっかけに興味を持って、ライブに行ってみようと思う人はたくさん出てくるわけです。私もその経験はあります。
でも演劇では、
テレビドラマで知って好きになった俳優さんの生の演技を観られることが叶わない事も多い・・・。
おまけに最近は原作ありの作品をドラマ化する際の問題点が最悪の形で表面化しました。
国民にとって一番身近なテレビで発信される演劇コンテンツが、
原作ファンや作者を不快にさせる改変をこれまで度々繰り返してきた・・・先ず興味を持ってくれる原作ファンを怒らせるなんてもはや誰に向けて作っているんだって話なのですが、そういうコアなファンよりもとりあえずテレビドラマを好んで毎週観ている層が一定数いるので、そんな原作を知らない人向けに作っているのかなと。思えば舞台や映画は一切観ないけどテレビドラマは昔から観ているうちの母がそうです 笑
このようにテレビドラマだけを観る人や映画やアニメのマニア、舞台もそう、きっと全く興味がないってわけじゃないんだろうけどお客さん側もどちらかと言えば一つのカテゴリのコンテンツを集中的に観る傾向があるので、これまでの歴史もあいまってそれぞれが別の世界と捉えてしまうのも仕方がないのかな〜と。
それでも個人的には映像で楽しんだのであれば、生でも楽しめる機会を増やした方が良いとは思っていますが。
やはり音楽は再生機で、映像で楽曲を聴くのとライブではまるで別物です。
もう映像では音源では満足できないとまで言う人が出てくるくらいに。
なら演劇だって最後はライブが、生が一番だよね!という方向に持っていけばより俳優個人のみならず『演劇』の熱狂的なファンにさせることが出来るんじゃないでしょうか?
演劇は音楽と比べて俳優だけ集めてもできない、さらに劇作家・脚本家や演出家・監督など俳優とは異なる別の能力を持った才能ある人材を必要としたりして動き出すまで腰の重いコンテンツではありますが、映像から生へ〜という動きはもう少し強めても良いんじゃないかなと。
そういう意味ではアニメ・ゲームを起点に声優さんのイベント・ライブの動員数が大きな会場で行なって数万人を記録したというのは、そこを意識すればこれだけの動員数は可能であると示していると思います。
かつて声優とは顔を出せないから俳優より下と見られていた、芸能界の立場的には見下されていたような空気もありましたが演劇コンテンツの中で一番上手くやっている、成功しているカテゴリになりました。
そのアニメ・ゲームで活躍している人達が今度はドラマや映画に出演するとなったら多くの人がそれだけで注目してくれる事でしょう。
現在はちょこっと触れましたが本当に声優として知られている方が顔出しでテレビに出演することが増えました。
多数のメディアの横断は最近の記事でもアニメがビジネス化するために行なってきた戦略だと書きました↓
それが有効な戦略であるならもう俳優だから声の仕事は、声優だからドラマ・映画はやらないなんて言わず、ドラマや映画で有名になった人は生で舞台で演技する姿を観られる機会を作ってほしいし、壁を作らず様々な形で展開していってほしいですね。
では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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